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「働く人の本音調査2024」第3弾を発表

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会社における経営・人事課題の解決および、事業・戦略の推進を支援する株式会社リクルートマネジメントソリューションズ(本社:東京都港区 代表取締役社長:山﨑 淳 以下、当社)は、従業員規模が50名以上の会社に勤める25歳~59歳の正社員8,376名に対し、「働く人の本音調査2024」を実施し、その分析結果第3弾を公開しました。(第1弾はこちら、第2弾はこちら

第3回となる本調査では、会社の「人事施策(人材開発施策)」の魅力や効果に焦点を当てています。人事施策を増やすと、従業員たちは「会社は社員の成長を支援してくれている」と感じるのでしょうか。このような人事担当者であれば誰もが気になる問いに向き合い分析結果をまとめています。

【エグゼクティブサマリ】

TOPIC1:従業員に人気のある研修は社会背景と関係がある
・「個人選択型研修」や「ITスキル取得支援」などがキャリア自律の背景から人気を集める
・「ITスキル取得支援」「語学海外留学支援」は若い人ほど魅力を感じる人が多い傾向に

TOPIC2: 人事施策の希望と実態の乖離
・最も実施されている「必修研修」でも実施率は半数以下
・従業員が多い会社ほど、人事施策を積極的に実施
・人気のある人事施策を実際に取り組んでいる会社は少ない

TOPIC3:人事施策は被支援感を高める傾向にあり、その結果会社へのエンゲージメントも高まる
・人事施策を積極的に実施する会社の従業員ほど、被支援感を実感する傾向にある
・従業員の被支援感が高まると、会社へのエンゲージメントも高まる傾向にある
・希望の多い人事施策を実施すると、被支援感や会社へのエンゲージメントが高まる可能性がある

参考: パーソナリティタイプによって魅力を感じる人事施策は変わってくる
・従業員の声に耳を傾けながら、自社の施策を充実させていくことが重要

*詳細は調査レポートを参照ください。
本調査では、広く社会に本データを活用いただきたく、回答ローデータおよび各種属性別集計データなどをオープンデータとして開示しています。ご希望の方は、上記調査レポートからお問い合わせください。

1.調査にあたり

今回の調査では、図表0の調査項目で示されている人事施策を対象に調査を行いました。
プレスリリース内では、略称で表記しておりますので、適宜ご参照ください。

<図表0>人事施策の調査項目と記事内での略称

2.調査のポイント

【TOPIC1:従業員に人気のある研修は社会背景と関係がある】

●「個人選択型研修」や「ITスキル取得支援」などがキャリア自律の背景から人気を集める(図表1)

  • 図表1は、魅力的と感じる人事施策を選んでもらった結果です。最も人気があったのは、「個人選択型研修(38.1%)」で、次いで多かったのは「ITスキル取得支援(39.4%)」でした。背景として、現代の日本ではキャリア自律が急速に広まっており、自分が身につけたいスキルを選択して受講する「個人選択型研修」へのニーズが高くなっていることが考えられます。また、DXやリスキリングなどの観点から、ITスキル取得に魅力を感じる人も多いようです。(キャリア自律についてはこちら

図表1:「あなたは、以下の人材開発施策の中で、どれが魅力的だと思いますか。魅力的だと思うものをすべて選んでください。」の回答結果

図表1:「あなたは、以下の人材開発施策の中で、どれが魅力的だと思いますか。魅力的だと思うものをすべて選んでください。」の回答結果

●「ITスキル取得支援」「語学海外留学支援」は若い人ほど魅力を感じる人が多い傾向に(図表2)

  • 次に図表2では、魅力的な人事施策についての年代別の結果です。このデータからは、若手が対象の「OJTリーダー制度」はもちろん、若い人ほど「ITスキル取得支援」や「語学海外留学支援」を魅力的に感じていることが分かります。人生100年時代といわれるなかで、20代、30代はITスキルや語学といった汎用的スキルを若いうちに習得することに意欲的なのかもしれません。

図表2:「あなたは、以下の人材開発施策の中で、どれが魅力的だと思いますか。魅力的だと思うものをすべて選んでください。」の回答結果

図表2:「あなたは、以下の人材開発施策の中で、どれが魅力的だと思いますか。魅力的だと思うものをすべて選んでください。」の回答結果

【TOPIC2:人事施策の希望と実態の乖離】

次に人事施策の実施率を見ていきます。人事施策の実施率は全体的に高い結果ではありませんでした。

●最も実施されている「必修研修」でも実施率は半数以下(図表3)

