組織のなかでキャリア自律するとはどういうことか 若手・中堅社員の自律的・主体的な
キャリア形成に関する意識調査

若手・中堅社員の自律的・主体的なキャリア形成に関する意識調査

「若手・中堅社員の自律的・主体的なキャリア形成に関する意識調査」の実施概要は下表のとおりです。


調査概要

調査概要

調査結果サマリー

●「自律的・主体的なキャリア形成」が意味すること
・選択肢には、自己責任、自己決定という要素(1、2)、組織内キャリアに限定しない視点(3〜5)、仕事経験を通じたキャリア形成の視点(6〜8)、学び(9)、ライフキャリアも視野に入れた働き方の選択(10)を用意。
・「自律的・主体的なキャリア形成」と聞いて何を意味すると思うかを尋ねた結果として多かったのは、「1.『自分のキャリアの責任は自分にある』と考えること」(64.6%)、「2.自分の価値観に基づいて、自分でキャリアを選択すること」(61.3%)、少なかったのは、「5.会社に頼らないで、自分の力でキャリアを切り拓いていくこと」(38.0%)、「3. 1つの職業や会社にとらわれずに、臨機応変にキャリアを形成すること」(40.1%)。その他は、5割前後の選択率で分散した。

●自身のキャリアを考える上で重要だと思うこと
・同じ10項目に対して、自身のキャリアを考える上で重要だと思うことを3つまで選んだ結果としては、「2.自分の価値観に基づいて、自分でキャリアを選択すること」(29.7%)、「10.自分に合った働き方を主体的に選択すること」(27.6%)が多く、「3.1つの職業や会社にとらわれずに、臨機応変にキャリアを形成すること」(11.9%)、「5.会社に頼らないで、自分の力でキャリアを切り拓いていくこと」(13.7%)が少ない。
・「10.自分に合った働き方を主体的に選択すること」は20代後半に比べて30代前半が選択率が高く、「4. 社外でも通用する専門性を身につけること」「8.新しい経験にチャレンジしながら、自ら成長機会を作っていくこと」は、専門知識・技術の更新スピードが速い仕事をしていると認識している群の方が選択率が高かった。自律的・主体的なキャリア形成における優先順位はライフステージや職務特性によって異なる可能性が示唆された。

●「自律的・主体的なキャリア形成」に関する会社からの期待
・勤務先の会社が「自律的・主体的なキャリア形成」を期待するメッセージを出しているか(以下「会社からの期待」)については、全体の約3分の2にあたる66.1%が、程度の違いこそあれ期待を感じていた。従業員規模では、3000名以上群の方が3000名未満群に比べて有意に高かった。
・会社が求めている「自律的・主体的なキャリア形成」について前問と同様の10項目を用いて確認したところ、「6.何事も成長機会と捉えて、目の前の仕事に主体的に取り組むこと」(43.7%)、「8.新しい経験にチャレンジしながら、自ら成長機会を作っていくこと」(41.5%)、「9.キャリア形成のために必要な学習を、自ら継続的に行うこと」(33.3%)の順に多かった。属性別には、年齢層において「3. 1つの職業や会社にとらわれずに、臨機応変にキャリアを形成すること」で、20代後半(21.9%)が30代前半(7.3%)や40代前半(7.8%)に比べて選択率が有意に高かった。

●「自律的・主体的なキャリア形成」の現状
・同じ項目で、どれくらい自分ができていると思うかを聞いた結果としては、「どちらかといえばできている」まで含めれば、「6.何事も成長機会と捉えて、目の前の仕事に主体的に取り組むこと」(65.3%)、「1.『自分のキャリアの責任は自分にある』と考えること」(64.8%)は約65%ができているとの認識だった。
・総じて「自律的・主体的なキャリア形成」ができていると思うかという質問(以下「実現度」)に対しては、「よくできている」(1.5%)、「できている」(11.6%)、「どちらかといえばできている」(36.4%)を合わせて49.5%ができているとの回答だった。年齢層別では20代後半の平均は他の年齢層と比べて有意に高く、転職経験者は転職未経験者に比べて有意に高かった。従業員規模では1000名未満に比べて10000名以上の平均が有意に高かった。
・実現度と他の変数との関係としては、多くの先行研究と同様に、組織コミットメント目的愛着(.48)、職務適応・パフォーマンス(.57)、職場適応(.40)、人生生活満足(.39)というように有意な正の相関が確認された。

