管理者適性検査NMAT中国語版調査2012 日系企業中国法人で評価されるマネジャーの要件

執筆者情報
ソリューション統括部
事業開発部
研究員
酒匂 志野

リクルートマネジメントソリューションズでは、先般「管理者適性検査NMAT中国語版」(以下NMAT-C)をリリースいたしました。本レポートでは、NMAT-Cモニター版を実施した企業を対象に、アセスメントの結果と職務遂行状況や将来の有望性などに関する上司評価との関係性について行った調査の一部についてご報告します。特に、調査対象企業においてより高い評価を得た受検者に見られた特徴を述べ、日本において高い評価を得る管理職との違いについてご紹介していきます。


調査概要

「管理職適性検査NMAT中国語版の調査2012」の調査概要は以下のとおりです。

図表01 調査概要

図表02 NMAT-C概要、測定領域

図表03 上司評価質問項目

中国受検者に多いタイプ
判断の合理性を重視し、ストレス耐性が高い
保守的で注意深い

はじめに、今回の調査対象企業における中国人受検者全体の得点傾向を、日本人母集団の傾向と比較しました。【図表04】にNMAT-C受検者全体の得点平均値を示しています。
なお、各得点は日本人の管理職を母集団とみなして標準化を行っているため、ここでの50点は日本人管理職の平均を示していると想定しています。

図表04 NMAT-C得点(受検者全体)

まずは【性格】について見ていきます。特に50点から値が離れている尺度に注目してみると、対人関係面では「心情―理性」の尺度が「理性」側、「繊細―強靭」の尺度が「強靭」側の傾向を示していることがわかりました。さらに、課題解決面では「維持―変革」の尺度が「維持」側、「思索―行動」の尺度が「思索」側の傾向を示していることがわかりました。また、「性格的適性」においては「実務推進適性」が高く、「指向」においては「組織管理指向」「企画開発指向」「実務推進指向」「創造革新指向」というあらゆる役職タイプについての指向が高いという結果が見られました。

以上のことから、中国人受検者は日本人管理職と比較して、性格面では判断の際にはものの筋道・合理性を重視し、少々のストレスには動じない強靭なタイプ、仕事を進める際には従来のやり方を踏襲する保守性を持ち思慮深いタイプが多く、実務を着実に遂行する業務への適性が高いといえます。また、指向面ではあらゆる役職タイプに対する指向が高いという結果が見られましたが、これは意欲が高いとも考えられますし、意欲の高さをアピールする性質が現れているとも考えられます。

現管理職に多いタイプ
合理的な判断を重視
革新的で集団をリード

NMAT-C受検者のうち、現在既に管理職に就いている人と現在一般職の人の結果を比較しました。【図表05】は、管理職群(274名)、一般職群(158名)ごとに、NMAT-C得点の平均値を示したものです。なお、管理職群と一般職群の比較の際、t検定という統計的手法を用いました。2群の間に統計的に意味がある差がある場合、グラフの右側の列に「*」または「**」が表示されています。

図表05 管理職・一般職 群別NMAT-C得点

【性格】の尺度について見てみると、管理職群は一般職群よりも、対人関係面では「統率」、「理性」、課題解決面では「変革」側の傾向を示しました。次に【性格的適性】の尺度では、管理職群は一般職群よりも「企画開発適性」「創造革新適性」が高いという特徴が見られました。最後に「指向」の尺度では、管理職群は一般職群よりも「企画開発指向」「実務推進指向」が弱いという特徴が見られました。

以上のことから、管理職群は一般職群と比べて、集団をリードする革新的なタイプ、判断の際にはものの筋道を重視するタイプが多いと考えられます。適性面では、企画立案や事業推進といったクリエイティブな職務への適性が高い反面、指向面では、企画立案、実務への指向は弱く、自分一人で取り組む職務に就く意向が弱いと考えられます。

評価の高い管理職
社交的で集団をリード
知的能力が高い

また、NMAT-C受検者のうち、既任管理職のみを対象として、受検者の上司による現在の職務における評価の得点に応じて、G(高評価)群60名、M(中評価)群137名、P(低評価)群77名に分類し、各群の結果を比較しました。【図表06】は、各群のNMAT-C得点の平均値を示したものです。

図表06 「現在の職務における評価」GMP群別NMAT-C得点(管理者のみ)

【性格】について見てみると、G群はP群よりも、対人関係面では「外向」「統率」、課題解決面では「行動」「大胆」側の傾向を示しました。【基礎能力】の尺度では、G群はP群よりも「論理的思考」が高いという特徴が見られました。さらに【性格的適性】【指向】では、「組織管理適性」が高く、「組織管理指向」が強いという特徴が見られました。

上司から管理職として評価されている人は、評価されていない人と比較して、人付き合いが上手で集団をリードすることが得意であったり、思索よりも行動から始めるような傾向があり、思い切りのよい決断を行う、といった特徴があると考えられます。また、基本的な知的能力が高く、組織を統括する職務への適性・指向ももっているようです。

おわりに

以上のことから、中国人管理職あるいは管理職候補は、ものの筋道を重視し、少々のストレスには動じない強靭なタイプであり、保守的で思慮深いという傾向があるようです。そして、その中で相対的に、変革的で集団をリードする性質を持つ人、企画立案業務への適性が高い人が管理職に就いているという現状がうかがえました。

また、社交性や判断の思い切りのよさ、組織を統括する業務への適性は、一般職群と管理職群との間には差が見られず、昇格選考の際さほど重視されていないことが推察された一方で、昇進後の上司評価別の比較からは、そういった性質を持つ人の方が管理職として高い評価を得ていることもうかがえました。昇進前は一人で行なう業務の遂行能力や判断の冷静さが問われ、昇進後はそれに加えてマネジャーとしての人を束ねる能力やタイミングよく判断する能力も問われるようになるのかもしれません。

なお、中国の管理職群の特徴として見られた「統率」「変革」の特徴や、「企画開発」への適性については、2011年に日本人を対象に弊社が行った「管理者適性検査NMAT」(日本語版)の調査結果で、昇進度の高い日本人受検者群が同様の傾向を示す結果が見られています。ただし、一方で上記2群の間には異なる傾向を示す部分もありました。本調査が、検査時点での上司による評価であるのに対し、2011年の調査は数年後の昇進度を指標にしているという違いがあり単純な比較はできない上に、いずれも、あくまで限られたデータから行った分析であるため、今後も日中の管理職の特徴の違いや各調査結果の一般性などについて、継続して研究を進めてまいります。

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