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プレスリリース
“マッチョイズム”は害悪か? 疲弊感などの悪影響があるという意見の一方で、状況次第でポジティブに作用することが明らかに
企業における経営・人事課題の解決および、事業・戦略の推進を支援する株式会社リクルートマネジメントソリューションズ(本社:東京都港区 代表取締役社長:山﨑淳 以下、当社)は、規模50名以上の企業で働いている20歳から59歳までの正社員933名に対し、「職場における『強さを競う文化』に関する調査」を実施しました。
働き方改革や「令和モデル」への移行により、日本の雇用慣行が見直されつつあります。その中で、時間や気力・体力を大幅に仕事へ割くことを前提とした働き方の限界がしばしば指摘されています。本調査では、そのような「強さを競う文化」(弱みを見せない/力強さ・スタミナがある/仕事最優先/競争に勝つことが望ましいとされる)について、個人や職場での受け止められ方の違いや影響などを明らかにすることで、実態の把握や適切なマネジメントのあり方を探ることを目的としています。
*詳細は調査レポート(https://www.recruit-ms.co.jp/issue/inquiry_report/0000001408/)を参照ください。
株式会社リクルートマネジメントソリューションズ組織行動研究所 研究員 大庭りり子強さや勇敢さを重視し、弱さを排除して、積極的に競争して相手に勝とうとする考え方は「マッチョイズム」と呼ばれます。これは「覇権的な男性性」を重視する文化ともいわれています。本調査では、現代日本の職場におけるマッチョイズムの実態や受け止められ方に迫ると共に、マッチョイズムが生じる背景や効果的に作用し得る環境について探求しました。なお、本調査の質問紙においては、 調査回答者が偏ったイメージを想起することを避けるため、「マッチョイズム」の代わりに「強さを競う文化」という表現を用いました。調査結果の一部からは、管理職は一般社員よりも「強さを競う文化」に対して過剰感を抱いている傾向が明らかになりました。これは、管理職・管理職候補者の不足という昨今の課題に、「強さを競う文化」が影響している可能性を示しています。また、「強さを競う文化」の程度の高さは疲弊感につながる一方で、職場の包摂性(多様な個人が受け入れられ、存分に生かされている状態。本調査においては「私の職場では、仕事上の役割だけでなく、個々人の性格や人柄も大切にされている」などの5項目の平均値)が低い場合においては「強さを競う文化」の程度の低さが離職意向につながる可能性があるという結果は、示唆に富むものでした。「強さを競う文化」の程度・包摂性のいずれも低い職場は、「実際に退職をしているわけではないが、意図的に仕事を制限し、必要最低限のことしかしない『静かな退職』」のような状態になりかねないのかもしれません。このように、マッチョイズムは多様な側面をもち、過剰になってはならない一方で、完全に排除すればいいというものでもないと考えられます。本稿が、自社の望ましいマッチョイズムのあり方を模索する一助となれば幸いです。
株式会社リクルートマネジメントソリューションズ組織行動研究所 研究員 大庭りり子
強さや勇敢さを重視し、弱さを排除して、積極的に競争して相手に勝とうとする考え方は「マッチョイズム」と呼ばれます。これは「覇権的な男性性」を重視する文化ともいわれています。本調査では、現代日本の職場におけるマッチョイズムの実態や受け止められ方に迫ると共に、マッチョイズムが生じる背景や効果的に作用し得る環境について探求しました。なお、本調査の質問紙においては、 調査回答者が偏ったイメージを想起することを避けるため、「マッチョイズム」の代わりに「強さを競う文化」という表現を用いました。
調査結果の一部からは、管理職は一般社員よりも「強さを競う文化」に対して過剰感を抱いている傾向が明らかになりました。これは、管理職・管理職候補者の不足という昨今の課題に、「強さを競う文化」が影響している可能性を示しています。また、「強さを競う文化」の程度の高さは疲弊感につながる一方で、職場の包摂性(多様な個人が受け入れられ、存分に生かされている状態。本調査においては「私の職場では、仕事上の役割だけでなく、個々人の性格や人柄も大切にされている」などの5項目の平均値)が低い場合においては「強さを競う文化」の程度の低さが離職意向につながる可能性があるという結果は、示唆に富むものでした。「強さを競う文化」の程度・包摂性のいずれも低い職場は、「実際に退職をしているわけではないが、意図的に仕事を制限し、必要最低限のことしかしない『静かな退職』」のような状態になりかねないのかもしれません。
このように、マッチョイズムは多様な側面をもち、過剰になってはならない一方で、完全に排除すればいいというものでもないと考えられます。本稿が、自社の望ましいマッチョイズムのあり方を模索する一助となれば幸いです。
<図表1>職場の「強さを競う文化」の程度Q.あなたの職場では、次のことはどの程度あてはまりますか。〈単一回答/n=933/%〉
