プレスリリース

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【調査発表】
2023年新卒採用 大学生の就職活動調査

公開日
更新日

~ ハイブリッド面接が一般化、ミスマッチを防ぎ入社後の定着につながる採用・就職活動とは ~
内定承諾の最終的な理由は「自分のやりたい仕事(職種)ができる」が過去最高
ハイブリッド面接が一般化するなか、企業への志望度が高まる場面は「面接」が1位
自己理解と社会人への自覚を高める対話型の面接コミュニケーションがミスマッチ予防のカギ

企業における経営・人事課題の解決および、事業・戦略の推進を支援する株式会社リクルートマネジメントソリューションズ(本社:東京都港区 代表取締役社長:山崎 淳 以下、当社)は、2023年卒に向けて就職活動を行った全国の大学4年生、大学院2年生計1316名に対し、「2023年新卒採用 大学生の就職活動に関する調査」を実施しました。「採用活動や就職活動のハイブリット化の実態」や、「自己理解・社会人としての自覚の深度」などの調査結果をもとに、入社後も社員がいきいきと働き、職場に定着・活躍するための採用・就職活動のポイントなど、調査結果から見える実態について公表しました。

1. 調査のポイント

■ 採用活動や就職活動のハイブリット化の実態
 

● 説明会・1次面接は約6割がオンラインでの実施を希望。一方インターンシップ・3次面接以降は対面での実施を希望する学生が6割を超える(図表1)


・合同説明会は62%、会社説明会は63.6%がオンラインでの実施を希望(「オンライン」「どちらかといえばオンライン」の合計)。

・インターンシップは64.9%、3次面接以降~最終面接前は70.7%が対面での実施を希望(「対面」「どちらかといえば対面」)の合計。

→ 学生は、企業で働くイメージをもつための機会や、自分をきちんと知ってもらいたいと思う局面では、対面が望ましいと考えていることがわかる。

図表1 望ましい実施形態

図表1 望ましい実施形態

● 2022年卒に対し、2023年卒は「面接経験がオンラインのみ」という学生の割合が下がっている。
● 特に3次面接以降が対面に切り替わっている(図表2)

・ 最終面接に近づくほど、対面を経験した学生の割合が多くなっている。

・ 2022年卒と比べると、2023年卒は「面接経験がオンラインのみ」という学生の割合が全体的に下がっている。「オンラインのみ経験あり」と回答した学生の割合は3次面接以降~最終面接前では、2022年卒で26.4%、2023年卒で18.1%となっており、特に3次面接以降はオンラインから対面に切り替わっていることがわかる。


図表2 実際に経験した形態(2022年卒・2023年卒)

図表2 実際に経験した形態(2022年卒・2023年卒)

● 新型コロナウイルスが与えた影響について、50.8%が「企業への応募書類や面接で語るエピソードに困った」、61.4%が「就職活動中、他の人の様子が見えず不安を感じた」と回答(図表3)


・ 新型コロナウェルスの影響については、「部活動・サークル活動に制限が生じた」が65.1%(「あてはまる」「どちらかといえばあてはまる」の合計)で、最も影響が大きいと捉えられていた。

・ 就職活動に関しては、50.8%が「企業への応募書類や面接で語るエピソードに困った」、61.4%が「就職活動中、他の人の様子が見えず不安を感じた」と回答(「あてはまる」「どちらかといえばあてはまる」の合計)。



図表3 新型コロナウイルスが与えた影響

図表3 新型コロナウイルスが与えた影響

● 学生の志望度が最も高まる場面は、面接が1位(図表4)

・ 学生の志望度に最も影響が大きいプロセスとしてはコロナ禍前からずっと「面接」が1位。

・ 2023年卒では、コロナ禍で減った「先輩社員との接触」がコロナ禍前の2020年卒並に復活。

→ 対面での採用活動が再び増えてきた影響と考えられる。

図表4 学生の志望度が最も高まる場面

図表4 学生の志望度が最も高まる場面


● 内定承諾の最終的な理由は「自分のやりたい仕事(職種)ができる」が15.6%で過去最高。一方「社員や社風の魅力」「制度や待遇」「業績の安定」は年々減少傾向(図表5)


・ 内定承諾の最終的な理由は「自分のやりたい仕事(職種)ができる」が15.6%、「希望の勤務地に就ける可能性が高い」が11.6%で過去最高。

・ 「育成に力を入れている」、「入社後のキャリアを具体的にイメージできる」は選択率が上昇傾向。

・ 一方、「社員や社風が魅力的である」「福利厚生や給与など制度や待遇が魅力的である」「業績が安定している」は毎年上位に挙がっているものの、選択率は年々減少傾向にある。

→ 会社に就く「就社」ではなく、職に就く「就職」の意識が高まっていることを示す結果となった。

図表5 内定受諾の最終的な理由

図表5 内定受諾の最終的な理由1
図表5 内定受諾の最終的な理由2

● 約7割の学生はフィードバックに対して良い印象を持っている(図表6)


・ 就職活動をする中で、企業からフィードバックを受けた経験のある学生は58.6%。

・ 70.7%の学生はフィードバックに対して良い印象を持っている(「良い印象」「どちらかといえば良い印象」の合計)。

→ 企業は、学生の特徴を踏まえた上で、その学生が自社でどのように働くイメージがもてるか、入社してから求められそうなことは何かなどを誠実に伝えることをお薦めしたい。

