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「企業における『リスキリング』『学び直し』の推進に関する実態調査
【個人調査編】」の結果を発表

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この1年で仕事に関する知識・スキルを学んだ人は約9割
学んだ理由は、必要性からが7~8割と最も多く、興味や楽しさから学んだ人も6~7割程度
学習支援の制度や仕組みがあり、企業から期待メッセージを受け取っている方が、
新しい知識・スキル習得の傾向が高い

企業における経営・人事課題の解決および、事業・戦略の推進を支援する株式会社リクルートマネジメントソリューションズ(本社:東京都港区、代表取締役社長:山崎 淳以下、当社)は、一般社員・管理職552名に対し、「企業における『リスキリング』『学び直し』の推進に関する実態調査【個人調査編】」を実施し、「過去1年の新しい知識・スキルの習得機会やその理由」、「所属企業における支援制度や仕組み」など、調査結果から見える実態について公表しました。

なお、182社の人事・人材開発の責任者・担当者から回答を得た「企業における『リスキリング』『学び直し』の推進に関する実態調査」(2024年1月15日公表、以降【企業調査編】)と共通した設問への回答を求めた部分については、調査対象企業が異なるため参考値となりますが、個人の実態、企業の実態を比較しながら考察しています。企業調査編においては、新しい知識・スキル獲得を会社が主導する場合を「リスキリング」、個人が主導する場合を「学び直し」として用語を使い分けています。

 

【エグゼクティブサマリ】

  • 仕事に関する新しい知識・スキルの習得が必要と回答したのは約6~7割。実際に過去1年に何らかの知識・スキルの習得機会があったのは9割近く(図表1)
  • 学んだ理由は、必要性からが7~8割と最も多く、興味や楽しさから学んだ人も6~7割程度。不安、環境変化や機会提供が学ぶきっかけとなった人も半数超(図表2)
  • 過去1年の仕事における新しい知識・スキルの習得機会があった人は、会社からの教育訓練プログラムの提供や費用面での支援などの導入割合、役立ち割合(図表3)、上司へのキャリア相談、働く場所の柔軟な選択、希望する研修・講習の受講など個人選択型HRMの導入割合(図表4)が高い
  • 約7割が新しい知識・スキル習得に関する会社から従業員への期待を感じているが、具体的なメッセージの発信があるという認識は約4 割にとどまる(図表5)
  • 会社からの具体的な期待メッセージを受け取っている方が、新しい知識・スキルを学んでいる(図表7)

1. 調査担当のコメント

株式会社リクルートマネジメントソリューションズ
組織行動研究所
主任研究員 藤澤理恵

株式会社リクルートマネジメントソリューションズ
組織行動研究所
主任研究員 藤村直子

2024年1月に公表した「企業における『リスキリング』『学び直し』の推進に関する実態調査」(【企業調査編】)と調査項目を一部あわせて、施策の受け手である個人が会社からのメッセージや支援をどのように認識しているかを確認するための【個人調査編】を実施しました。【企業調査編】では企業主導の「リスキリング」、個人主導の「学び直し」というように使い分けていましたが、【個人調査編】ではわかりやすさと明快さを考慮して、「仕事に関する新しい知識・スキルの習得」という表現を用いました。

4種類の仕事に関する新しい知識・スキルの習得機会、(A)現在の仕事に直結するもの、(B)過去から現在までの専門性や得意領域を強化するためのもの、(C)将来に向けて自社内での新しい仕事を担う・創造するためのもの、(D)大きなキャリアチェンジにつながるもの、について聞きました。「社会人は学んでいない」などといわれることも多いですが、4つの知識・スキルのうち1つも習得機会がなかったという回答は13.9%にとどまりました。すなわち、この1年に仕事に関する知識・スキルを何らか学んだという人が9割近くいたことになります(図表1)。

しかし、習得機会はA、B、C、Dの順に減少し、必要性の認識と習得機会のギャップも大きくなっていきます。現在の仕事に関わるAやBにくらべて、別の仕事やキャリアにつながるCやDの知識・スキル習得機会は得にくく、「リスキリング」の難しさが回答結果に表れているといえます。経営者や人事などからは、「リスキリング」の課題として個人の学ぶ意欲を引き出すことの難しさがよく語られます。また大人の学びは、「必要性」による動機づけが重要であるといわれます。ですが、「リスキリング」の動機づけに関しては、必要性の認識だけでは不十分といえるでしょう。