<図表2>「強さを競う文化」に対する考えQ.あなたは、「強さを競う文化」に対して、どのように考えていますか。 なお、ここでいう「強さを競う文化」とは、弱みを見せないこと、力強さやスタミナがあること、仕事を最優先すること、競争に勝つことが望ましいとされること、といった文化を指します。〈単一回答/n=933/%〉
⇒職場の現状として「仕事を最優先すること」の程度は相対的に低かったが、それでも「仕事を最優先すること」は過剰だと感じる人が多い。図表1の項目では、「仕事を最優先すること」を労働時間や休暇の側面で具体化していたが、例えばプライベートな時間も仕事のための自己研鑽に費やすべきだという風潮があるなど、その他の事象が生じている可能性もある。
<図表3>「強さを競う文化」の過剰な構成要素Q.「強さを競う文化」の特徴のうち、あなたの職場において、どれが過剰だと感じていますか。あてはまるものをすべてお選びください。(自社の『強さを競う文化』は過剰だ」に「とてもあてはまる」「あてはまる」「ややあてはまる」と回答した人のみ)〈複数回答/n=418/%〉
<図表4>「強さを競う文化」の良い影響Q.職場の「強さを競う文化」があなたの職場やあなた自身に対して良い影響を及ぼしていることはありますか。 そう感じた具体的な出来事や場面、良い影響の内容があれば、お書きください。〈自由記述から抜粋〉
<図表5>「強さを競う文化」の悪い影響Q.職場の「強さを競う文化」があなたの職場やあなた自身に対して悪い影響を及ぼしていることはありますか。 そう感じた具体的な出来事や場面、悪い影響の内容があれば、お書きください。〈自由記述から抜粋〉
⇒総合職、地域総合職、一般職などコース別の雇用が行われている会社においては、賃金体系や成長の機会の多寡なども異なると考えられ、「総合職なのだから高い成果を出して当然である」「総合職なのだから弱音を吐いていたら他の立場の人に示しがつかない」といったような声掛けをされたり、当人もそういった責任を感じたりしている場合が少なくないと推察できる。
<図表6>「強さを競う文化」の程度や過剰感の違い
<図表7>組織制度の有無Q.以下の制度は、あなたの会社にありますか。あると認識できているものをすべてお選びください。〈複数回答/n=933 /%〉
⇒これらの結果は一見矛盾する印象があるかもしれないが、管理職=立場が強い、とも限らないのではないか。自身の発言が部下にどう受け取られるか、常に不安を抱いている管理職もいるだろう。昨今の管理職は特に、かつてよりも複雑で多様な環境下で、より高い成果や完璧な対応を求められ、「強さを競う文化」に高い過剰感を抱いている可能性がある。近頃各所で課題として挙げられている管理職の疲弊感や管理職・管理職候補者不足の一因に「強さを競う文化」の影響があるとも考えられる。⇒また、過剰感だけでなく周囲の過剰感の認識も一般社員より管理職の方が高かった点に関しては、管理職の方が日常的に自身の部下が過剰感を抱いていないか注意を払っていることや、エンゲージメント・サーベイなどを通じて、自分が管理している組織と他の組織の過剰感を比較する機会があること などによるものと考察できる。
⇒これは、昇進を目指す一般社員は前述のような管理職の視座を早期からもてていると捉えられる一方で、昇進を目指す過程では個人の意向を問わず強さを競わざるを得ない状況に置かれること、そして、その状況に苦しさを感じている人が少なくないとも解釈できる。
<図表8>「強さを競う文化」の過剰感の違い
<図表9>コース別雇用の会社で働いている一般社員における 「強さを競う文化」の過剰感の違い
⇒心理的居場所感は職場の包摂性と相関があるといわれており、今回の調査においても有意な正の相関関係にあったが、職場を自分の居場所だと感じられるかどうかは、包摂性だけでなく、「強さを競う文化」の程度も関係していることが分かった。
⇒「強さを競う文化」の程度が高くても、職場の包摂性が高ければ、同僚の援助などの役割外行動をする人が多くなるのだといえる。包摂性が高い職場においては、 個人間の競争よりもチームや組織など集団間の競争を意識するようになり、その結果として職場内では組織市民行動が増えるものと推察できる。
⇒「強さを競う文化」は昇進意欲につながりそうな印象もあるが、 ②強H包Lよりも③強L包Hの方が高得点であることから、包摂性の方が昇進意欲の観点からは重要な要素なのだと解釈できる。
⇒「強さを競う文化」は疲弊感につながりやすく、それはたとえ包摂性が高い職場であっても、あまり緩和されることがないと考えられる。
⇒職場の包摂性が低い場合においては、「強さを競う文化」の程度が低い方が離職意向が高く、これもまた、「強さを競う文化」がポジティブに作用し得ることの証左かもしれない。「強さを競う文化」の程度・包摂性のいずれも低い職場は、「実際に退職をしているわけではないが、意図的に仕事を制限し、必要最低限のことしかしない『静かな退職』」のような状態になりかねない可能性がある。
<図表10>「強さを競う文化」高低群・包摂性高低群のクロス集計〈単一回答/n=933〉
<図表11>「強さを競う文化」×包摂性別の結果指標(個人の意識)
プレスリリースは、PDFでもご覧いただけます。
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