調査サマリー

学ぶ動機と風土を醸成する社内連携と人事制度

企業における「リスキリング」「学び直し」の推進に関する実態調査2023

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更新日
企業における「リスキリング」「学び直し」の推進に関する実態調査2023

「企業における「リスキリング」「学び直し」の推進に関する実態調査2023」の実施概要は下表のとおりです。

調査概要

調査概要

調査結果の詳細は、報告書をご参照ください。

・報告書
学ぶ動機と風土を醸成する社内連携と人事制度
─生産性向上・DX・キャリア自律につながる
 組織主導の「リスキリング」と個人主導の「学び直し」

調査結果サマリー

今回実施した調査の結果から、以下のような実態を確認することができました。

※本調査では、新しい知識・スキル獲得を会社が主導する場合を「リスキリング」、個人が主導する場合を「学び直し」として用語を使い分けています。

「リスキリング」と「学び直し」の現在地
●期待発信・メッセージの内容<why>

・具体的なメッセージが発信されている企業(「強く期待するメッセージを、経営者やマネジメント層から出している」「ある程度期待するメッセージを、経営者やマネジメント層から出している」)は4割前後。期待はあるが具体的なメッセージがない企業(「具体的なメッセージはないが、経営者やマネジメント層からの期待がある」)は3割前後。

・会社主導の「リスキリング」のメッセージ内容として、メッセージを出している企業の7~9割前後が「2.会社が今後起こりうる変化に備えるために必要なこと」、6~7割前後が「3.自社が新しい事業や市場を創造するために必要なこと」を選択。「8.個人のキャリアの可能性を広げる手段となるもの」とメッセージする企業も半数前後。

・個人主導の「学び直し」を、個人のキャリア形成のためとメッセージするか、会社の事業変革のためとメッセージするか、回答企業の傾向は分かれている。

●知識・スキルの内容<what>

・実施企業の割合が全体で半数を超えるのは、「1.現在の担当業務の生産性を向上するための知識・スキル獲得」「6.DXを推進するための知識・スキルの獲得」「12.従業員の自律的・主体的なキャリア形成のためのスキル獲得」。

・実施企業中、成果実感がある企業の割合が5割を超えるのは「1.現在の担当業務の生産性を向上するための知識・スキル獲得」「10.社内・グループ内の公募異動や副業制度などを通じたキャリアチェンジのためのスキル獲得」。

●推進対象<who>と推進課題<how>

・「リスキリング」や「学び直し」の対象について従業員区分を選択してもらい、そのパターンから4タイプが見出された。

<全方位型>すべての従業員区分にリスキリングと学び直しを求める
<キャリア別使い分け型>若手にはリスキリング、中堅以降や管理職には学び直しを求める
<個人主導型>すべての従業員区分に学び直しを求めるが、リスキリングは求めない
<消極型>中堅以降にリスキリングを求める場合もあるが、学び直しは求めない

・推進課題としては、「リスキリング」「学び直し」のいずれにおいても「15.従業員の学ぶ意欲を引き出すことが難しい」「16.従業員が学ぶ時間の確保が難しい」の選択率が高い。

・従業員に「リスキリング」を求める<全方位型>と<キャリア別使い分け型>では、「3.財務的目標を達成していく上での、非財務的な戦略シナリオが具体的でない」「5.学ぶべき具体的な能力・スキルを特定することが難しい」の選択率が高い。

・<個人主導型>では「学び直し」の推進課題として、「18.社員がお互いに学び、高め合う風土づくりが難しい」「20.自社内のキャリアパスの可視化・明示が難しい」「21.部下の能力開発・キャリア開発に対する管理職の意識が低い」など支援環境づくりの選択率が高い。

●「リスキリング」の成果指標

・「リスキリング」の成果指標として現在・今後共に最も選択されたのは、「1.従業員エンゲージメント・従業員満足度」。

・現在の成果指標については、1000名以上企業で「7.女性管理職比率」「12.離職率」の選択率が高い。1000名以上・製造では「3.従業員一人当たりの教育研修費」「4.従業員一人当たりの教育研修時間」の選択率が高い。

・今後の成果指標については、「10.経営リーダー候補者の充足率」「6.教育投資に対するリターン(ROI)」「8.デジタル人材の充足率」の選択率が高い。企業群別には、999名以下・製造で「10.経営リーダー候補者の充足率」「8.デジタル人材の充足率」、1000名以上・非製造で「6.教育投資に対するリターン(ROI)」が最も高い。

