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Vol.02 要因分析における注意点とデータ選定

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HR Analytics & Technology Lab の研究テーマ
Vol.02 要因分析における注意点とデータ選定

執筆者情報

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技術開発統括部
研究本部
部長

湯浅 大輔(ゆあさ だいすけ)
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要因把握における注意点

Vol.01では、要因分析における汎用的なフレームワークとして「IMOフレームワーク」を紹介した。「チームの構成(I)」「チームの状態(M)」「チームの成果(O)」の3つのレベルで成果を出すチームにはどのような要素があるのかを可視化できるというものだが、一方で、チームが成果を上げるための要因や構造は1つではないことに留意する必要がある。IMOフレームワークのような汎用的な枠組を用いたとしても、事業、職種、地域など、要因や構造にはいくつかのパターンがあると考える方が自然なためだ。例えば、同じように成果を上げているA事業部とB事業部をこのフレームワークにあてはめてみると、各レベルで同じ要素が抽出されるとは限らず、異なる要素が挙げられる可能性が高い(図表1参照)。

<図表1>チームが成果を上げるための要因・構造の違い

チームが成果を上げるための要因・構造の違い

この観点を無視してしまうと有益な要因の抽出が難しくなるため、実態把握や分析を行う際には自社においてチームをどのような軸(要因や構造の違いに影響を及ぼす切り口)で区分し、軸の違いをどう捉えるか事前に仮説を設定する必要がある。そして、その仮説を基に分析対象のチームを軸ごとに分類したり、IMOフレームワークの分析で使用するデータを変えたりすることが重要となる。例えば職種(営業、研究開発、エンジニア、人事など)によってチームの構成や成果の種類が異なり、評価するポイントも異なるというのはよくあるケースであり、チームを分類する軸の候補になり得る。また、IMOのなかでもO(成果)に注力し、「目標が数値で捉えられるか否か」「求められる業績が短期か中長期か」といった軸の仮説を立て、実際に分類してあてはまりを確かめてみるのも有効な手段となる。

フレームワークに沿ったデータ選定

では、今回はIMOのうち、チームの成果(O)に絞って、どのような指標・データがあるのかを見ていこう。「チームの成果」を考えるとき、一般的には2つのアプローチが存在する(図表2参照)。「チームのパフォーマンス」はより直接的に業績に結びつけることを重視するアプローチ、「チームの活性度」はメンバーの適応やリテンションを高めることを重視するアプローチだ(ただし、チームの活性度は間接的に業績を高める指標でもある)。

<図表2>「チーム成果」の定義を検討する際の2つのアプローチ

「チーム成果」の定義を検討する際の2つのアプローチ

そして、それぞれのアプローチにおける代表的な指標と測定手法をまとめたのが図表3となる。チームのパフォーマンスで最初に思いつくのは、客観指標である売上や利益、顧客満足度だろう。ただし、そのような客観かつ定量的な指標で捉えられないケースもあり、その場合は上位者やメンバーの評価を基にした指標を活用することでパフォーマンスを捉えられることがある。例えば新規事業の立ち上げをミッションとした組織では、「チームの革新性について」の「上位者評価」を代表的な指標とすることができる。また、よりチーム内のメンバーに焦点を当てた指標として活性度(図表3の②アプローチ)に分類されるものがあり、代表的な指標として客観指標である「離職率」が挙げられる。加えて、サーベイなどを使ってチームに対するいくつかの項目(エンゲージメント・コミットメント・満足度など)を上位者・メンバー回答によって測定し、データ化することで分析に用いることができるようになる。

<図表3>2つのアプローチにおける代表的指標・測定手法例

2つのアプローチにおける代表的指標・測定手法例

まとめ

本記事では、要因分析の際の注意点およびデータ選定例、特にチームの成果(O)の具体例を示したが、これらの指標は企業の方針や存在しているデータによって違いが大きいため、皆さんの組織やチームではどのような指標やデータがあてはまるのかを検討することが、チームに関する分析の第一歩となるだろう。

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