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論文
個人が働く期間が長くなることが見込まれる現代社会において、後期キャリア(late career)と呼ばれる時期の過ごし方や、職場における健やかな加齢(successful aging at work)を考える意義は大きい。本研究では、コロナ禍以降とくに注目を浴びている不確実性のマネジメント(uncertainty management / uncertainty regulation)が、45歳以上の正社員のキャリアにおいて重要であることを示した。
人は自身にとって適切なレベルの不確実性を求めて、刺激が少なすぎれば増やすための、多すぎれば減らすための行動をとる(Griffin & Grote, 2020)。本研究では、業務に関する情報が曖昧または不十分な状態である「仕事の不確実性(work uncertainty)」を、従業員と組織がそれぞれ働きかけて適切なレベルにコントロールすることが、従業員の後期キャリアをより良いものとしているという仮説を検証した。
個人の働きかけとして、「ジョブ・クラフティング」と呼ばれる、従業員自身によって主体的に行われる仕事内容や職務環境の改善行動に着目した。近年、ジョブ・クラフティングの動機には「接近型」「回避型」の2種類があるとされることから両者の影響を検討した。また、ジョブ・クラフティングの効果を、組織の「人材開発的人事管理施策」が高めるかどうかを検討した(図表)。
仮説の検証は45歳以上の正社員を対象とした日本の3時点調査(N = 883)と米国の6週間日記調査(N=289)で行われ、とくに日本のデータを用いた研究1では仮説がすべて支持された。
<図表>検証モデル
第一の発見として、従業員の接近的ジョブ・クラフティング(スキルを活かす仕事を増やしたり、上司や同僚からの支援を獲得したりする行動)は、仕事の不確実性を減らすことを通して、後期キャリアにおける仕事の能力や健やかな加齢の経験を高めていた。反対に、回避的ジョブ・クラフティング(合わない仕事や人との関わりを減らしたりする行動)は、仕事の不確実性を高めることを通して、後期キャリアの質を低下させていた。
第二に、人材開発的な人事管理施策の効果を確認した。すなわち、上記に示した接近的ジョブ・クラフティングの正の効果は人材開発的な人事管理施策によって強化され、回避的ジョブ・クラフティングの負の効果は人材開発的な人事管理施策によって緩和されていた。
本研究では、中堅・ベテラン以上の従業員に対して人材開発的な人事管理を行い、トレーニングの機会などを通して仕事や組織に関する情報やスキルを提供しつづけることが有効であることを示唆している。人材開発的な人事管理を通して不確実性管理を支援することが、年齢の高い従業員を職場に包摂し続けることとなる。すなわち、スキルを活かしたり上司や同僚との関わりを増やしたりするジョブ・クラフティングが促進され、仕事の不確実性を減らすことができ、職場における健やかな加齢を支援することにつながることが示唆された。
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