【調査発表】マネジメントに対する人事担当者と管理職層の意識調査2022年

2022年09月27日


管理職層の現状と課題とは
管理職層が日々の業務で困っていること1位は「業務改善」
「自分の所属組織は自律共創型組織であることが必要だと思う」が半数を超える

企業における経営・人事課題の解決および、事業・戦略の推進を支援する株式会社リクルートマネジメントソリューションズ(本社:東京都品川区 代表取締役社長:山崎 淳 以下、当社)は、2022年6月に、企業の人事担当と管理職(マネジャー・課長・部長)300人に対し、「マネジメントに対する人事担当者と管理職層の意識調査2022年」を実施し、その調査結果を公表しました。

*詳細は 調査レポート をご参照ください。


1. 調査の背景


2020年に始まった新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けた社会の変化は、私たちのビジネス環境にも大きな転換をもたらしました。その後、数回の緊急事態宣言を経て2022年の春ごろからは出歩く人も増え、企業でもテレワークから出社に戻す企業も増えてきました。

このように変化を繰り返す環境において、ミドルマネジメント層の現状はどうなっているのか、昨年に続いて人事担当者と管理職層を対象とした調査を行いました。調査結果をもとに、今後の管理職層・マネジャー育成の指針や今後の組織のあり方についてご紹介していきます。

※昨年実施した同調査のレポートはこちらをご参照ください。


2. 調査の結果


● 組織課題について「新価値創造・イノベーションが起こせていない」が人事1位、管理職3位(図表1)


・ 人事担当者に会社の組織課題について尋ねたところ、選択数が多い順に1位「1.新価値創造・イノベーションが起こせていない」(66.7%)、2位「2.次世代の経営を担う人材が育っていない」(66.0%)、3位「3.難しい仕事に挑戦する人が減っている」(64.0%)という結果だった。

・ 同じ設問に対する管理職層の回答は1位「2.次世代の経営を担う人材が育っていない」(64.7%)、2位「4.ミドルマネジメント層の負担が過重になっている」(62.0%)、3位「1.新価値創造・イノベーションが起こせていない」(60.0%)だった。

→ 「2.次世代の経営を担う人材が育っていない」については、本調査をスタートした2020年から毎年選択率上位の課題である。一方、「1.新価値・イノベーションが起こせていない」は、本年の調査で人事・管理職層とも順位が上がった。人事が選択した課題の3位で「3.難しい仕事に挑戦する人が減っている」が上がってきたことからも、新しい仕事や価値を生み出すことへのニーズが高まる一方、その対応が想定通りに進んでおらず、企業の課題として挙げられている可能性が考えられる。
ここ数年、仕事だけでなく、学習や購買、エンターテインメントや日常のコミュニケーションなどさまざまな活動のオンライン化が急速に進んだ。また、そのことは単なるオンライン化を促進するだけでなく、私たちの日常行動や価値観にも大きな影響を与えている。そうした先の読めない急速な変化が起こり得る社会のなかで、今までの延長線上にはない新価値の創造に取り組む人材の獲得・育成が、企業にとって重要課題になっていることは想像に難くない。また、そのような期待が高まるなか、ますますミドルマネジメント層への期待は高くなっているのではないだろうか。「4.ミドルマネジメント層の負担が過重になっている」について人事の選択率は4位だったが、管理職層は2位となった。



図表1 会社の組織課題(2022年) ※選択率は「よくあてはまる」と「あてはまる」の合算


会社の組織課題




● 「管理職に期待していること」「管理職の役割」の1位は人事・管理職ともに「メンバーの育成」(図表2)


・ 人事担当者に「管理職に期待していること」(3つまで選択)を尋ねたところ、最も選ばれた項目は、「1.メンバーの育成」(42.7%)だった。次いで、「2.業務改善」(26.7%)、「3.担当部署のコンプライアンス・勤怠管理の徹底」(23.3%)だった。

・ 管理職層に「管理職として重要な役割」(3つまで選択)を尋ねたところ、人事と同様に「1.メンバーの育成」(46.0%)が1位だったが、続いては「5.担当部署の目標達成/業務完遂」(32.0%)と「2.業務改善」(30.7%)が選ばれた。

→ 選択順位が高い項目のなかでも、メンバーの育成や目標達成、業務改善は管理職層の基本ミッションであるため上位に来ることは当然とも考えられる。一方、リモートワークが進むなかでメンバーの勤怠管理や、機密情報の管理などコンプライアンス観点での期待が人事から高まっている。