  • 最も実施されている階層別研修などの「必修研修」であっても、実施率は半分以下の47.3%に留まっています。続いて「OJTリーダー制度」が34.2%、「個人選択型研修」は33.1%となっており、最も少ない「語学海外留学支援」や「MBA海外留学支援」はわずか5%程度にすぎませんでした。

図表3:「あなたの会社では、以下の人材開発施策の中で、どれが実施されていますか。あてはまるものをすべて選んでください。」の回答結果

図表3:「あなたの会社では、以下の人材開発施策の中で、どれが実施されていますか。あてはまるものをすべて選んでください。」の回答結果

●従業員が多い会社ほど、人事施策を積極的に実施(図表4)

  • 次に図表4は、従業員規模別に実施率を比較したグラフです。ここから、ほとんどの施策で共通して、従業員規模が大きいほど実施率が高くなる傾向にあることが分かります。背景として、従業員が多いほど人事部の予算も大きくなることが考えられるため、当然の結果なのかもしれません。

図表4:「あなたの会社では、以下の人材開発施策の中で、どれが実施されていますか。あてはまるものをすべて選んでください。」の従業員規模別の回答結果

図表4:「あなたの会社では、以下の人材開発施策の中で、どれが実施されていますか。あてはまるものをすべて選んでください。」の従業員規模別の回答結果

●人気のある人事施策を実際に実施している会社は少ない(図表5)

  • 図表5は、各人事施策に「魅力を感じている」と回答した人のうち、その施策が会社で実施されて“いない”人の割合です。
    このデータから、図表1で魅力的に感じる割合が高かった「個人選択型研修」が51.4%、「ITスキル取得支援」が65.8%と、実際はどちらも会社での実施率が高くないことがわかります。

図表5:図表1で「魅力を感じている」と回答した人のうち、その施策が会社で実施されて“いない”人の割合

図表5:図表1で「魅力を感じている」と回答した人のうち、その施策が会社で実施されて“いない”人の割合

【TOPIC3:人事施策は被支援感を高める傾向にあり、その結果会社へのエンゲージメントも高まる】

次に、従業員たちが「会社は自分の成長を支援してくれている」と感じているかどうかの被支援感に注目します。

●人事施策を積極的に実施する会社の従業員ほど、被支援感を実感する傾向にある(図表6)

  • 図表6は、図表3の10施策の実施数ごとに、「あなたの会社は、従業員の成長の支援をしてくれていますか」という問いに対し、「あてはまらない」を1点、「どちらかといえばあてはまらない」を2点、「どちらともいえない」を3点、「どちらかといえばあてはまる」を4点、「あてはまる」を5点とした回答結果の平均値グラフです。ここから分かるのは、「人事施策の実施数が多い会社の従業員ほど、会社が自分たちの成長を支援していることを実感している」ということです。

図表 6:「あなたの会社は、従業員の成長の支援をしてくれていますか。」(被支援感)の回答結果の施策数ごとの平均値

図表 6:「あなたの会社は、従業員の成長の支援をしてくれていますか。」(被支援感)の回答結果の施策数ごとの平均値

●従業員の被支援感が高まると、会社へのエンゲージメントも高まる傾向にある(図表7)

  • 図表7は、被支援感に関する回答得点別に、会社へのエンゲージメントの平均値を並べたグラフです。この結果から、「会社から成長支援されていると感じている従業員ほど、会社へのエンゲージメントが高い傾向」がみえてきます。
  • つまり、図表6とあわせて考えると、人事施策は被支援感を高める傾向があり、被支援感が高まると、会社へのエンゲージメントも高まる傾向が想定されます。
  • 本調査における「会社へのエンゲージメント」とは、“今の会社の理念やビジョンに共感している”“今の会社で働き続けたいと思う”“今の会社は魅力的な文化・風土を築いていくことができると思う”“今の会社は成長・発展していくことができると思う”という4つの設問に対し、「あてはまらない」を1点、「どちらかといえばあてはまらない」を2点、「どちらともいえない」を3点、「どちらかといえばあてはまる」を4点、「あてはまる」を5点とした回答の合計値です。

図表 7:「あなたの会社は、従業員の成長の支援をしてくれていますか。」の得点別の会社エンゲージメント平均値

図表 7:「あなたの会社は、従業員の成長の支援をしてくれていますか。」の得点別の会社エンゲージメント平均値

●希望の多い人事施策を実施すると、被支援感や会社へのエンゲージメントが高まる可能性がある(図表8)

  • 図表8は、人事施策ごとに被支援感や会社へのエンゲージメントとの相関係数を算出したものです。
  • このグラフから「個人選択型研修(0.26、0.17)」「必須研修(0.25、0.16)」「ITスキル取得支援(0.21、0.14)」は、被支援感や会社へのエンゲージメントと相対的に関連が強いことがわかります。
  • 特に「個人選択型研修」や「ITスキル取得支援」は、従業員人気が高く(図表1)、まだ実施していない会社も多いため(図表5)、新たに実施する上で狙い目の人事施策かもしれません。

