調査サマリー

仕事、働き方、キャリア選択感の要因と効用とは

個人選択型HRMと個人選択感に関する意識調査

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更新日
個人選択型HRMと個人選択感に関する意識調査

「個人選択型HRMと個人選択感に関する意識調査」の実施概要は下表のとおりです。

調査概要

調査概要

調査結果の詳細は、
・弊社機関誌 RMS Message vol.67 特集1「個人選択型HRM のこれから」調査報告(P.23~30)
・調査レポート「組織のなかでの仕事、働き方、キャリアの選択機会の実態」をご参照ください。

調査結果サマリー

今回実施した調査の結果から、以下のような実態を確認することができました。

●「個人選択感」の実態

・働く個人が「自社において、仕事、働き方、キャリアを選択できている状態」の測定に際しては、実際にどの程度選べているかという選択の多寡を問うのではなく、選べているという感覚、選択機会に関する認知を「個人選択感」として、3つの観点から捉えることを試みた。

(1)仕事、働き方、キャリアに関して直接的に、選んでいるという感覚をたずねるもの(選択感)

(2)自分の希望が会社から尊重されていると感じているか(希望尊重)

(3)今後も現在の会社で自分に合った仕事、働き方、キャリア形成をしていけそうか(将来展望)

・おおむね、5~6割が肯定的な回答。

・相対的に高いのは、「5.働き方に関して、自分の希望が尊重されている」「2.いまの働き方を自分で選んでいると感じる」(61.6%、61.2%)。

・相対的に低いのは、「6.キャリア形成に関して、自分の希望が尊重されている」「9.今後、社内で自分に合ったキャリアを形成していける」が相対的に低い選択率だった(54.1%、52.3%)。

・以降、9項目を平均した尺度「個人選択感」を用いて分析した。

● 要因:個人選択型HRM施策

・個人選択型HRM(仕事、働き方、キャリアに関する従業員による主体的な選択の機会を増やすような施策群)15施策の導入有無別に、個人選択感を集計。

・すべての施策において、「導入あり」の方が「導入なし」に比べて、個人選択感が統計的に有意に高い。

・導入率が高く、導入の有無による個人選択感の得点差が大きかったのは、「5.フレックスタイムなど、働く時間を柔軟に選べる制度」「6.テレワークなど、働く場所を柔軟に選べる制度」「11.面談などで上司にキャリアについて相談できる制度」「12.希望する研修や講習を受講できる制度」など。

・導入有無による個人選択感の得点差が大きいが、導入率は1割に満たないものは「9.人事や社外の専門家にキャリアについて相談できる制度」「10.管理職・専門職を行き来できる等級制度」。

・15施策の選択を合計した施策導入数(平均値4.6施策、標準偏差3.5)を高群(6~15施策、出現率34.0%)、中群(3~5施策、同31.2%)、低群(0~2施策、同34.8%)に分けて個人選択感を集計すると、高群4.0、中群3.6、低群3.2となり、施策数が多いほど個人選択感が有意に高い。

● 要因:異動経験

・ポジティブな異動経験では、個人選択感が最も高いのは「1.社内公募・社内FA制度などで、自分で手を挙げての異動が実現した」。

・自らの希望がかなって異動が実現した場合だけでなく、「2.人事や上司が自分に合った異動を提案してくれて、自分にとって良い異動が実現できた」「3.未経験の仕事への異動だったが、自分の成長機会となった」経験をした場合の個人選択感も高い。

・ネガティブな異動経験では、個人選択感が最も低いのは「5.意図の分からない異動を命じられた」。

・「8.異動したいと思ったが、異動希望を出すことができなかった」は個人選択感を低めていたが、異動が実現しない場合でも社内公募や自己申告などで希望を伝えることができた場合には、経験の有無による個人選択感の違いはなかった。

● 要因:個人選択の機会をさまたげる会社の制度運用、職場・仕事、本人の課題

・個人選択感を低めていた制度運用は、「1.社内の人事異動は会社側の要請で決まり、個人の希望は考慮されない」「2.働く時間や場所を、個人の生活上の事情に応じて柔軟に変更できない」。

・個人選択感を低めていた職場・仕事は、「6.上司が、部下の能力開発・キャリア形成に対して支援的でない」「7.社内に自分がやりたい仕事や部署がない」「8.キャリアについて相談できる人がいない」「9.経験やスキルが足りなくてもチャレンジできるような仕事機会がない」。

・個人選択感を低めていた本人の課題は、「11.自分がやりたいことがない/分からない」「12.何を学んでいいか分からない」。

・「18.仕事・働き方・キャリアを自分で選ぶことにこだわりがない」ことは個人選択感に影響なし。

● 要因:組織特徴

・「1.学習指向の評価」「2.他部署・経営情報の開示」「3.ライフ・キャリア重視」いずれも高群ほど個人選択感が高い。

● 要因:個人選択感にまつわる具体的なエピソード(自由記述)

・希望を伝える機会に関するコメントが最多。評価の公正さ、教育支援の充実に関するものが次に多い。

・職場でのキャリアに関する対話・支援や挑戦・選択の幅に関するもの、柔軟な働き方・機会均等、制度充実・制度変更の柔軟さや、専門性が尊重されない、キャリアの継続性が感じられない異動についてのコメントも複数。

● 効用:個人の意識や組織能力への影響

・個人の意識においては、個人選択感が高いほど「1.組織コミットメント」「3.人生・生活満足」が高く、個人選択感が低い場合には「2.離職意識」が高い。

・組織能力「4.変革実行力」「5.現場力」「6.求心力」いずれも、個人選択感が高いほど組織能力が高い。

調査結果の詳細は、
・弊社機関誌 RMS Message vol.67 特集1「個人選択型HRM のこれから」調査報告(P.23~30)
・調査レポート「組織のなかでの仕事、働き方、キャリアの選択機会の実態」をご参照ください。

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