図表2 管理職に期待していること・管理職の役割(2022年)

管理職に期待していること・管理職の役割



● 管理職層が日々の業務で困っていること1位は「業務改善」(図表3)


・ 管理職層に、日々の管理職業務で「困っていること」(いくつでも選択可)を尋ねたところ、上位から「1.業務改善」(48.0%)「2.メンバーの育成」(44.0%)「3.目標達成のための業務推進」(35.3%)が選ばれた。

→ 図表2で管理職層が考える重要な役割としては「メンバーの育成」が1位だったが、困っていることとしては「業務改善」の選択率が高い結果となった。


図表3 【管理職層】困っていること(2022年・いくつでも) n=150

【管理職層】困っていること




● 「業務改善」についてはコーチングによる個別サポートが求められている(図表4)


・ 「管理職の役割」として1位にあがっていた「メンバーの育成」については、「A.研修などでのインプット」(28.8%)や「B.上司や人事からの具体的なアドバイス」(25.8%)の選択率が高く、これらのサポートは「すでに実施しているサポート」としての選択率も高くなっている。

・ 一方、「管理職層が困っていること」の選択率で1位として挙がった「業務改善」について、「G.外部の専門家によるコーチング」を求めるという選択が31.9%と、一番多い結果となった。

→「業務改善」については難度が上がっており、コーチングなどによる個別での対応を求める声が強まっているのではないか。


図表4
上表:【管理職層】管理職業務で困っていることに対して周囲に求めるサポート
下表:【人事担当者】すでに実施しているサポートと、これから実施を検討しているサポート

困っていること・サポート



● 「自律共創型」組織への取組み(図表5)


・ 図表5の、Aの選択肢で表される組織は、方針や仕事の進め方は固定的で、決定した目標を効率的に実行していくことが業績達成へとつながり、以前から多かった「実行型」のマネジメントが有効である。一方Bの選択肢で表されるような組織は、先が読みづらく変化のスピードが速い環境下にあり、その変化に合わせて個人や組織が学習しながら自律して判断をしていく「自律共創型()」のマネジメントが有効だ。

※2021年度の調査から呼称を変更


図表5 実行型のマネジメントが適する組織と自律共創型のマネジメントが適する組織

実行型のマネジメントが適する組織と自律共創型のマネジメントが適する組織



● 「自律競争型のマネジメントが適する組織」の傾向が「外部環境の複雑性」や「上位方針の曖昧性」において高まる(図表6)


・ 管理職が担当している組織について「A.実行型のマネジメントが適する組織」と「B.自律共創型のマネジメントが適する組織」のどちらの傾向が強いか質問した結果について、昨年と比較すると「1.外部環境の複雑性」と「3.上位方針の曖昧性」の項目について、「Bに近い/どちらかといえばBに近い」という回答の選択率が高くなっている。

・ Bの自律共創型のマネジメントが適する組織の特徴は、「1.自組織を取り巻く環境の変化はめまぐるしく、ほとんど予測が立たない」「3.上位方針や戦略が抽象的で、自組織で取り組むことは自分たちで考えて設定することが求められる」だった。

→ VUCA※環境のなかでトップ層が具体的な戦略を描くことが難しくなっている状況がうかがえる。前問までの結果から分かってきた「新価値創造」への期待が高まっていることや、管理職にとって「業務改善」の難度が上がっている背景にはこのような変化がありそうだ。
→ また、「5.変化対応の複雑性」や「9.自律の必要性」といった項目も、Bの自律共創型のマネジメントが適する組織側の選択率が、昨年よりも高くなっている。管理職層は、組織の変化に合わせて、業務の改善や推進、メンバーの育成などの役割に取り組むことが求められる。

※VUCA:Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)

図表6 【管理職】担当している組織の状況

【管理職】担当している組織の状況



● 「自分の所属組織は、自律共創型組織であることが必要だと思う」が半数を超える(図表7)


・ 管理職に「自律共創型組織」について尋ねたところ、「2.自分の所属組織は自律共創型組織であることが必要だと思う」という設問に対して、「そう思う」「ややそう思う」と回答した人が全体の65.7%だった。

・ 「3.実際に自律共創型の組織運営に取り組んでいる」という設問に対して、「そう思う」「ややそう思う」と回答した人は47.4%だった。



図表7 自律共創型組織への移行度

自律共創型組織への移行度



● 自律共創型の組織運営に向けて取組んでいること1位は「組織のビジョンを自分の言葉でメンバーに語る」(図表8)


