論文

人こそ最大の資産,支援こそ最大の投資 ―組織-上司-部下間関係における組織支援のトリクルダウン効果―

発表年月
2024年9月

現代の企業組織では従業員の働きがいを高める環境整備が求められ,従業員の組織からの被支援感を示す “知覚された組織支援(以下POS)”の重要性が指摘されている。POSは上司からの支援により促されることが示されてきたが,上司もまた組織内では「部下」でもあることに着目すると,組織から上司への支援が,上司自身のPOSを高めることが予測される。また上司のPOSはやがて部下のPOSを高め,最終的に部下の働きがいを高めることも想定されるが,こうしたPOSのトリクルダウン効果の実証研究は未だ乏しい。本研究では一般企業17社より上司-部下のペアデータを取得し,トリクルダウン効果を検討した。上司44名部下169名の回答によるマルチレベル共分散構造分析の結果,上司が自身のパフォーマンスを組織から公正に評価されていると感じていること,および,パフォーマンス発揮の基盤としてのHR施策が組織において充実していることが上司のPOSを高めることが示された。また上司のPOSの向上は,部下への公正な評価を経て部下のPOSをも高めており,最終的にパフォーマンスやコミットメントの向上にも資することが示された。

発表者
仁田光彦
出典
日本心理学会第88回大会
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