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プレスリリース
株式会社リクルートマネジメントソリューションズ(本社:東京都品川区、代表取締役社長:藤島 敬太郎)組織行動研究所は、従業員規模300名以上の企業において、20~40代の会社員603名に「職場におけるソーシャル・サポート*実態調査」を実施し、「職場における人間関係やサポートし合う風土を醸成するためのポイント」など、調査結果から見える実態について公表しました。 詳細は7月18日に公表した当社コーポレートサイトの調査レポートからもご参照いただけます。
■サポートをし合える職場づくりの大切さに目を向けるリクルートマネジメントソリューションズ組織行動研究所主任研究員 藤村直子
人と人とが支え合うことのメカニズムや心身の健康をはじめとした効用について、「ソーシャル・サポート」という概念を用いて研究が行われています。その多くは、健康や医療などの分野でのもので、日本の企業組織における研究はあまり進んでいません。そこで、本調査では、職場でのサポートの必要度や充足度、サポートを求める「援助要請行動」の実態を明らかにすることを第一の目標として実施しました。職場で必要なときに必要なサポートを受けられると思えるかどうか、自分からサポートを求めることができるかどうかは、職場の人間関係や個人の意識と関係する部分も大きい部分もありますが、全社的な制度・仕組みを通じて、人間関係構築やサポートし合う風土が醸成できる可能性が示唆されました。本調査が、サポートし合う職場づくりの大切さに目を向けるきっかけになれば幸いです。
■ソーシャル・サポートが組織の長期的な発展につながるリクルートマネジメントソリューションズ組織行動研究所所長 古野庸一
そもそも人間関係はストレスのもとになります。そういう意味において、職場で適度な人間関係を保つことは一概に悪い話ではありません。しかし、健全な経営という観点では、職場で働いている人は、互いが互いに関心を持ち、ソーシャル・サポートを行ったほうが良いでしょう。なぜなら、組織に対して貢献できていない人は、サポートが必要にも関わらず、サポートを頼めない傾向があり、ますます貢献できないということがあるからです。また、誰かに守られているという安心感があると、私たちは探索できるし、挑戦ができます。守られていないと思えば、無難な仕事に従事し、新しい価値を生み出す行為はできなくなります。貢献できていなくても気軽にサポートが頼めるという観点。そして誰かに守られているという安心感から挑戦できるという観点。二つの観点から、ソーシャル・サポートは、健全な経営を行うには欠かせない要素であると考えられます。
企業を取り巻く環境の変化が激しく、人々の働き方も多様化している今、「職場の人間関係の希薄化が進んでいる」と感じている人が多いと言われています。NHKの調査によると、「仕事に直接関係する範囲でのつきあい(形式的なつきあい)」を支持する人の割合は長期的に増加し(1988年 15.1% → 2018年 27.1%)、「何かにつけ相談したり助け合えるようなつきあい(全面的な付き合い)」を支持する人の割合は長期的に減少しています(1988年 44.6% → 2018年 37.2%)。また、当社で実施した本調査の職場の人間の希薄化についての質問でも、44.6%の人が「5年前に比べて希薄化している」と回答しており、やはり職場の人間関係は希薄化しているということが示唆されました。希薄化の要因の1つとしては、企業の業績が安定しておらず、それにともない職場そのものが安心できる場所ではなくなってきたことが考えられます。会社が全面的に頼れる存在でなくなり、会社側も全面的に依存されても困るというメッセージを出している今、職場の人と全面的な付き合いをすること自体がリスクとなり得ます。また、関連して、人間関係が多元化してきていることも要因として挙げられます。そもそも人間関係はストレスのもとになることも多く、「毎日顔を合わせる職場の人たちとは適度な距離感を保つ方がいい」という人も多いでしょう。働く人々が適度な人間関係を保つことを求めているのだとすれば、職場の人間関係の希薄化は一概に悪い話ではありません。しかし、健全な経営という観点では、職場のソーシャル・サポートがあった方がよいと考えます。その理由は「仕事をしていく上では周りからのサポートが必要不可欠であるから」「私たちは誰かに守られているからこそ探索や挑戦ができる“セキュアベース”という考え方が、新しい価値を生み出すことに繋がるから」「上司や同僚からの肯定的な言葉によって自分の可能性に気づき、自信をもって物事を進めることができるようになるから」です。
当社では、職場でのソーシャル・サポートの実態を捉えるため、サポート内容を下記の4種に分類し、調査を実施しました。
仕事で困ったとき、人は誰からどのようなサポートを得たいと思っているのか、それは十分に得られているのか。職場では、必要なときに必要な相手にサポートを求めることはできているのか。職場での人間関係構築や必要なサポートの獲得に役立つ仕組みとは何か。「サポートし合う職場づくり」について、分析・考察しました。
*ソーシャル・サポートウィルズ(Wills,1991)によると「個人が、他者から愛され、大切に思われている、尊敬されている、あるいは相互支援や責任の社会的ネットワークの一員である、などを知覚、経験すること」と定義されています。
■8割以上がサポートを必要としているが、十分得られていると感じているのは6割
■相手によって期待するサポートは異なる
■「期待はずれだったサポート」と「自分がうまくできなかったサポート」は表裏一体
⇒これらは表裏ともいえ、サポートされる側・する側のそれぞれの立場から問題点を把握することが、お互いにとって有用なサポートとは何かを考える視点に役立つ可能性が考察できます。
■5人に1人は援助要請をしていない
■「5年前より職場の人間関係が希薄化している」と感じているのは、全体の半数弱
(1)本人の職場への貢献感サポート必要度、サポート十分度、援助要請ともに20代の方が総じて得点が高いことが分かりました。また、適応感(力の発揮)への回答結果による群分けを行って結果を分析した結果、20代では力が発揮できているほど、援助を求め、得られる傾向が見られましたが、40代では力の発揮が低い群でのみ、サポートを求めることも、十分に得ることもできていないことが分かりました。さらに、力の発揮ができていない40代には、職場の希薄化を感じる傾向も見られました。また、20代、40代ともに力を発揮できていない群では孤独感が強いことも明らかになりました。
(2)組織の制度や仕組み人間関係構築や必要なサポートの獲得に役に立っている制度・仕組みとして、導入割合・役立ち度ともに高いものとしては、「上司との定期的な面談」「定期異動・ローテーション」「集合研修・ワークショップ」が、導入割合がそれほど高くはないものの役立ち度が高いものとしては、「社員同士での飲食の金銭的補助」「社員が集まる場所の設置」「社員による自主的な勉強会」「社内コミュニケーションツール」「業務以外の社内コミュニティ」「会社主催の懇親イベント」などが挙げられました。
⇒職場で必要なときに必要なサポートを受けられると思えるかどうか、自分からサポートを求めることができるかどうかは、職場の人間関係や個人の意識と関係する部分も大きいですが、全社的な制度・仕組みを通じて、人間関係構築やサポートし合う風土が醸成できる可能性が示唆されました。
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職場におけるソーシャル・サポート実態調査
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