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プレスリリース
企業における経営・人事課題の解決および、事業・戦略の推進を支援する株式会社リクルートマネジメントソリューションズ(本社:東京都港区 代表取締役社長:山崎 淳 以下、当社)の提供するマネジメント支援ツール「INSIDES」は、従業員数300名以上の企業で働く経営者・人事・一般社員・管理職の計800名に「人的資本開示に関する実態調査」を実施し、2023年3月期決算から上場企業などを対象に開始した人的資本開示義務化の認知度の他、内閣官房が公表した「人的資本可視化指針」で掲げられている開示項目7分野19項目に対する企業の取り組みや課題の実態を把握し、「人的資本可視化指針」を基にした法整備と現場の取り組み状況の実態の違いを明らかにすることを目的とし本調査を実施しました。
【エグゼクティブサマリ】
株式会社リクルートマネジメントソリューションズHRM統括部HRMサービス開発部INSIDESエンタープライズグループ マネジャー主任研究員 荒金 泰史
人的資本に関する情報開示が上場企業などを対象に義務化されましたが、開示に向けた各社の取り組み状況には開きがあり、一部の企業では十分に準備が進んでいないことが本調査により明らかになりました。特に整備が進んでいない理由として、約3割が「課題が多く、公開に躊躇」と答えている点には、人的資本に関する困難さと開示に対する人事・経営者の戸惑いや不安が表れています。
「人材育成」分野の「育成」項目について、経営者・人事と一般社員・管理職の間で取り組みの認識に差 があることが確認されました。一般社員・管理職で約 4 割が人的資本開示に対し「取り組むことができている項目はない」と回答していることは特筆すべき点です。経営者・人事は取り組めていると思っていても、一般社員・管理職は取り組めていないと思う項目は19 項目中 18 項目とほとんどであり、取り組みを進化させていくためには、現場の課題認識を確認すること、現場を取り組みに巻き込むこと、現場に成果や取り組み状況を共有することなどが必要になってくると考えております。 一方で、付随して実施した当社が提供する1on1支援ツール「INSIDES」の利用企業に対して行ったアンケート結果からは、「離職率」「休職率」「育休取得率」「エンゲージメント」などの指標において、一般に向けた調査結果と比べて「INSIDES」利用企業における数値が良いことも明らかになりました。
この結果は、直属の上司が従業員に与える影響の大きさや、上司部下のコミュニケーションを改善していくことが人的資本に関わる様々な指標によい影響を与える可能性を示唆しています。マネジメントやコミュニケーションといったテーマは、その状態のよし悪しを感覚的に判断してしまいやすい領域ですが、別紙には、管理職研修のプロセスの中で従業員コンディションに関するサーベイ結果を定量的な指標として用いることにより、現場における自走的PDCAが促した事例を掲載しています。
● 上場企業の経営層で人的資本開示の義務化自体を知らなかった人が約2割(22.1%)(図表1)
・人的資本開示義務化の認知度について、経営者・人事では31.3%、一般社員・管理職では67.0%が「初めて知った」と回答し、有意な差がみられた。また上記のうち上場企業の経営者・人事で「初めて知った」と回答した人が22.1%だった。
→ 上場・非上場企業ともに、未だ人的資本開示義務化の認知度は低いようだ。認知度については、経営者・人事と一般社員・管理職で差があり、現場レベルで浸透していないことが伺える。
● 人的資本の開示に向けた現状の情報整備に満足していない理由として「人材不足」が1番にあげられ、「課題が多く、公開することに躊躇しているから」が31.0%と2番目に多かった。(図表2)
・人的資本の開示に向けた現状の情報整備に満足していない理由を尋ねたところ、「情報開示に向けた専門スタッフがいない、または人員が不足しているから」が33.3%で一番多く、次いで「課題が多く、公開することに躊躇しているから」が31.0%と二番目に多く回答された。
→ 人的資本情報自体に課題があるため、開示に躊躇している人が3割いることが明らかになった。特に上場企業においては、6月以降有価証券報告書で人的資本情報の開示が義務化されていることから、人的資本情報の課題解決に向けた施策を打っていくことが企業の課題として急務であることが伺える。
