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プレスリリース
少子高齢化や人手不足が進むなか、企業では定年延長や継続雇用など、シニア人材がより長く活躍できる環境の整備が進んでいます。一方で、働く期間が長期化するなか、定年後も意欲や幸福感を保ちながら働き続けるためには、単に「雇用を延長する」だけではなく、一人ひとりが自身の経験や強みを生かし、新たな環境や役割に適応していくことが求められています。
当社の研究からは、これまでと「同じ仕事を続けること」が必ずしも幸福感につながるわけではなく、職場での人とのつながりや、自身が役に立っているという実感、新たな環境に合わせて仕事との関わり方を再構築することが重要であることが見えてきました。シニア本人と企業の双方に向けた示唆とともに、人生100年時代における「幸せに働き続けるためのシニア就労」の在り方をご提案します。
関連企画をご検討の際は、お気軽にご連絡ください。ご取材・寄稿の調整をさせていただきます。
内閣府「令和7年版高齢社会白書」では、現在収入のある仕事をしている60歳以上の人のうち、約3割が「働けるうちはいつまでも」働きたいと回答。「70歳くらいまで」またはそれ以上を合計すると、8割を超える人が70歳頃まで、もしくはそれ以上働きたいと考えています。
また、内閣府「令和8年版高齢社会白書」では、男性の65~69歳の就業者割合は6割を超えるなど、高齢期にも就労をしている現状が見てとれます。
一方で、藤本(2025)によれば、高齢者の就労では、清掃・運搬、生産、サービスなどの仕事に就く人が多く、自分の知識やスキルを活かせる仕事を求めるものの、希望する仕事がないという状況に陥っています。
高齢期を心身ともに健康に過ごす「サクセスフル・エイジング」という考え方では、健康であることに加え、生産的であることや、人とのつながりを持つことが重要とされています。また、仕事は収入を得るだけでなく、「人とのつながり」や「自分が役に立っているという実感」を得る場としても重要な役割を果たします。
今城・藤村・菅原・秋山・檜山(2023)の研究では、シニアの「就労」と「社会活動」は、それぞれ独自に幸福感を高める効果があり、両方を行っている人の幸福感が最も高いことが示されました。就労も社会活動も、サクセスフル・エイジングで言われているように、有能感や人とのつながりを持つ機会を増やすことで、幸福感を高めていることがわかりました。ただし就労については、有能感や人とのつながり機会を増やすことに寄与しない場合に、幸福感を低める影響も、程度としては強くありませんが認められました。
上記の結果を受けて、今城・藤村(2024)では、定年後の仕事で有能感や人とのつながりを持つことができるためには、定年前後をどのように過ごすことが有効かについて、インタビューを行いました。
その結果、定年後の環境変化に適応し、前向きに仕事を続けるうえでは、定年時に「変化を受け入れること」に加え、定年前後の「キャリア意識の明確さ」と「人とのつながりを求める動機」が重要であることが示されました。
さらに、定年前の人間関係も定年後のキャリアに影響します。定年前の仕事で良好な人間関係を築いていた人ほど、新たな人とのつながりを求める「つながり動機」が高く、定年後にも新たな人間関係を構築する傾向がみられました。また、仕事以外でも地域や趣味、学生時代の友人などとの関係を築いていた人は、定年後もそのつながりを継続していました。
定年後も前向きに働き続けるためには、現役時代と同じ仕事や環境を維持することだけが重要なのではなく、環境の変化を受け入れ、自らのキャリアを捉え直し、新たな人間関係や役割を築いていくことが重要だと考えられます。
【出典】今城志保・藤村直子・菅原育子・秋山弘子・檜山敦, (2023). 定年退職後の幸福感を高める自己有用感と人とのつながり. 日本心理学会年次大会https://www.recruit-ms.co.jp/research/thesis/0000000218/今城志保・藤村直子, (2024). シニアの定年前の働き方が定年後の変化適応に及ぼす影響 定年後のシニアを対象としたインタビュー調査から. 経営行動科学学会年次大会.https://www.recruit-ms.co.jp/research/thesis/0000000235/内閣府(2025)令和7年版高齢社会白書https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2025/html/zenbun/index.html内閣府(2026)令和8年版高齢社会白書 https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2026/zenbun/08pdf_index.html藤本真. (2025). 高齢者をめぐる労働市場の動向. 第136回労働政策フォーラム基調報告. https://www.jil.go.jp/event/ro_forum/20250115/houkoku/01-keynote-fujimoto.html
株式会社リクルートマネジメントソリューションズ組織行動研究所主幹研究員 今城志保(いましろ しほ)
1988年リクルート入社。1997年人事測定研究所(現リクルートマネジメントソリューションズ)入社。ニューヨーク大学で産業組織心理学を学び修士を取得。研究開発部門で、能力や個人特性のアセスメント開発や構造化面接の設計・研究に携わる。2013年、東京大学から社会心理学で博士号を取得。現在は面接評価などの個人のアセスメントのほか、経験学習、高齢者就労、職場の心理的安全性など、多岐にわたる研究に従事。 現在、産業組織心理学会常任理事を務める。
株式会社リクルートマネジメントソリューションズ組織行動研究所 主任研究員 藤村直子(ふじむら なおこ)
人事測定研究所(現リクルートマネジメントソリューションズ)、リクルートにて人事アセスメントの研究・開発、新規事業企画等に従事した後、人材紹介サービス会社での経営人材キャリア開発支援等を経て、2007年より現職。経験学習と持論形成、中高年のキャリア等に関する調査・研究や、機関誌RMS Messageの企画・編集・調査を行う。2級キャリアコンサルティング技能士、国家資格キャリアコンサルタント。
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幸せに働き続けるためのシニア就労とは —個人の心理から考える―
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