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【調査発表】マネジメントに対する人事担当者と管理職層の意識調査 2021

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更新日

コロナ禍で高まるミドルマネジメント層への負担
「メンバーの育成」や「業務改善」が求められるも、日々の業務で困っている現状も

企業における経営・人事課題の解決および、事業・戦略の推進を支援する株式会社リクルートマネジメントソリューションズ(本社:東京都品川区 代表取締役社長:山崎 淳 以下、当社)は、企業の人事担当と管理職300名に対し、「マネジメントに対する人事担当者と管理職層の意識調査2021」を実施し、「管理職に期待していること」「日々の管理職業務で困っていること」など、調査結果から見える実態について公表しました。

1.調査の背景

新型コロナウィルス感染拡大は、私たちの働き方に大きな変化を起こしました。企業においては、社会環境の変化に対応する戦略の転換や新価値創造が求められ、リモートワークに対応した人事制度やマネジメントの対応など組織内での変革も求められています。そこで、このように大きな変化に晒された企業環境において、管理職(ミドルマネジメント)層の現状はどうなっているのか、人事担当者と管理職層を対象とした調査を行いました。調査結果をもとに、今後の管理職育成の指針や組織のあり方についてご紹介します。

2.調査のポイント

*詳細は調査レポートを参照ください
https://www.recruit-ms.co.jp/issue/inquiry_report/0000000994/

●会社の組織課題は「次世代リーダーの育成」と「ミドルマネジメントの負担軽減」(図表1)
・人事担当者と管理職に会社の組織課題について尋ねたところ、双方とも選択率1位は「次世代の経営を担う人材が育っていない(人事担当者72.0%、管理職68.0%)」、2位は「ミドルマネジメント層の負担が過重になっている(人事担当者71.3%、管理職64.0%)」でした。

➡変化の激しい1年を経験して、これからの会社を牽引していく次世代リーダーの必要性がさらに増していると考えられます。また、事業面に加えてリモートでのやり取りが増えるなど働き方についても大きな変化があり、人事担当者から見ても管理職層の負担は高かったのではないでしょうか。実際に当社でもリモート下でのマネジメントや人事評価についてのお問い合わせが急増しました。

図表1 会社の組織課題 

図表1 会社の組織課題 

● 管理職に求められることは「メンバーの育成」と「業務改革」(図表2)
・人事担当者に「管理職に期待していること」を尋ねたところ、最も選ばれた項目は、「メンバーの育成」(47.3%)でした。次いで、「業務改善」(34.0%)、「担当部署の目標達成/業務完遂」(30.0%)が続きました。
・また、管理職層に「管理職として重要な役割」を尋ねたところ、「メンバーの育成」(47.3%)、「業務改善」(34.0%)、「会社・事業の戦略テーマ(重点テーマ)の推進」(33.3%)が選ばれました。

➡人事担当者、管理職層とも管理職の役割として「メンバーの育成」を最も重要な役割と捉えているという結果となり、この結果は2020年に行った調査結果とも共通しています。
また、次いで選ばれたのは人事担当者、管理職とも「業務改善」でしたが、2020年は人事担当者が2番目に重要視するのは「担当部署の目標達成/業務完遂」であったため、こちらは違った結果となりました。変化の激しい1年の中で、これまでとは違う対応やマネジメントスタイルがより求められるのかもしれません。

図表2 管理職に期待していること・管理職の役割

図表2 管理職に期待していること・管理職の役割

●日々の管理業務で困っていることは「メンバーの育成」「業務改革」「新価値・イノベーションの創造」(図表3)
・管理職層に、日々の管理職業務で「困っていること」を尋ねたところ、「メンバーの育成」(48.7%)、「業務改善」(45.3%)、「新価値・イノベーションの創造」(42.7%)が選ばれました。
・「メンバーの育成」や「業務改善」は管理職が考える重要な役割でも上位の2つでした。一方「新価値・イノベーションの創造」は、重要な役割としては選択率5位でしたが、困っていることとしては3位に挙げられています。

➡「新価値・イノベーションの創造」は、これまでも企業において求められてきたことではありますが、ニューノーマル時代におけるビジネスモデルの転換など一気にその必要性が増したことにより、管理職層にとっても目前の課題として差し迫ってきているのかもしれません。
また、図表2の「重要な役割」においては、管理職層と人事の選択率の差が最も大きい項目でした。第一線にいる管理職は変化の必要性を強く感じているが、会社・人事のサポートが遅れている可能性も考えられます。

