「2024年新卒採用 大学生の就職活動に関する調査」の結果を発表

2023年11月20日

安定志向が継続するなか、入社の決め手は「社員・社風」から「仕事内容・勤務地」にシフト
企業への志望度が高まる場面は「インターンシップ」が1位
学生の自己理解と企業理解を深める対話型のコミュニケーションが蛙化予防のカギ

企業における経営・人事課題の解決および、事業・戦略の推進を支援する株式会社リクルートマネジメントソリューションズ(本社:東京都港区 代表取締役社長:山崎 淳 以下、当社)は、2023年度卒として就職活動を行った全国の大学4年生、大学院2年生計1,117名に対し、「2024年新卒採用 大学生の就職活動に関する調査」を実施し、「採用活動や就職活動のハイブリット化の実態」や、「学生の志向・価値観の変化」など、調査結果から見える実態について公表しました。



【エグゼクティブサマリ】

  • 2023年卒から2024年卒にかけて、対面での採用活動経験が増加 (図表1)
  • 仕事に求めることは、「安定」が継続して1位(図表2)
  • 企業に応募する、内定承諾するうえで、「仕事内容が具体的にイメージできること」、「現在のライフスタイルを維持できる場所で働くこと」を重視(図表3・5)
  • 学生の志望度に最も影響が大きい場面は「インターンシップ」が1位(図表4)
  • 入社の最終的な決め手は「社員・社風」から「仕事内容・勤務地」にシフト(図表5)
  • 就職活動を経ても「自己理解ができている」と思う学生は約6割(図表7)
  • 大学1・2年生時に就職活動の一環としてイベントに参加した経験が自己理解の促進に影響(図表8)
  • 採用時にフィードバックを受けたことのある学生は約6割に留まるも、約7割はフィードバックに良い印象を持っている(図表11)

 

 

1. 調査担当研究員のコメント

飯塚彩の顔写真

株式会社リクルートマネジメントソリューションズ
HRアセスメントソリューション統括部
主任研究員 飯塚 彩

面接者・リクルーターを対象とする採用関連トレーニング(年間300件超実施)の開発・統括を10年以上担当。採用後の人材育成に関する企業向けコンサルティングも行う。

 

今年の調査では、内(々)定先企業へのエントリーのきっかけとして「業界への興味」とほぼ同水準で「勤務地」が1位となりました (図表3)。

就職活動の早期から勤務地を重視する傾向は、2020年卒以降段階的に強まっています。背景には、個々人の価値観、社会状況、企業の動きが密接にかかわっています。

学生が仕事に求める価値観の1位は「安定」です(図表2)。この傾向は10年来続いていますが、コロナ禍を機に世の中全体として安心や安定を求める空気が強まったことで、表に出しやすくなったと考えられます。これに呼応して、企業が勤務地域や職種を入社前に確約するケースが増えたことも追い風となっています。また、インターンシップにあたって参加可能な地域で企業の絞り込みを行うことで、早期から勤務地を意識しやすくなっている可能性もあります。

勤務地を重視することは決して悪いことではありませんが、こうした構造の中で優先度が高まりやすいこと、安易に捉えると選択肢を狭めたり、内定後や入社後に「本当にこの会社で良いのか」という不安の要因にもなったりしうることを企業・学生ともに理解しておく必要がありそうです。

 

橋本浩明の顔写真

株式会社リクルートマネジメントソリューションズ
HRアセスメントソリューション統括部
研究員 橋本 浩明

「2024年新卒採用 大学生就職活動調査」の実施・分析および面接者・リクルーターを対象とする採用関連トレーニングの開発を担当。

 

昨今、就職活動においても「蛙化現象」という言葉を耳にするようになりました。この「蛙化現象」(内定や入社をきっかけに学生のモチベーションが急激に下がるように見える現象)の背景には、内定や入社をきっかけに生じる「本当にこの会社で良いのか」という不安があると考えています。就職先の決定という重大な決断において、こうした不安を感じるのは極めて自然なことです。大切なのは、この不安をそのままにせず、学生自身が不安をきっかけに「自分が大切にしたいことは何か」を問い直して自己理解を深め、納得感を持って意思決定できる状態をつくることです。

深い自己理解は様々な判断や決断の基礎となりますが、本調査の結果では、自己理解ができていると思う学生は約6割に留まっています(図表7)。納得感のあるキャリア構築に向けて、学生は様々な体験を通じて継続的に自己理解を深めていくことが大切です。また、企業は、学生の内定辞退や早期離職、入社後の停滞を予防するためにも、選考における対話型のコミュニケーションを通じて相互理解を深めるとともに、内定後も学生の状態を把握し、不安の解消をフォローしていくことが重要です。



2. 調査の結果

 

● 就職活動における対面・WEBの経験は「WEBのみ経験あり」の比率が減少(図表1)

・2024年卒は2023年卒と比較すると、いずれのフェーズでも「WEBのみ経験あり」の比率が減少。

・2024年卒はインターンシップについて「どちらも経験あり」が52.6%、座談会・社員交流会について「どちらも経験あり」が51.0%と、対面・WEBが混在。

→ 参加のしやすさへの配慮と考えられる。

・3次面接以降〜最終面接前について「対面のみ経験あり」は2023年卒が36.4%、2024年卒が44.5%、最終面接について「対面のみ経験あり」は2023年卒が44.8%、2024年卒が52.4%と対面の比率が大きく増えている。

→ お互いを見極める重要な局面においては、対面での接点が重視されていることがわかる。

図表1

 

● 仕事に求めることは2017年卒以来順位に大きな変化はなく、「安定」「貢献」「成長」がTOP3を維持(図表2)

