調査サマリー

フィードバックの「受け取る」「生かす」「提供する」の実態とは

職場におけるフィードバック実態調査

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更新日
職場におけるフィードバック実態調査

「職場におけるフィードバック実態調査」の実施概要は下表のとおりです。

調査概要

調査概要

調査結果の詳細は、
・弊社機関誌RMS Message vol.79 特集1「成長と信頼につながるフィードバック」(P.23~30)
・調査レポート「「受け取る」「生かす」「提供する」、双方向のフィードバックが成長の鍵に」をご参照ください。

調査結果サマリー

今回実施した調査の結果から、以下のような実態を確認することができました。

※本調査では、「フィードバック」は、相手の業務遂行に関する行動や結果に対して、評価や改善策、意見や感想を伝える行為を意味するとして、調査回答者に伝えた。

●上司から/同僚- 部下からのフィードバックの実態

  • 「上司からのフィードバック」では、管理職・一般社員ともに、「良い点についてのフィードバック」「悪い点についてのフィードバック」をそれぞれ5割半ばから約6割の人が得ている(管理職と一般社員の間には有意差なし)。
  • 「同僚-部下からのフィードバック」では、「良い点について」は約5割、「悪い点について」は4割半ばの人が得ている。「良い点について」は、管理職・一般社員ともに、「上司から」と「同僚-部下から」の間に有意差はない。「悪い点について」は、管理職・一般社員ともに、「同僚-部下から」が「上司から」より有意に少ない。
  • 「同僚-部下からのフィードバックは役立っている」は、一般社員58.2%に対して管理職が66.1%と有意に高い。

●フィードバック「受け取り」の偏り

  • フィードバックの受け取りに関して、性別、職種別でも差が見られなかったが、仕事経験の高低別(同僚や部下に比べて「習熟度が低い」「年齢が若い」「職場経験年数が短い」の3項目)では、すべての項目で仕事経験低群が高群より高いことが確認された。
  • 職場風土の影響として、心理的安全性が低い職場では、すべての項目において仕事経験の高低群で大きな差が見られるが、心理的安全性が高い職場では、全体に選択率が高く、「同僚-部下から」の「良い点についてのフィードバック」を除いて両群の有意差は見られなかった。日頃から、自分の考えや気持ちをお互いに安心して発言できると感じている職場では、仕事経験の高低にかかわらず、フィードバックを得やすいと考えられる。

●役に立ったと思うフィードバックの内容や理由

  • 上司や同僚-部下からのフィードバックが「役立っている」と答えた人に対して、業務上の成果や自身の成長・学びに役立ったフィードバックの内容について自由記述を求めた。
  • 「上司からのフィードバック」では内容に関する記述が多く、「業務の改善に関するフィードバック」と「自分の特徴や成長に関するフィードバック」が見られた。
  • 「同僚-部下からのフィードバック」では、管理職において「マネジメントに関するフィードバック」、管理職・一般社員のいずれにおいても「多様な観点からのフィードバック」「気軽なフィードバック」について多くの記述があった。

●ポジティブフィードバック・ネガティブフィードバックの効果

  • 「良い点についてのフィードバックをくれる」「悪い点についてのフィードバックをくれる」それぞれの肯定的回答群をポジH・ネガH、否定的回答群をポジL・ネガLとして、4群(ポジHネガH/ポジHネガL/ポジLネガH/ポジLネガL)に分類し、それぞれの「フィードバックは役立っている」とする回答割合を比べた。
  • 4群の分布では、「上司から」「同僚-部下から」のどちらにおいても、ポジHネガH群(どちらのフィードバックも受け取っている)とポジLネガL群(どちらのフィードバックも受け取っていない)が多数派を占めた。
  • 役立ち感が高い順に、ポジHネガH群、ポジHネガL群、ポジLネガH群、ポジLネガL群である。ポジティブフィードバック、ネガティブフィードバックの両方がそろっていることが効果的であることが示されている。

●増えてほしいフィードバック

  • 今後、増えてほしいフィードバックとして、最も多かった回答は、管理職・一般社員ともに「より実践的なフィードバック」で、特に管理職は50.4%と半数を超えていた。次いで「良い点についてのフィードバック」が多く「悪い点についてのフィードバック」を上回っている。「悪い点についてのフィードバック」は管理職の選択率が37.1%と、一般社員と比べて高かった。
  • 「現在不足しているもの、増えるとよいと思うものはない」と答えた割合は、一般社員では30.2%と管理職の16.5%と比べて多かった。

●フィードバックを生かすための能動的働きかけ

  • 「フィードバックをもらえるよう、積極的に周囲に働きかけている」と回答したのは約2割~2割半で、積極的にフィードバックを求める人は多いとはいえない。
  • フィードバックを積極的に求めない理由としては、「職場の文化がそうでないから」などの職場の要因、「相手に負担がかかるから」などの遠慮・配慮、「課題が増えることを避けたい」といった自己防衛が挙げられた。
  • フィードバックを得るための工夫としては、「定期的に振り返り会を設ける」など機会の設定や、「目的を明示してフィードバックを求める」といった問題や目的の共有などが挙げられた。
  • 「もらったフィードバックのうち、どれを利用するかは、自分で判断している」と回答した割合は、管理職では49.2%、一般社員では39.4%と、管理職の方が高い。

●フィードバックの提供

  • フィードバックの提供については、上司など立場が上の人へのフィードバック、同僚-部下へのフィードバックいずれにおいても、管理職の方が有意に高い。
  • 受け取りと提供の割合を見ると、上司と部下の関係では、上司からの提供が多く、フィードバックのやり取りのバランスはやや偏っている。一般社員同士では、受け取り・提供ともにおおむね均衡している。
  • 「良かれと思ったフィードバックが、悪い結果につながった経験がある」に対して、管理職の41.1%、一般社員の32.6%が該当すると回答した。フィードバック提供の難しさに関する自由記述としては、「褒めたのに素直に受け止めてもらえなかった」「率直に話しすぎて失敗した」「意図が伝わらず関係が悪化した」「結果的に退職につながった」など。
  • うまくフィードバックするための工夫に関する自由記述では、「相手に応じた対応」「良い点と悪い点のセット提示」「理由や改善策を明示」「敬意と信頼を示す」など、具体的な工夫が挙げられた。

●フィードバックと成長感

  • 「提供」と「受け取り」の関係について分析したところ、管理職・一般社員とも、積極的にフィードバックを提供している群は、そうでない群に比べて、「上司は良い点や悪い点についてフィードバックをくれる(良い点・悪い点いずれかで『くれる』と回答)」「同僚-部下は良い点や悪い点についてフィードバックをくれる(同上)」の割合が有意に高かった。
  • 管理職・一般社員を合わせた616名のデータで、成長感を目的変数とした重回帰分析を行ったところ、フィードバックの受け取り(「上司からのフィードバック」「同僚-部下からのフィードバック」)と「フィードバックの積極的な提供」の両方が、成長感に有意に関連していた。職場において、お互いに関心をもちフィードバックし合うことは、共に成長していくための鍵となるだろう。

調査結果の詳細は、
・弊社機関誌RMS Message vol.79 特集1「成長と信頼につながるフィードバック」(P.23~30)
・調査レポート「「受け取る」「生かす」「提供する」、双方向のフィードバックが成長の鍵に」をご参照ください。

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