「リスキリング」「学び直し」の手応えに向けて
●推進体制

・「リスキリング」の企画・推進は、人事部だけでなく、経営や他部署・事業現場と連携して進める企業が半数を超える。「学び直し」の推進においては、経営や他部署・事業現場と連携して取り組む場合と、人事部のみで取り組む場合がいずれも3割前後であり、事業現場のみで取り組む場合も見られる。

・【生産性向上】の知識・スキル獲得の取り組みでは、戦略策定の最上流工程とスキル開発目標の具体化・すり合わせに、「2.本社人事企画部門」「3.本社人材開発・育成部門」「4.事業部人事・HRBP」といった人事機能が関与することが成果実感の有無を分けている可能性。

・【DX】では、「1.経営・事業責任者」による、学んだスキルを発揮する実践の場の提供までの関与や、「3.本社人材開発・育成部門」「4.事業部人事・HRBP」による、新しい戦略や技術と業務プロセスやスキル要件や学習目標の接続から支援環境づくりまで一貫した連携が有効。

・【キャリア自律】では、「3.本社人材開発・育成部門」の関与に差が見られ、個人のためと企業のためという学習の文脈の接続が成果実感を分ける可能性。

●支援策

・導入率が半数以上の「リスキリング」支援策は、導入率が高い順に「16.管理職のマネジメント能力の向上支援」「2.教育訓練プログラムの提供」「13.目標管理制度などを通じた、個人目標と組織目標の連動の担保」「5.費用面での支援」。

・「学び直し」支援としても半数以上の企業が導入しているのは「2.教育訓練プログラムの提供」「5.費用面での支援」。

・「学び直し」支援としての導入率が「リスキリング」より高いのは「5.費用面での支援」「4.休暇制度の整備による時間面の支援」。

・【生産性向上】の知識・スキル獲得の成果実感と相反するのは、「9.自社内のキャリアパスの可視化・明示」「15.組織に所属する人材の育成や業務アサイン方針について管理職層が協議する場の設定(人材開発委員会など)」「17.管理職の業務負担の軽減支援」。

・【DX】と【キャリア自律】の成果実感に関連する支援策は類似。

●学ぶ動機づけにつながるか : 個人選択型HRM

・「個人選択型HRM」(社内キャリアや働き方における個人の選択を重視する人材マネジメント)において導入率が5割以上の施策は、導入率が高い順に「10.テレワーク・在宅勤務制度」「20.目標管理制度」「2.自己申告制度」「9.フレックスタイム制」「6.手挙げ型研修」「1.配属先の職種や事業などを特定した採用」「3.社内公募制度」。

・【キャリア自律】の知識・スキル獲得の成果実感と関連していたのは「7.社内副業・兼業制度」などのキャリア形成のための新しい仕事を実践する機会。

・【DX】の知識・スキル獲得の成果実感と関連していたのは「6.手挙げ型研修」「9.フレックスタイム制」など学習機会や時間を自己選択できる制度。

・【DX】と【キャリア自律】の両方の成果実感と関連していたのは「19.複線型人事制度」。

●学ぶ風土づくりにつながるか : 学習志向HRM

・「学習志向HRM」(異動や評価などの場面で個人に情報や学習機会を提供する人材マネジメント)において導入率が5割以上の施策は、導入率が高い順に「4.異動や昇進・昇格などの際に、その意図や背景が本人に説明される」「3.人事考課・昇格など人事評価の基準について、情報公開や説明がなされる」「16.自社の人事評価では、業績などの結果だけでなくプロセスの質が重視される」「18.自社の人事評価では、評価結果を育成的なフィードバックに活かすことが重視される」「21.上司面談などで、中長期的なキャリアを考える機会を設ける」「5.職位や職務に求められる能力やスキルが明示されている」。

・【生産性向上】、【DX】、【キャリア自律】の知識・スキル獲得のすべての成果実感と関連していたのは「21.上司面談などで、中長期的なキャリアを考える機会を設ける」「22.業務外のワークショップなどで、中長期的なキャリアを考える機会を設ける」。

・【DX】と【キャリア自律】両方の成果実感と関連していたのは、「12.従業員が幅広いスキルを獲得できるよう、現在の業務に直結しないトレーニング機会が提供されている」「17.自社の人事評価では、失敗を咎めるよりもチャレンジしたことが評価される」「19.職場ぐるみでスキル開発を行う機会を設ける」。