図表6 フィードバックを受けた経験、フィードバックに対する印象

図表6 フィードバックを受けた経験、フィードバックに対する印象



■ 他者への相談・対話経験と自己理解・社会人としての自覚の相関関係

● 就職活動を経ても、自己理解に関する項目に「どちらかといえばあてはまる」「あてはまる」と回答する学生は6割程度にとどまる(図表7)


・「自分がどのようなことに興味があるかよくわかっている」が56.5%、「自分がどのようなことが得意かよくわかっている」が57.7%、「自分のいいところも悪いところも理解できている」が60.5%と、就職活動を経ても、自己理解に関しては6割程度にとどまる(「どちらかといえばあてはまる」「あてはまる」の合計)。

図表7 自己理解の状況

図表7 自己理解の状況



● 社会人としての自覚に関する項目に「どちらかといえばあてはまる」「あてはまる」と回答する学生は5割未満(図表8)


・「企業で社会人がどのように働いているかについて理解できている」が46.0%、「社会人としてやっていける自信や見通しを持っている」が35.3%、「社会に出る覚悟ができている」が43.7%、「社会や経済がどのように動いているのかについて理解できている」38.5%と、社会人の自覚に関しては5割未満にとどまる(「どちらかといえばあてはまる」「あてはまる」の合計)。

→ 自己理解に比べてさらに達成が難しく、社会人や企業との接点の中で社会人としての自覚を高めていくことが重要であると考えられる。

図表8 社会人としての自覚の状況

図表8 社会人としての自覚の状況

● 社会人との対話・相談経験が自己理解を促進している(図表9)


・社会人と話す機会を持った人、就職活動について他者に相談を行った人ほど、自己理解ができていると認識している。

図表9 社会人との対話経験と自己理解の度合いの関係、相談相手の有無と自己理解の度合いの関係

図表9 社会人との対話経験と自己理解の度合いの関係、相談相手の有無と自己理解の度合いの関係

● 就職活動や社会人に関して、相談相手の数は2~3人、じっくり話した社会人の数は0~2人が最多(図表10)


・大学入学から現在までの間に、就職活動の悩みや、「社会人としての生活」、「働くこと」について相談したことのある社会人について、相談相手の数は2~3人、じっくり話した社会人の数は0~2人が多い。

・相談相手は、家族が63.7%と最も多く、次いで友人・先輩・後輩が61.1%と多い。

・最も身近な就職活動のプロといえる大学・大学院のキャリアセンターを挙げた人は32.4%にとどまる。



図表10 社会人との対話経験、就職活動の相談相手は誰か

図表10 社会人との対話経験、就職活動の相談相手は誰か

2. 調査担当研究員のコメント

株式会社リクルートマネジメントソリューションズ
HRアセスメントソリューション統括部
主任研究員 飯塚 彩

主任研究員 飯塚 彩

面接者・リクルーターを対象とする採用関連トレーニング(年間300件超実施)の開発・統括を10年以上担当。マネジメント支援ツール「INSIDES」の開発を行うなかで、組織における対話の手法の開発にも携わる。


本調査の中で最も特徴的だった結果は、学生の内定受諾の最終的な決め手でした(図表5)。「社員や社風が魅力的である」は3年連続で選択率が低下して2位となり、代わって「自分のやりたい仕事(職種)ができる」が1位となりました。また、3位の「希望の勤務地に就ける可能性が高い」の選択率もここ数年大きく伸びています。実際に、弊社が企業の採用活動を支援する中でも、「学生が、配属先部署が確約されないことに不安を覚え内定辞退した」「東京配属の可能性が高いということで内定承諾に至った」といった声を耳にすることが多くありました。

内(々)定企業への志望度が最も高まった場面(図表4)は、コロナ前と変わらず面接・先輩社員との接触・採用担当者との接触がTOP3です。人との接点は依然として大きな影響力を持っているといえます。しかし、インターンシップ、説明会、初期の面接といった学生が就職活動の前半に経験するプロセスがオンライン化したことで(図表2)、社員や社風の特徴を具体的につかみにくくなっています。その結果、仕事内容や勤務地といった明確で比較可能な情報が意思決定の材料として重視されるようになったと考えられます。

こうした潮流を踏まえると、今後の採用・就職活動において鍵となるのは、企業が学生との対話と情報提供を行うことだと考えます。主題となるのは、学生がどのような資質をもち、働くことに対して本当に何を望んでいるのか、そのような資質を自社でどう生かし、志向を満たしていけそうかということです。こうした会話は学生が社会人としてキャリアを形成していくうえでの起点であり、企業にとっては育成の起点となります。対極にあるのは、企業が一方的に学生の資質や志向を問い、評価することです。企業が一方的な見極めを行おうとすれば、学生は選ばれるために過去の経歴の華々しさをアピールし、本当に望むことは入社が確実になってから出さざるを得ません。

望ましいコミュニケーションの実現に向けては、採用から入社後までを視野に入れ、学生と接点をもつタイミングや手段、コミュニケーションの内容を検討すること必要です。また、適性検査を含めた入社前の情報をどのように活用するか、オンラインと対面の接点をどのように使い分けていくかも重要なポイントになるでしょう。

3. 調査概要

調査概要

※調査実施は株式会社インテージに委託

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