実際に、過去1年に新しい知識・スキルの習得機会があった人たちが学んだ理由は、必要性からが7~8割と最も多かった一方、興味や楽しさから学んだ人が6~7割程度、不安、環境変化や機会提供が学ぶきっかけとなった人も半数を超えました(図表2)。

また、過去1年に何らかの新しい知識・スキルの習得機会があった群の方が、学習支援の制度や仕組み(図表3)、社内キャリアや働き方における個人の選択を重視する「個人選択型HRM」(図表4)の導入割合が高く、新しい知識・スキルの習得を期待する会社からの具体的なメッセージ(図表7)を認識していることが確認されました。

個人の「リスキリング」の動機づけは必要性の認知だけではないこと、制度や経営方針の具体的なメッセージなど環境要因の影響もありそうであることが本調査を通じて確認されました。今後さらに分析を進め、個人の学習動機と環境要因ではどちらが学びへの影響が大きいのか、何が期待メッセージの認知と関係しているのかなどを検証していく予定です。

2. 調査の結果

● 仕事に関する新しい知識・スキルの習得が必要と回答したのは約6~7割。実際に過去1年に何らかの知識・スキルの習得機会があったのは9割近く(図表1)

  • 新しい知識・スキル習得の必要性について、必要である(「大いに必要である」「やや必要である」)との回答は、「A.現在携わっている仕事に直結する知識やスキル」(69.0%)から「D.別の仕事や働き方へのキャリアチェンジにつながる知識やスキル」(58.9%)まで緩やかに減少するが、いずれも6~7割程度が必要と認識。「全く必要ない」はいずれの知識・スキルにおいても1割前後。
  • 過去1年の習得機会については、「A.現在携わっている仕事に直結する知識やスキル」の選択率が最も高く、「大いにあった」~「あまりなかった」との回答は83.7%、「全くなかった」とした回答は16.3%のみであった。
  • A、B、C、Dの順に習得機会があったとする選択率は低下するが、もっとも選択率が低い「D.別の仕事や働き方へのキャリアチェンジにつながる知識やスキル」においても、「大いにあった」~「あまりなかった」との回答は68.8%で、約7割は何らかの新しい知識・スキルの習得機会をもっていた。
  • A、B、C、Dの4つとも習得機会が「全くなかった」を選択したのは13.9%であった。すなわち、9割近くにのぼる86.1%はA、B、C、Dのいずれか1つ以上の新しい知識・スキルの習得機会があったことになる。
  • 4つとも、必要性が習得機会を上回っているが、そのギャップはA、B、C、Dの順に大きい。

図表1 仕事に関する新しい知識・スキル習得の必要性と1年間の習得機会

[習得の必要性]仕事に関して、今後、新しい知識やスキルを学ぶ必要を感じていますか。
[過去1年の習得機会]過去1年で、仕事に関する新しい知識やスキルについて学ぶ機会がどのくらいありましたか。<単一回答>

図表1 仕事に関する新しい知識・スキル習得の必要性と1年間の習得機会

● 学んだ理由は、必要性からが7~8割と最も多く、興味や楽しさから学んだ人も6~7割程度。不安、環境変化や機会提供が学ぶきっかけとなった人も半数超(図表2)

  • 過去1年の仕事に関する新しい知識・スキルの習得(図表1)において、いずれかに「大いにあった」「少しあった」と回答した人に学んだ理由を聞いたところ、「とてもあてはまる」「少しあてはまる」の選択率が高かったのは、「1.業務上で必要だったから」(78.0%)、「2.将来、いろいろなことに役立つから」(74.3%)、「3.将来の仕事に役立つから」(72.5%)、「4.自分のキャリア形成につながるから」(70.5%)といった必要性を感じたことによるもの。
  • 「7.その内容が知りたいから」(72.0%)、「8.新しいことを学ぶのが楽しいから」(64.2%)といった興味や楽しさから学んだ人も6~7割程度。
  • 「11.学んでおかないと不安だから」(63.6%)などの不安、「14.学ぶことに使える時間ができたから」「15.偶然、学ぶ機会が得られたから」(いずれも55.5%)などの環境変化や機会提供が学ぶきっかけとなった人も半数を超える。
  • 一方、「17.学ばないとまわりの人がうるさいから」(39.9%)などの周囲からのプレッシャーが学びにつながったとする回答は4割に満たない。 

図表2 仕事に関する知識・スキル習得の理由

過去1年で、仕事に関する新しい知識やスキルについて学ぶ機会があったという方にお聞きします。あなたが学んだ理由として、次のことはどの程度あてはまりますか。
<単一回答/n=346>
※過去1年の仕事に関する知識・スキル習得機会のいずれかの設問において、「大いにあった」「少しあった」と回答した人

