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調査サマリー
リモート前後の新入社員適応状況の相違点とは
「新卒入社1年目オンボーディング実態調査」の実施概要は下表のとおりです。
今回実施した調査の結果から、以下のような実態を確認することができました。
●テレワークの実施状況・本調査の回答者の1年目研修期間、1年目配属後、現在の3時点でのテレワーク実施状況を確認。20入社は、1年目研修期間に約4割が「ほぼ毎日」、3時点とも全体の約8割がいずれかの頻度でテレワークを経験している。・19入社の1年目(2019年時点)は、研修期間には8割近くが、配属後も約6割がテレワークをまったく経験していなかった。
●期待役割レベルの認識・期待役割レベルとしては、年次間に統計的な有意差はなかった。・全体で見ると、「2.与えられた仕事について、上司や先輩の指示のもとにきちんとこなせるようになること」(35.6%)が最多。「1.社会人としての基本的なマナーや規律を身につけ、会社や職場に慣れること」(29.3%)、「3.与えられた仕事について責任をもち、自ら周囲の協力を引き出しながらやりきれるようになること」(18.6%)と続く。
●入社1年目に役に立ったもの・もっとあったらよかったもの<業務支援・相談>・仕事をうまく進めたり組織や職場になじんだりする上で、役に立ったもの、不足を感じたものへの回答としては、業務支援・相談については年次間で有意差はない。・1.上司、2.育成担当者、3.職場の先輩たちからの面談や支援については5割から6割近くが役に立ったとの回答で、不足は約2割と全項目のなかでも相対的に低い選択状況。・「4.人事担当者からの支援」については、約3割が不足を感じていた。・20入社の自由記述回答からは、テレワーク下での相談のしづらさが散見された。<社内コミュニケーション>・「5.同期との交流」「7.職場メンバーとの業務外の交流」は、役に立ったとの選択率は19入社で、不足の選択率は20入社で高い。・「6.社内の他の職場の人との交流」は両年次とも約3割が不足。・20入社の自由記述回答からは、同期や他部署の人との交流の少なさを挙げる人がいる一方で、意味の感じられないオンラインでの交流イベントについても語られていた。<学び・インプット>・役に立ったものとして、20入社の方が「12.社内の意思決定ルートについて知ること」が多い。・すべての項目で19入社の方が不足の割合が高い。・20入社の自由記述回答からは、目的が明確でないために無駄に思えてしまうようなインプット機会や、教育制度の未整備などについての記載があった。
●入社1年目の上司の特徴・1年目の直属上司からの関わりとして、20入社の方が統計的に有意に高いのは、「1.どんな内容であっても否定せず、あなたの話を受け止めてくれる」「3.仕事の意義や価値を分かりやすく伝えてくれる」「5.職場や他部署の人との接点を作ってくれる」。
●現在の適応状況・仕事のやりがい、組織コミットメント、キャリアの見通し、社外ネットワーク構築、継続勤務意向、仕事の中心性は、20入社の方が有意に高い。・職場適応や転職意向、働き方に関する考え方などは、年次間で統計的な有意差はなかった。
●入社2年目の変化・2年目になって1年目と比べて変化があったものとして、増加が半数を上回るものは、「1.自分で判断し、主体的に進める度合い」(増加59.8%)、「2.仕事量・労働時間」(同51.9%)、「3.周囲からの期待の大きさ」(同50.1%)である。・「4.新しいことを勉強する時間や機会」は増加38.9%、変わらない37.2%、減少23.9%とばらついていた。・「5.自分から周囲に対して支援を求める必要性」は35.9%が増加しているが、実際の支援については、6.職場、7.上司いずれも増加は24.1%、21.6%にとどまり、変わらないが54.5%。・「5.自分から周囲に対して支援を求める必要性」が増加した人のうち、実際の「6.職場の人からの業務上の支援」が増えた群に比べて、変わらない・減った群は、職務適応、職場適応ともに低い。
●職務適応・職場適応に影響を及ぼす変数・職務適応、職場適応それぞれに対して、1年目のプロアクティブ行動、上司の支援行動(伴走支援・自律支援)、職場の心理的安全性、2年目の職場の人からの業務上の支援、自分から周囲に対して支援を求める必要性、1年目と現在のテレワーク頻度が及ぼす影響について、重回帰分析を用いて確認した。・両年次、職務・職場適応いずれにも共通していたのは、本人の主体的、先取り的な行動を表すプロアクティブ行動である。・20入社の職務・職場適応に共通しているのは、プロアクティブ行動に加え、上司伴走支援と職場の心理的安全性である。職務適応ではさらに、上司自律支援と2年目への職場支援、自分からの支援要請の必要性(マイナス)の影響がある。また、1年目研修期間テレワーク頻度(マイナス)、現在テレワーク頻度の影響も確認された。・19入社では、職務・職場適応ともに、プロアクティブ行動や上司伴走支援に加え、上司自律支援が影響していた。
●入社1年目に周囲に影響を与える程度・入社1年目が終わった時点で「仕事・職場についての違和感や疑問を率直に出し、周囲に影響を与える」ことが「できていた」(十分できていた~ややできていた)と回答したのは60.3%。・他の変数との関係としては、本人のプロアクティブ行動に加え、上司支援や職場の心理的安全性において、できていた・できていなかった群の間で統計的に有意な差が確認された。・自分の発言がきっかけになって、職場での仕事の進め方や社内のルールが変わった経験について聞いた自由記述でも「仕事の進め方について、上司が提案をする場を設けてくれた」「風通しはいい会社なので、発言すれば何かしら動いてくれる」といった周囲の環境についてのコメントがあった。内容としては、「書類のペーパーレス化」「情報共有できる定例会を提案」「新しい支店に行った際に、顧客目線でインテリアや利用しやすい環境を提案して採用された」「業界知識がない新入社員向けに勉強会の実施を要望して実現した」などが挙げられていた。
●多面的な適応の様相・職務適応と職場適応では、両方高いのが48.1%と最多だが、ギャップも存在。20.1%は職場に居場所があっても力を十分に発揮できていないと感じている。・継続勤務意向と転職意向では、「定年まで現在の会社で働きたい」が低く「良い機会があれば転職したい」が高い群が45.5%と最多だが、いずれも高い群が29.0%も存在する。・仕事の中心性では、「仕事以外の生活を充実させたい」という一方で、「打ち込める仕事であれば、仕事中心の生活になることもいとわない」という人が42.7%いる。
調査結果の詳細は、・弊社機関誌RMS Message vol.63 特集1「変わるオンボーディング」調査報告(P.23~30)・調査レポート「リモート前後の新入社員に聞く、入社1年目オンボーディング実態調査」をご参照ください。
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