調査結果の詳細は、報告書をご参照ください。 ・報告書学ぶ動機と風土を醸成する社内連携と人事制度─生産性向上・DX・キャリア自律につながる 組織主導の「リスキリング」と個人主導の「学び直し」

調査結果サマリー

今回実施した調査の結果から、以下のような実態を確認することができました。

※本調査では、新しい知識・スキル獲得を会社が主導する場合を「リスキリング」、個人が主導する場合を「学び直し」として用語を使い分けています。

「リスキリング」と「学び直し」の現在地
●期待発信・メッセージの内容<why>

・具体的なメッセージが発信されている企業(「強く期待するメッセージを、経営者やマネジメント層から出している」「ある程度期待するメッセージを、経営者やマネジメント層から出している」)は4割前後。期待はあるが具体的なメッセージがない企業(「具体的なメッセージはないが、経営者やマネジメント層からの期待がある」)は3割前後。

・会社主導の「リスキリング」のメッセージ内容として、メッセージを出している企業の7~9割前後が「2.会社が今後起こりうる変化に備えるために必要なこと」、6~7割前後が「3.自社が新しい事業や市場を創造するために必要なこと」を選択。「8.個人のキャリアの可能性を広げる手段となるもの」とメッセージする企業も半数前後。

・個人主導の「学び直し」を、個人のキャリア形成のためとメッセージするか、会社の事業変革のためとメッセージするか、回答企業の傾向は分かれている。

●知識・スキルの内容<what>

・実施企業の割合が全体で半数を超えるのは、「1.現在の担当業務の生産性を向上するための知識・スキル獲得」「6.DXを推進するための知識・スキルの獲得」「12.従業員の自律的・主体的なキャリア形成のためのスキル獲得」。

・実施企業中、成果実感がある企業の割合が5割を超えるのは「1.現在の担当業務の生産性を向上するための知識・スキル獲得」「10.社内・グループ内の公募異動や副業制度などを通じたキャリアチェンジのためのスキル獲得」。

●推進対象<who>と推進課題<how>

・「リスキリング」や「学び直し」の対象について従業員区分を選択してもらい、そのパターンから4タイプが見出された。

<全方位型>すべての従業員区分にリスキリングと学び直しを求める
<キャリア別使い分け型>若手にはリスキリング、中堅以降や管理職には学び直しを求める
<個人主導型>すべての従業員区分に学び直しを求めるが、リスキリングは求めない
<消極型>中堅以降にリスキリングを求める場合もあるが、学び直しは求めない

・推進課題としては、「リスキリング」「学び直し」のいずれにおいても「15.従業員の学ぶ意欲を引き出すことが難しい」「16.従業員が学ぶ時間の確保が難しい」の選択率が高い。

・従業員に「リスキリング」を求める<全方位型>と<キャリア別使い分け型>では、「3.財務的目標を達成していく上での、非財務的な戦略シナリオが具体的でない」「5.学ぶべき具体的な能力・スキルを特定することが難しい」の選択率が高い。

・<個人主導型>では「学び直し」の推進課題として、「18.社員がお互いに学び、高め合う風土づくりが難しい」「20.自社内のキャリアパスの可視化・明示が難しい」「21.部下の能力開発・キャリア開発に対する管理職の意識が低い」など支援環境づくりの選択率が高い。

●「リスキリング」の成果指標

・「リスキリング」の成果指標として現在・今後共に最も選択されたのは、「1.従業員エンゲージメント・従業員満足度」。

・現在の成果指標については、1000名以上企業で「7.女性管理職比率」「12.離職率」の選択率が高い。1000名以上・製造では「3.従業員一人当たりの教育研修費」「4.従業員一人当たりの教育研修時間」の選択率が高い。

・今後の成果指標については、「10.経営リーダー候補者の充足率」「6.教育投資に対するリターン(ROI)」「8.デジタル人材の充足率」の選択率が高い。企業群別には、999名以下・製造で「10.経営リーダー候補者の充足率」「8.デジタル人材の充足率」、1000名以上・非製造で「6.教育投資に対するリターン(ROI)」が最も高い。