● 人的資本開示の7分野19項目の中で、取り組むことが出来ていると思う項目について尋ねたところ、特に「人材育成」分野の3項目については、経営層と現場社員の間で10.0%以上の大きな差がみられた。経営層では2割(21.8%)、現場社員では4割(40.5%)が「取り組むことができている項目はない」と回答。(図表3)
・人的資本開示の7分野19項目の中で、取り組むことが出来ていると思う項目について、経営者・人事と一般社員・管理職との回答には全体的にギャップが生まれているが、特に「人材育成」の3項目については10.0%以上の大きな差がみられた。
・経営・人事では21.8%、一般社員・管理職では40.5%が「取り組むことができている項目はない」と回答した。
・特に流動性(採用・維持・サクセッション)の項目については、全体的に低い回答率となった。
→ 19項目中18項目とほぼすべての項目で経営者・人事と一般社員・管理職の間の認識に差があり、取り組む内容自体の改善だけでなく取り組んでいる内容を社内に伝達することも必要だと考えられる。
● 7分野19項目の開示項目の中で、「取り組んでいて効果が出ている」と思う上位5項目では経営層、現場社員共に「労働慣行」分野が多く挙げられており、一方「取り組んでいるが効果が出ていない」と思う上位5項目を見たところ、経営層は「流動性」分野の2項目、現場社員は「人材育成」分野の全ての項目があげられた。(図表4)
・開示項目の中で、「取り組んでいて効果が出ている」と思う上位5項目については、経営者・人事、一般社員・管理職共に、「労働慣行」分野(組合の関係、児童労働・強制労働など)が多く回答された。
・経営者・人事では「流動性」分野の2つの項目(採用・サクセッション)、一般社員・管理職では「人材育成」分野の全ての項目(リーダーシップ・育成・スキル・経験)が「会社として取り組んでいるが効果が出ていない」上位5項目に入った。
→ 経営者や人事では、経営視点での人材確保や後継者の育成に課題を感じているが、現場レベルでは人材育成に課題を感じており、視座の違いでの差が生じていると考える。いずれにせよ、人材の採用や育成は取り組んでいるが効果が出ていないと感じる項目として、企業は他項目よりも課題を多く感じているようだ。
● 離職率は平均11.5%、休職率は平均7.8%、育児休業取得率は38.1%。(図表5)
・離職率や休職率について尋ねたところ、離職率は平均11.5%、休職率は平均7.8%という結果に。
・離職率は、5%未満が31.5%と回答が1番目に、次いで10%以上20%未満の回答が26.9%と2番目に多く回答された。
・休職率は、0%以上5%未満が約4割(48.6%)を占めた。
・育児休業取得率は、20%未満が47.6%、次いで80%以上が25.1%と回答された。
● (参考1)「INSIDES」導入企業の離職率・休職率・育児休業取得率ついて
・INSIDES導入企業へ同様の質問をしたところ、離職率は平均4.4%、休職率は平均2.6%、育児休業取得率は平均78.7%という結果となった。
● 経営層の課題3番目に挙げられる「エンゲージメント」分野に関わる内容として、「働きやすさ・仕事のやりがい」を調査したところ、両方とも満足していると回答した人は半数にも満たなかった。(図表6)
・経営者・人事、一般社員・管理職の合計でみると、「仕事のやりがい」を感じている人(とても満足している、やや満足しているの合計)は48.9%、「働きやすさ」を感じている人(とても満足している、やや満足しているの合計)は49.3%と、半数に満たない結果に。
・「仕事のやりがい」「働きやすさ」ともに、一般社員・管理職よりも経営者・人事の方が満足度が高い
● (参考2)「INSIDES」導入企業の働きやすさ・仕事のやりがいの満足度について
・「INSIDES」導入企業では、「仕事のやりがい」を感じている人(とても満足している、やや満足しているの合計)は68.9%、「働きやすさ」を感じている人(とても満足している、やや満足しているの合計)は69.0%と、約6割以上の結果になった。
「INSIDES」導入企業の働きやすさ・仕事のやりがいへの満足度調査
プレスリリースは、PDFでもご覧いただけます。
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