図表2 仕事に関する知識・スキル習得の理由

● 過去1年に仕事における新しい知識・スキルの習得機会があった人は、会社からの教育訓練プログラムの提供や費用面での支援などの導入割合、役立ち割合が高い(図表3)

  • 過去1年の仕事に関する新しい知識・スキルの習得(図表1)において、いずれかに「大いにあった」「少しあった」と回答した「学びあり群」と、「大いにあった」「少しあった」が1つもなかった「学びなし群」に分け、自社の知識・スキル習得支援の制度や仕組みとして導入されているもの、役立っているものの選択率を確認した。
  • 選択肢として挙げたすべての制度や仕組みにおいて、導入割合、自身の成長や学びの役に立っている割合は、「学びあり群」が「学びなし群」を統計的に有意に上回った。
  • 2群間の得点差が大きかったのは、導入割合、役に立っている割合ともに「1.教育訓練プログラムの提供」(導入割合:学びあり群49.4%、学びなし群23.8%、得点差25.6pt/役に立っている割合:学びあり群23.7%、学びなし群7.8%、得点差15.9pt)、「4.費用面での支援」(導入割合:同38.7%、17.5%、21.3pt/役に立っている割合:同18.2%、4.4%、13.8pt)。

図表3 知識・スキル習得支援の制度や仕組み(過去1年の学び程度別)

現在お務めの会社での知識・スキル習得支援の制度や仕組みについて伺います。
1.現在の会社で導入されているもの
2.そのうち、ご自身の成長や学びの役に立っているもの
について、あてはまるものをすべてお答えください。
<複数回答>

図表3 知識・スキル習得支援の制度や仕組み(過去1年の学び程度別)

● 過去1年に仕事における新しい知識・スキルの習得機会があった人は、上司へのキャリア相談、働く場所の柔軟な選択、希望する研修・講習の受講など個人選択型HRMの導入割合が高い(図表4)

  • 社内キャリアや働き方における個人の選択を重視する「個人選択型HRM」の導入割合を、図表3と同様の「学びあり群」と「学びなし群」に分けて確認した。
  • 選択肢として挙げたうち、9つの施策において、導入割合、自身の成長や学びの役に立っている割合は、「学びあり群」が「学びなし群」を統計的に有意に上回った。
  • 2群間の得点差が大きかったのは、「12.面談などで上司にキャリアについて相談できる制度」(学びあり群26.9%、学びなし群12.1%、得点差14.7pt)、「2.テレワークなど、働く場所を柔軟に選べる制度」(同40.8%、27.7%、13.1pt)、「13.希望する研修や講習を受講できる制度」(同25.7%、13.6%、12.1pt)、「7.社内公募など、他部署へ手挙げで異動を希望する制度」(同28.6%、18.0%、10.7pt)。

図表4 個人選択型HRMの導入状況(過去1年の学び程度別)

次のような人事施策のうち、あなたの所属企業で現在導入されているものとして、あてはまるものすべてをお選びください。
<複数回答>

図表4 個人選択型HRMの導入状況(過去1年の学び程度別)

● 約7割が新しい知識・スキル習得に関する会社から従業員への期待を感じているが、具体的なメッセージの発信があるという認識は約4 割にとどまる(図表5)

  • 従業員に新しい知識・スキルを身に着けることの会社からの期待を感じている(「強く期待するメッセージを、経営者やマネジメント層から出している」~「具体的なメッセージはないが、経営者やマネジメント層からの期待がある」)のは、73.1%。
  • 具体的なメッセージの発信(「強く期待するメッセージを、経営者やマネジメント層から出している」「ある程度期待するメッセージを、経営者やマネジメント層から出している」)は41.8%。
  • 【企業調査編】とほぼ同様の傾向。

図表5 会社からの新しい知識・スキル習得を期待するメッセージの発信

あなたの所属企業において、従業員に新しい知識・スキルを身に着けることを期待するメッセージはどの程度発信されていますか。
<単一回答>

図表5 会社からの新しい知識・スキル習得を期待するメッセージの発信

【企業調査編】出所:リクルートマネジメントソリューションズ(2024)企業における「リスキリング」「学び直し」の推進に関する実態調査
貴社において、従業員に会社主導の「リスキリング」および個人主導の「学び直し」それぞれを期待するメッセージはどの程度発信されていますか。
<単一回答/n=182/%>