図表8:人事施策ごとの被支援感・会社へのエンゲージメントとの相関

図表8:人事施策ごとの被支援感・会社へのエンゲージメントとの相関

【参考:パーソナリティタイプによって魅力を感じる人事施策は変動する】

参考として最後に深掘りしたデータを提示し、解説します。

●従業員の声に耳を傾けながら、自社の施策を充実させていくことが重要(図表9,10)

  • パーソナリティタイプごとに魅力を感じる人事施策が異なるのかについて、探索的にみてみました。パーソナリティタイプは、当社のアセスメントにおける分類を用いており、図表9の4タイプ(象限)を指します。その上で人事施策の魅力(図表1)のパーソナリティタイプごとの回答結果を図表10で記しています。各象限は、上(チャレンジ)⇔下(コツコツ)、左(ウェット)⇔右(ロジカル)により分類されています。

図表9:4つのパーソナリティタイプ

図表9:4つのパーソナリティタイプ
  • 魅力的な人事施策(図表1)のうちパーソナリティタイプごとの回答結果を図表10に示しています。その中でこの4タイプのうち、Y(調和重視)タイプ・Z(秩序重視)タイプは、「確実さを重視し、ステップを踏んで成長したい」と考える人たちですが、彼らは人事施策全般に魅力を感じる傾向があります。特に、個人選択型研修、ITスキル取得支援、その他資格取得支援、書籍購入支援などに魅力を感じており、ステップを踏んで成長していきたいという特徴が反映されていることが分かります。一方のW(創造重視)タイプは、「新たなことにチャレンジしていきたい」と考える人たちですが、彼らは海外留学支援(MBA・語学留学)を魅力的に感じる傾向が強く出ていました。

図表10:「あなたは、以下の人材開発施策の中で、どれが魅力的だと思いますか。魅力的だと思うものをすべて選んでください。」のパーソナリティタイプごとの回答結果

図表10:「あなたは、以下の人材開発施策の中で、どれが魅力的だと思いますか。魅力的だと思うものをすべて選んでください。」のパーソナリティタイプごとの回答結果

今回の調査では、パーソナリティタイプや年代などによって、魅力的に映る人事施策が異なる、という結果が示されています。また個人属性によっても魅力となる人事施策が異なっている可能性もあるため、所属する従業員の声に耳を傾けながら、自社の施策を充実させていくことが重要かもしれません。

3.調査担当研究員のコメント

株式会社リクルートマネジメントソリューションズ
コーポレート統括部 研究本部 測定技術研究所 所長
仁田光彦(にた みつひこ)

今回の調査では、会社において働く人の能力開発を支援する、人材開発施策にスポットを当てています。現代のビジネス環境は、変化が激しく、獲得したスキルの陳腐化も早く、働く人には、新たなスキルの獲得や、継続的に学ぶ姿勢が求められるようになっています。一方で、変化の激しい環境下だからこそ、働く人だけの力で自律的にキャリアを切り拓いていくこともまた、難しくなってきていると思います。会社は働く人をどのように支援していくとよいのでしょうか。

調査で分かったことを簡単に整理します。
❶働く人にとっての魅力的な人材開発施策や会社における実施実態
・個人で主体的に選択できる研修やIT・語学等の汎用的なスキル獲得を支援する制度が人気で、若手においては特に顕著な傾向。
・一方で、会社の人材開発施策としてはあまり実施されていない現状がある。

❷人材開発施策の実施が働く人や会社に与える影響
・人材開発施策の実施数が多いほど、働く人は会社から支援されていると感じる
・会社から支援されていると感じているほど、会社へのエンゲージメントが高まる

❸年代やパーソナリティといった属性による魅力を感じやすい施策の違い
・属性の違いにより、魅力的に感じる人事施策にも違いがある

今回の調査を通じて、会社における人材開発施策は、働く人の能力開発を促進すると同時に、会社へのエンゲージメントや満足度を高めうる組織開発的な側面をもつ施策であることを再認識しました。働く個人と会社が持続的に成長をしていく上で、今後益々重要性が高まりそうです。会社は、働く個人の声に耳を傾けながら、改めて自社の人材開発施策に目を向けてみてもよいのかもしれません。個人と会社、双方がよりよい関係性を築いていくうえで、本調査が何かしらの示唆を与えられていれば幸いです。

4.調査概要

「働く人の本音調査 2024」第 3 弾を発表の調査概要

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