・「仕事に対する価値観」について特に重要だと思うものは、「安定」が43.3%、「貢献」が34.1%、「成長」が30.8%と、2017年卒以来順位に大きな変化はない。

→ 安定した環境に身を置いた上で、貢献・成長していきたいという考えが定着している。

図表2

 

● 学生が企業に応募する動機は、勤務地、業界、製品・サービスに対する親近感(図表3)

・内(々)定企業にエントリーするきっかけとなった事柄は「希望する勤務地で働けそうだから」が65.7%、「業界に興味があったから」が64.7%、「製品・サービスに興味があったから」が57.8%。

・「社名やグループ名を知っていたから」は2023年卒が50.3%に対し、2024年卒が55.1%と増加している。

→ 勤務地の重視度が高くなっており、安定志向の強さがうかがえる。また、エントリーより前に経験するインターンシップ応募の際に参加可能な地域で企業を絞り込むことで、勤務地をより意識しやすくなっている可能性もある。

図表3

 

● 学生の志望度に最も影響が大きい場面は「インターンシップ」が1位(図表4)

・学生の志望度に最も影響が大きい場面としては、「面接」(20.0%)とほぼ同水準で「インターンシップ」(21.1%)が1位に。「会社説明会」は、対面からWEBでの実施の転換点となった2021卒を境に選択率が減少。

→ インターンシップが就職活動の一歩目として定着していることがうかがえる。

図表4

 

● 内定承諾の最終的な理由は「自分のやりたい仕事(職種)ができる」が15.1%で最多。次点は「社員や社風が魅力的である」の9.2%だが、選択率は年々低下(図表5)

・内定承諾の最終的な理由は「自分のやりたい仕事(職種)ができる」が15.1%で最多。次点は「社員や社風が魅力的である」の9.2%だが、選択率は年々低下。

→ 要因として、採用時に職種や勤務地を確約する企業が増加していることが考えられる。意思決定要因として社員や社風の魅力の重視度が下がっているとはいえ、依然として志望度への影響度は大きい。企業は、学生が企業とのあらゆる接点から企業のスタンス、社員や社風を感じ取っていることを理解する必要がある。

図表5 学生の内定受諾の最終的な決め手

 

● 入社予定の企業との接点を望む理由は「社風や職場の雰囲気について知りたい」、「仕事内容や進め方を知りたい」など学生によって様々(図表6)

・入社予定の企業との接点を望む理由TOP3としては「社風や職場の雰囲気について知りたい」が38.5%、「仕事内容や進め方を知りたい」が38.0%、「同期や先輩と上手くやっていけそうか知りたい」が29.7%。

→ 学生は内定後も入社予定企業との接点を望んでいる。一方、各項目の選択率にはばらつきがあり、接点を望む理由は学生によって様々。

図表6

 

● 就職活動を経ても、自己理解ができていると思う学生は約6割(図表7)

・「自分がどのようなことに興味があるか、よくわかっている」は59.7%、「自分がどのようなことが得意かよくわかっている」は59.1%、「自分のいいところも悪いところも理解できている」は61.2%と、就職活動を経ても、自己理解に関する項目については「あてはまる」「どちらかといえばあてはまる」と回答している学生は6割程度にとどまる。

→ 納得感のあるキャリア構築に向けては深い自己理解が前提となるが、就職活動を経ても自己理解ができているとする割合が6割というのは高い数字とはいえない。

図表7

 

● 大学1・2年生時の就職活動経験は、自己理解を深めるのに有用(図表8)

・大学1・2年生時に就職活動の一環としてイベント等に参加したことがある学生のうち、51.4%が「自己理解が深まり、自己分析がはかどった」と回答。

→ 大学1・2年生時の就職活動経験は、自己理解を深めるのに有用といえる

図表8

 

● 自己理解に役立つ活動は様々(図表9)

・大学1・2年生時の活動別に、「自己理解が深まり、自己分析がはかどった」と回答した人の割合を見てみると、どの活動においても6割前後となっている。

→ 選択制のキャリアデザインの授業、キャリアカウンセリングなど、自分自身について考えることを目的とした活動だけでなく、インターンシップや学外の就職イベントなども自身を知ることにつながっている。進路選択にあたって自己理解を深めるためには、社会人の世界に触れる体験も重要であることがわかる。

図表9

 

● 就職活動についての相談経験・社会人との対話経験がある人は自己理解の度合いが高い(図表10)

・大学入学から回答時までの間に、就職活動の悩みについて周囲に相談をしたり、アドバイスをもらったりしたことがある人は、「自分のいいところ・悪いところ」「どのようなことが得意か」「どのようなことに興味があるか」のいずれについても理解度が高い。また、社会人としての生活や働くことについて、社会人とじっくり話した経験の有無についても同様の傾向がみられる。

→ 他者とのコミュニケーションを通して、内省が深まる可能性がある。自己理解を深めるためにも、他者への相談や対話を積極的に行うことが有効と考えられる。

図表10

 

● 採用時にフィードバックを受けたことのある学生は約6割。約7割はフィードバックに良い印象を持っている(図表11)

・就職活動をする中で、企業からあなたの印象や評価を伝えられた(フィードバックを受けた)経験のある学生は61.1%。

・71.7%(「良い印象」と「どちらかといえば良い印象」の合計)の学生はフィードバックに良い印象を持っている。

→ 別項目のフリーコメントからは、学生は、どこが評価につながったのか、入社後の活躍イメージや会社で貢献できそうな点などについてのフィードバックに良い印象を持っていることが伺える。企業は、学生の特徴を踏まえた上で、その学生のどのような点が自社に合うと考えたか、入社してから求められそうなことは何かなどを誠実に伝えることをお勧めしたい。

図表11



3. 調査概要


※調査実施は株式会社インテージに委託

プレスリリースは、PDFでもご覧いただけます。

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