● 会社から発信されているメッセージの内容は、会社の変化への備え、事業・市場創造、DX、既存事業のため不可避、個人のキャリアの可能性の拡大など(図表6)

  • 会社から発信されているメッセージの内容としては、「2.会社が今後起こりうる変化に備えるために必要なこと」(51.0%)、「3.自社が新しい事業や市場を創造するために必要なこと」(42.8%)の選択率が高く、「4.自社のデジタル・トランスフォーメーションのために必要なこと」(37.6%)、「1.既存事業を維持するために避けられないこと」(30.9%)、「8.個人のキャリアの可能性を広げる手段となるもの」(27.8%)がそれに続く。
  • 【企業調査編】では、企業主導の「リスキリング」と個人主導の「学び直し」ごとに一部傾向の違いはあるものの(「9.個人の主体性に任せた自己啓発的なもの」など)、設問間の高低については、おおむね個人調査と企業調査は同様の傾向。

図表6 メッセージの内容

従業員が新しい知識・スキルを身に着けることについて、会社から、どのようなメッセージが発信されていますか。あてはまるものをすべてお選びください。
<複数回答>
※前問で「強く期待するメッセージを、経営者やマネジメント層から出している」「ある程度期待するメッセージを、経営者やマネジメント層から出している」を選択した人が回答

図表6 メッセージの内容

参考)【企業調査編】

【企業調査編】出所:リクルートマネジメントソリューションズ(2024)企業における「リスキリング」「学び直し」の推進に関する実態調査
貴社において、従業員に会社主導の「リスキリング」および個人主導の「学び直し」それぞれを期待するメッセージはどの程度発信されていますか。

参考)【企業調査編】

● 会社からの具体的な期待メッセージを受け取っている方が、新しい知識・スキルを学んでいる(図表7)

  • 会社からの新しい知識・スキル習得を期待するメッセージの発信(図表5)の回答別に、過去1年の仕事に関する新しい知識・スキル習得(図表1)の傾向を確認したところ、会社からの期待メッセージを受け取っている方がいずれの知識・スキルにおいても学んでいる。

図表7 過去1年の仕事に関する新しい知識・スキル習得(会社からの新しい知識・スキル習得を期待するメッセージの発信別)

図表7 過去1年の仕事に関する新しい知識・スキル習得(会社からの新しい知識・スキル習得を期待するメッセージの発信別)

※新しい知識・スキルの習得機会について、「4:大いにあった、3:少しあった、2:あまりなかった、1:全くなかった」として、メッセージの発信状況別に平均値を算出
※「ns」と記載のある群間は有意差なく、それ以外はすべて有意差あり 

● 仕事に直結する知識・スキルを個人主導で学んでいる人もいれば、キャリア形成に関する知識・スキルを会社主導で学んでいる人もいる。知識・スキルの種類によって学ぶ方法は一様ではない(図表8)

  • 11種類の知識・スキルを挙げ、それぞれ(1)会社の制度を利用して学んだことがあるもの(以下、会社主導の学び)、(2)会社の制度を利用せず自主的に学んだことがあるもの(以下、個人主導の学び)としてあてはまるものをたずねたところ、それぞれの知識・スキルに対して(1)(2)両方の方法を選択した人は一部に過ぎず、ほとんどは(1)(2)いずれかの方法を選択している。
  • 仕事に直結する職務遂行・事業推進場面でも(2)の個人主導を選んでいたり、キャリア形成でも(1)の会社主導を選んでいたりと、知識・スキルの種類によって方法は一様ではない。
  • (1)の会社主導のみの場合は、会社の制度による機会提供がなければ学んでいない可能性もあり、会社の制度による機会提供の有効性がうかがえる。

図表8 学んだことがある知識・スキルの種類

次のような知識・スキルのうち、
(1)所属している会社の制度(プログラム提供、金銭的支援など)を利用して、あなた自身が学んだことがあるもの
(2)会社の制度を利用せず、自主的に(個人で、同僚と一緒になど)学んだことがあるもの
として、それぞれあてはまるものすべてをお選びください。
<複数回答>

図表8 学んだことがある知識・スキルの種類

3. 調査概要

■調査対象:従業員規模300名以上の企業で働いている正社員のうち、入社して1年以上が経過している、20~59歳の一般社員・管理職

■調査方法:インターネット調査(※調査実施は株式会社クロス・マーケティングに委託)

■調査期間:2023年9月8~10日

■有効回答数:552名

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