図表3 【管理職層】困っていること

図表3 【管理職層】困っていること

●実行型組織から学習型組織への転換が徐々に進みつつある(図表4・5)
・次に管理職層が担当している組織について見ていきます。Aの選択肢で表される組織像は、方針や仕事の進め方は固定的で、決定した目標を効率的に実行していくことが業績達成へとつながるような、以前から多かった「実行型」のマネジメントが有効な組織です。
一方Bの選択肢で表されるような組織は、先が読みづらく変化のスピードが速い環境下にあり、その変化に合わせて個人や組織が学習しながら自律して判断をしていく「学習型」のマネジメントが有効な組織です。
・図表5の結果を見ると、1~8までの設問においてはAの選択率の方が高いものの、Bの選択率も40%台に達しています。9、10の設問についてはBの選択率の方が高い結果となりました。弊社で開催する「自律を促進するマネジメント」をテーマとしたセミナーにも多数の申し込みがあり、従来多かった実行型の組織から、学習型組織への転換が進みつつあることが想定されます。
・また、Bの選択率が高かった9、10の設問は、自律的な判断や仕事への意味づけの必要性の項目でした。管理職から部下への関わりにおいては、より自律を促す働きかけが求められるようになりそうです。

図表4 実行型の組織と学習型の組織

図表4 実行型の組織と学習型の組織

図表5 【管理職】担当している組織の状況

図表5 【管理職】担当している組織の状況

●メンバーの自律性を高めて新価値創造へつなげていくために(図表6)
・「会社は社員にキャリア自律を求めている」の選択率(「そう思う」「ややそう思う」合計)が、77.4%、「社員のキャリア自律を進めるべきだ」の選択率が84.0%でした。

➡変化対応力を高める施策の必要性を肌身で感じているのが、現場の管理職といえるでしょう。今回の調査で「業務改善」や「新価値創造」に課題を感じていることからも、それが分かります。だからこそ管理職はメンバーに対して、自分の仕事やキャリアは“上司や会社が決めるもの”ではなく“自ら自律的に設定するもの”という考え方の転換を求めているのだといえます。

図表6 キャリア自律について(N=300) 

図表6 キャリア自律について(N=300) 

3.調査担当研究員

株式会社リクルートマネジメントソリューションズ
HRDサービス開発部 マネジャー 石橋 慶

石橋慶の顔写真

2005 年、株式会社リクルートマネジメントソリューションズ入社。ソリューションプランナーとして、幅広い業種・規模の企業に対し、人材採用・人材開発・組織開発を行う。2012 年より、ミドルマネジメント領域の調査研究およびトレーニング・モバイルラーニングの商品企画・開発に従事。年間11,400 人が受講する管理職研修シリーズの開発者でもあり、現在は研修の実施形態(対面、オンライン、ハイブリッドなど)の研究も行っている。

4.調査担当研究員のコメント

本調査の「会社の組織課題(図表1)」「管理職に求められること(図表2)」「日々の管理業務で困っていること(図表3)」の結果から、「メンバーの育成」「業務改善」「新価値創造」「ミドルマネジメントの負担軽減」といったことが課題になっていることが読み取れました。今のマネジャーは高負荷の中で、いかに人の側面の成果と仕事の側面の成果を同時に実現するかというテーマに直面しているといえます。
特に、今回の調査でも「業務改革」や「新価値創造」についてはマネジャーも高い課題意識をもっていましたが、企業における重要度の裏返しになっているといえます。ただ、マネジャーが責任意識から、一人でその役割を抱えてしまうと、目の前の業務との両立が困難となり、マネジメントが機能しなくなってしまいます。
そのため、「実行型の組織と学習型の組織(図表4)」にあるように、マネジャーが学習型の組織運営に転換していくことは1つの打開策になり得ると考えます。そもそも今は、変化の幅が小さく戦略や方針もトップダウンで決められた時代と違って、環境変化が大きく曖昧でボトムアップでの提案や発想が不可欠な時代です。メンバーの仕事やキャリアにおける自律性を高め、メンバーと共に考え、学習し、創造をしていくマネジメント(学習型の組織運営)が求められているといえるでしょう。こうしたマネジメントは結果的にマネジャーの物理的・心理的負担を引き下げることにもつながると思われます。
現在、多くの企業が社員の自律を促進しており、弊社にもお問合せをいただくことが増えていますが、自律を促すマネジメントスタイルへの転換は今後もさらに必要性が高まっていくと思われます。

5.調査概要

5.調査概要

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