●「自律的・主体的なキャリア形成」に関する考え
<自分>
・「1.自分自身は『自律的・主体的なキャリア形成』をしたい」(81.7%、とてもそう思う〜ややそう思うの合計、以下同じ)という回答が多い半面、「2.『自律的・主体的なキャリア形成』を求められることに、ストレスや息苦しさを感じる」(64.8%)という回答も一定数いる。
<周囲>
・「3.これからは、多くの人に『自律的・主体的なキャリア形成』が求められる」(84.3%)一方で、「5.多くの人にとって『自律的・主体的なキャリア形成』は難しい」(76.3%)と思っている割合も高い。
<会社>
・「6.『自律的・主体的なキャリア形成』を支援してくれる会社の方が、働きがいがある」(76.2%)、「7.『自律的・主体的なキャリア形成』が進めば個人と会社がより対等な立場になれる」(72.6%)というポジティブな回答が多い。「8.『自律的・主体的なキャリア形成』によって、社員の心は会社から離れるものだ」(48.1%)の選択も半数弱あった。

●「自律的・主体的なキャリア形成」への意欲の変化
・「高くなった」(38.2%)、「変わらない」(50.9%)、「低くなった」(10.9%)。年齢層や従業員規模などの属性による有意差はなかった。
・変化に対する回答の理由や変化のきっかけのコメントを見ると、変わらないなかにも、低いまま変わらないという人が一定数いることが分かる。配置・異動、評価・処遇や個人的なライフイベントなど、同様のイベントであっても会社からの対応や本人の捉え方によって両方向の変化がある。

●キャリア形成について困っていること
・実現度・低群の方が統計的に有意に選択率が高かったのは、自己理解の3項目(「1. 自分の実力が分からない」「2.自分のやりたいことが分からない」「3.自分にどんな選択肢があるのか分からない」)と行動の3項目(「7.具体的に何をしたらいいのかが分からない」「8.多忙すぎて、自分のキャリアについて考える時間がない」「9.自分に自信がもてなくて、具体的な行動に移せない」)、会社の1項目(「10.現在勤めている会社では、キャリアの見通しがもてない」)。
・年齢層別には、「3.自分にどんな選択肢があるのか分からない」は40代が少なく、「6.今の成長スピードでいいのか焦りを感じる」は20代が30代後半、40代に比べて多かった。

●キャリア形成を支援する会社の仕組み・制度
・現在導入されているものと、役立っているもの、いずれも相対的に多かったのは「2.資格取得の金銭的補助」(現在導入されているもの54.8% /役立っているもの50.3%)、「1.必要なとき、必要な知識・スキルを学べる機会や仕組み」(同46.7% /44.8%)だった。導入率が低いなかで役立っているのは「20.学びの時間をとれるような柔軟な勤務体系(フレックス、テレワークなど)」(同25.8%/57.0%)だ。選択肢に挙げた仕組み・制度の導入が1つもないとの回答は16.2%、役立っているものはないとの回答は33.9%だった。

●会社・職場への要望や支援を得たいこと
・自由記述回答を分類したところ、学習支援に関するものが184件と多くを占めた。次に多かったのは副業に関する具体的な要望が89件挙げられた。働き方、配置・異動、人事評価、キャリア相談についても一定数のコメントが見られた。

●「良い機会があれば転職したい」という意識に及ぼす影響
・分析結果から、社員が自律的・主体的なキャリア形成をすると会社を辞めてしまうのではないか、という懸念に対しては、会社の目的や理念への共感や情緒的なコミットメントがあればそうはならない可能性が示唆された。
・上記の組織コミットメントは、「自律的・主体的なキャリア形成」に関する会社からの期待との相関関係が確認された。キャリア形成に対する会社からの期待を明確に伝えることが、組織との関係性に好影響をもたらすことが推察される。


調査結果の詳細は、
・弊社機関誌RMS Message vol.64 特集1「キャリア自律の意味すること」調査報告(P.23〜30)
・調査レポート「組織のなかでの自律的・主体的なキャリア形成の実態」をご参照ください。
 

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