・ 自律共創型の組織運営に向けた取組みのなかで「行っている」の回答率が最も高いのは、「2.組織のビジョンを自分の言葉でメンバーに語る」(22.4%)、次いで「6.メンバー同士の自発的な情報共有や相互のサポートを促す」(20.9%)だった。



図表8 【管理職層】自律共創型組織に向けた組織運営の実施状況

管理職層の自律共創型組織に向けた組織運営の実施状況



● 自律共創型組織に向けた組織運営の難しさ1位は、「あいまいな状況の中でも先を見て、組織のビジョンを打ち出す」(図表9)


・ 「難しいと感じていること」について選択率が高かったのは「1.あいまいな状況の中でも先を見て、組織のビジョンを打ち出す」、「6.メンバー同士の自発的な情報共有や相互のサポートを促す」だった。

→ ビジョンの打ち出しやメンバー同士の相互サポートの促進は重要性が高く、取り組んでいる組織が多い一方、なかなか難しいと感じられている現状がうかがえる。


図表9 自律共創型組織に向けた組織運営の難しさ

自律共創型組織に向けた組織運営の難しさ



3. 調査担当研究員

 

調査担当木越株式会社リクルートマネジメントソリューションズ
組織行動研究所 主任研究員
木越 智彰


2009年、株式会社リクルートマネジメントソリューションズ入社。グローバル案件対応・海外事業マーケットリサーチ・専属トレーナーのマネジメント業務を経験し、現在はマネジメント層を対象にした研修の企画開発に従事する。企業人の成長モデルを言語化し、現場マネジャー向けに構成した『部下育成の教科書』執筆。


4. 調査担当研究員のコメント


本調査において、「【管理職層】困っていること〈図表3〉」の結果において、前年度までと比較し、「メンバーの育成」と「業務改善」の順位が逆転したことは、象徴的だと考えられます。「会社の組織課題(2022年)〈図表1〉」において、「中堅社員の小粒化」が課題としての順位を落としていることからも、コロナ禍での環境の変化に徐々に適応し、試行錯誤しながらのマネジャーによる育成が徐々に効果を発揮している様子がうかがえます。

一方で、「実行型のマネジメントが適する組織と自律共創型のマネジメントが適する組織〈図表5〉」における「自組織を取り巻く環境の変化はめまぐるしく、ほとんど予測が立たない」「上位方針や戦略が抽象的で、自組織で取り組むことは自分たちで考えて設定することが求められる」という項目の選択率は高く、前年度と比較してもさらにこの傾向が強まっていることをうかがわせます。そうした環境変化が激しいなかでの「業務改善」は、より一層難度が増していると考えられます。

そのなかで、マネジャー個人だけでは、「業務改善」「新価値創造」に向けたテーマ設定を行うことやその実行に難しさを感じており、だからこそ外部の専門家のアドバイスを求めるニーズが高まっているといえます。

今や、自組織のなかだけで新価値創造を進めることは困難で、いかに外部リソースと協働できるか?また、個人ではなく組織として必要な組織行動がとれるか?が競争力を高める決め手になります。

その証左として、マネジャーは自律共創型組織への転換の必要性を強く感じており、いろいろな工夫を行っている様子がうかがえます(【管理職層】自律共創型組織に向けた組織運営の実施状況〈図表8〉)。しかし「メンバー同士の自発的な情報共有や相互のサポートを促す」行為については、マネジャーは取り組んでいるものの、難しさも感じていることから、自律共創型組織運営に向けて、まだまだ十分にメンバーを巻き込めていないことも想定されます(自律共創型組織に向けた組織運営の難しさ〈図表9〉)。

自律共創型組織の運営には、何が求められるのか? マネジャー自身も手探りのなかで、方法論を学ぶことや、他のマネジャーとの対話のなかからヒントを得ていく、といった機会を必要としているのではないでしょうか? また、これまでのやり方から脱却し、マネジメントスタイルの転換を果たすには、マネジャー自身もこれまでの経験から得た学びを捨てる「アンラーニング(学習棄却)」も必要です。

加えて、マネジャーが自律共創型組織への転換を必要としている今、人事としては、マネジャーだけがそれに取り組むのではなく、組織全体として転換できるようにメンバー層にも自律共創型組織の概念を共有し、メンバーの自律を促していく施策を連動させていくことが重要だと考えられます。



5. 調査概要


調査概要

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