論文

認知診断モデルの360度フィードバックへの応用と実践-個別最適な行動改善レコメンドの試み-

発表年月
2025年10月

本研究の目的は、360度フィードバックにおける行動改善支援のあり方を、教育測定学の認知診断モデル(CDM)を応用して検討することであった。CDMは回答データから多次元的スキルの習得状況を推定できる統計モデルであり、教育分野では有効性が確認されているが、企業の人材開発領域での活用は進んでいない。
本研究では、リクルートマネジメントソリューションズのPRO-MOAデータ(部長以上N=4,201)を用い、24項目の他者評価得点を二値化し、8アトリビュートから成るQ-matrixを設定してG-DINAモデルで分析した。さらに、協力企業2社の管理職6名に対し、推定された習得パタンに基づく「次に習得すべきアトリビュート」を提示し、インタビューを実施した結果、「実際の仕事場面が想起できた」「すぐに試してみようと思えた」といった反応が得られた。CDMによる360度フィードバックは、行動改善を促す新たな支援手法となる可能性が示唆された。

発表者
坂本佑太朗
山田香
肖 雨知
佐宗駿(東京大学・日本学術振興会)
出典
日本教育心理学会 第67回総会
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