「リスキリング」「学び直し」の手応えに向けて
●推進体制

・「リスキリング」の企画・推進は、人事部だけでなく、経営や他部署・事業現場と連携して進める企業が半数を超える。「学び直し」の推進においては、経営や他部署・事業現場と連携して取り組む場合と、人事部のみで取り組む場合がいずれも3割前後であり、事業現場のみで取り組む場合も見られる。

・【生産性向上】の知識・スキル獲得の取り組みでは、戦略策定の最上流工程とスキル開発目標の具体化・すり合わせに、「2.本社人事企画部門」「3.本社人材開発・育成部門」「4.事業部人事・HRBP」といった人事機能が関与することが成果実感の有無を分けている可能性。

・【DX】では、「1.経営・事業責任者」による、学んだスキルを発揮する実践の場の提供までの関与や、「3.本社人材開発・育成部門」「4.事業部人事・HRBP」による、新しい戦略や技術と業務プロセスやスキル要件や学習目標の接続から支援環境づくりまで一貫した連携が有効。

・【キャリア自律】では、「3.本社人材開発・育成部門」の関与に差が見られ、個人のためと企業のためという学習の文脈の接続が成果実感を分ける可能性。

●支援策

・導入率が半数以上の「リスキリング」支援策は、導入率が高い順に「16.管理職のマネジメント能力の向上支援」「2.教育訓練プログラムの提供」「13.目標管理制度などを通じた、個人目標と組織目標の連動の担保」「5.費用面での支援」。

・「学び直し」支援としても半数以上の企業が導入しているのは「2.教育訓練プログラムの提供」「5.費用面での支援」。

・「学び直し」支援としての導入率が「リスキリング」より高いのは「5.費用面での支援」「4.休暇制度の整備による時間面の支援」。

・【生産性向上】の知識・スキル獲得の成果実感と相反するのは、「9.自社内のキャリアパスの可視化・明示」「15.組織に所属する人材の育成や業務アサイン方針について管理職層が協議する場の設定(人材開発委員会など)」「17.管理職の業務負担の軽減支援」。

・【DX】と【キャリア自律】の成果実感に関連する支援策は類似。

●学ぶ動機づけにつながるか : 個人選択型HRM

・「個人選択型HRM」(社内キャリアや働き方における個人の選択を重視する人材マネジメント)において導入率が5割以上の施策は、導入率が高い順に「10.テレワーク・在宅勤務制度」「20.目標管理制度」「2.自己申告制度」「9.フレックスタイム制」「6.手挙げ型研修」「1.配属先の職種や事業などを特定した採用」「3.社内公募制度」。

・【キャリア自律】の知識・スキル獲得の成果実感と関連していたのは「7.社内副業・兼業制度」などのキャリア形成のための新しい仕事を実践する機会。

・【DX】の知識・スキル獲得の成果実感と関連していたのは「6.手挙げ型研修」「9.フレックスタイム制」など学習機会や時間を自己選択できる制度。

・【DX】と【キャリア自律】の両方の成果実感と関連していたのは「19.複線型人事制度」。

●学ぶ風土づくりにつながるか : 学習志向HRM

・「学習志向HRM」(異動や評価などの場面で個人に情報や学習機会を提供する人材マネジメント)において導入率が5割以上の施策は、導入率が高い順に「4.異動や昇進・昇格などの際に、その意図や背景が本人に説明される」「3.人事考課・昇格など人事評価の基準について、情報公開や説明がなされる」「16.自社の人事評価では、業績などの結果だけでなくプロセスの質が重視される」「18.自社の人事評価では、評価結果を育成的なフィードバックに活かすことが重視される」「21.上司面談などで、中長期的なキャリアを考える機会を設ける」「5.職位や職務に求められる能力やスキルが明示されている」。

・【生産性向上】、【DX】、【キャリア自律】の知識・スキル獲得のすべての成果実感と関連していたのは「21.上司面談などで、中長期的なキャリアを考える機会を設ける」「22.業務外のワークショップなどで、中長期的なキャリアを考える機会を設ける」。

・【DX】と【キャリア自律】両方の成果実感と関連していたのは、「12.従業員が幅広いスキルを獲得できるよう、現在の業務に直結しないトレーニング機会が提供されている」「17.自社の人事評価では、失敗を咎めるよりもチャレンジしたことが評価される」「19.職場ぐるみでスキル開発を行う機会を設ける」。



調査結果の詳細は、報告書をご参照ください。
・報告書
学ぶ動機と風土を醸成する社内連携と人事制度
─生産性向上・DX・キャリア自律につながる
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