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研究レポート
職場におけるソーシャル・サポートの効能
「3年3割」ともいわれる若手社員の早期離職。上司や同僚による職場のサポートは、若手社員の離職意思を緩和するのか。ストレス経験の種類によって、効果的なサポートや離職意思に影響するプロセスは異なるのか。本レポートでは、経営行動科学学会での発表論文をもとに、分析結果の一部を紹介したい。
※詳細の研究成果についてご覧になりたい方は、発表論文をご参照ください。経営行動科学学会第18回大会発表論文「職場におけるソーシャルサポートが若手の離職意思に与える影響-イベント型ストレッサーの種類による比較- 」仁田光彦・豊田麻実・飯塚彩(2015)※その他の発表論文もこちら に掲載しています。
若手社員の早期離職には、さまざまな要因が考えられるが、本研究では、職場のサポートの影響、ストレス経験の種類による効果的なサポートの違いに着目した。社会人歴3年未満の1140名を対象にインターネット調査を実施して、分析を行った。使用した変数は、図表1のとおりである。
分析によって明らかになったことを、3つのポイントにそって説明していく。
ポイント1:基本プロセスの確認―「仕事への前向きさ」と「心理的ストレス反応」が「離職意思」に影響を及ぼす
以下のプロセスを確認できた(図表2の青線部分)。●持続的・反復的な仕事のストレス(慢性型ストレッサー)があると、不安や疲労感、抑うつ感などの心理的ストレス反応を引き起こす●仕事に前向きに取り組めている状態だと離職意思は低く、ストレス反応があると離職意思は高くなる
ポイント2:職場のサポートの影響―職場のサポートが「仕事への前向きさ」と「心理的ストレス反応」に影響を及ぼし、「離職意思」を緩和する
これらの早期離職のプロセスにどう対応したらよいかを検討するために、職場のサポートの影響を観点として加えた(図表2の緑線部分)。●同じような仕事のストレスがあったとしても、上司が仕事の範囲や量に配慮してくれていたり、同僚によるサポートがあるとストレス反応は軽減する●同様に、上司や同僚によるサポートがあると、仕事に前向きに取り組める状態になる
ポイント3:ストレス経験による違い―ストレス経験の種類によって、効果的なサポートや離職意思に影響するプロセスが異なる
さらには、持続的で反復的な仕事のストレスだけでなく、「対人トラブル」「仕事の失敗」といったストレス経験(イベント型ストレッサー)の種類によって、効果的なサポートや離職意思に影響するプロセスが異なるかどうかを確認した(図表3)。●「対人トラブル」経験がある場合は、上司サポートのみが仕事への前向きさを高めて離職意思を緩和する●「仕事の失敗」経験がある場合は、職場のソーシャル・サポートすべてが離職意思の低減に寄与する
※本稿は、弊社機関誌 RMS Message vol.54 特集1「職場におけるソーシャル・サポート希薄化する人間関係にどう向き合うか」より抜粋・一部修正したものである。本特集の関連記事や、RMS Messageのバックナンバーはこちら。
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