受付/8:30~18:00/月~金(祝祭日を除く)
受付/10:00~17:00/月~金(祝祭日を除く)
プレスリリース
職場で尊厳が保たれていると回答したのは約6割。2割以上が尊厳が損なわれていると回答 意図せず相手の尊厳を傷つけている可能性も
企業における経営・人事課題の解決および、事業・戦略の推進を支援する株式会社リクルートマネジメントソリューションズ(本社:東京都港区 代表取締役社長:山﨑 淳 以下、当社)は、20代から50代の会社勤務正社員を対象に「職場の尊厳に関する意識調査」を実施しました。 相対的に雇用環境が保護されている正社員であっても、職場において尊厳(人間として尊重され、その人格や価値が認められること)が損なわれ得ることを鑑み、その実態を明らかにしたいと考え、20代から50代の正社員を対象に各年代、性別、職種、勤務先の従業員規模に偏りが生じないように調査を行いました。 今回の調査を通して、尊厳が保たれている状態だけでなく、損なわれている要素を排除することの重要性が見えてきました。
株式会社リクルートマネジメントソリューションズ組織行動研究所 主任研究員 藤村直子弊社機関誌RMS Message vol.80(2025年11月発行)では「尊厳ある職場を考える」をテーマに特集を組み、調査を実施しました。職場における尊厳(人間として尊重され、その人格や価値が認められること)の実態を把握し、職場環境との関係や本人の心的コンディションへの影響を探索的に検討することを目的としました。調査の結果、「職場で尊厳を損なわれていると感じることがある」と答えた人は2割以上に上りました。尊厳が損なわれた経験に関する自由記述内容では、明らかなハラスメントだけでなく、無意識にやっていたり、よかれと思ってやっていたりすることに起因する内容も見られました。意図せず相手の尊厳を傷つけている可能性についても意識する必要があることに気づかされました。本調査では、尊厳が保たれている「尊厳」、損なわれている「侮辱」の両面から職場の尊厳を測定しました。報告のとおり職場環境の各変数との関係が確認されましたが、追加の重回帰分析では、「尊厳」「侮辱」のいずれにも有意に関係しているのは「ソーシャルサポート十分度」「個人選択型人事制度導入の選択数」「職務重要性」でした。一方、「上司の倫理的リーダーシップ」は「尊厳」に、「上司の不正放置」は「侮辱」にそれぞれ関係するなど、両者で影響する変数が異なることも明らかになりました。また、「尊厳」が高くても「侮辱」も高い状態の人は32.4%存在し、適応感は高いものの、内心では孤独感や離職意向を抱えていることがうかがえました。「静かな退職」との関係も見られ、尊厳を高めるだけでなく、尊厳を損なう要素の排除が重要であることが認識されました。ハラスメントの防止、職場ぐるみの不正につながる上司の態度の改善、働き方に関する人事制度の整備・周知などを通じて、社員の尊厳を損なわないようにすることが解決の糸口となることが示唆されました。その上で、上司の倫理的リーダーシップ、職場のソーシャルサポート、評価制度における手続き的公正、キャリアや学びに関する主体的な選択機会の整備、自律的で仕事を任せてもらえる環境づくりなどにより、尊厳を保つ職場環境の構築が求められるでしょう。さらに、尊厳が損なわれた経験をしてもあきらめや自責の念に陥ることがないよう、声を上げやすい組織風土への改善と、気軽に相談できる環境の整備が不可欠です。今回の調査が、社員一人ひとりが人として大切にされ、個が生かされることの一助となれば幸いです。
株式会社リクルートマネジメントソリューションズ組織行動研究所 主任研究員 藤村直子
弊社機関誌RMS Message vol.80(2025年11月発行)では「尊厳ある職場を考える」をテーマに特集を組み、調査を実施しました。職場における尊厳(人間として尊重され、その人格や価値が認められること)の実態を把握し、職場環境との関係や本人の心的コンディションへの影響を探索的に検討することを目的としました。調査の結果、「職場で尊厳を損なわれていると感じることがある」と答えた人は2割以上に上りました。尊厳が損なわれた経験に関する自由記述内容では、明らかなハラスメントだけでなく、無意識にやっていたり、よかれと思ってやっていたりすることに起因する内容も見られました。意図せず相手の尊厳を傷つけている可能性についても意識する必要があることに気づかされました。本調査では、尊厳が保たれている「尊厳」、損なわれている「侮辱」の両面から職場の尊厳を測定しました。報告のとおり職場環境の各変数との関係が確認されましたが、追加の重回帰分析では、「尊厳」「侮辱」のいずれにも有意に関係しているのは「ソーシャルサポート十分度」「個人選択型人事制度導入の選択数」「職務重要性」でした。一方、「上司の倫理的リーダーシップ」は「尊厳」に、「上司の不正放置」は「侮辱」にそれぞれ関係するなど、両者で影響する変数が異なることも明らかになりました。また、「尊厳」が高くても「侮辱」も高い状態の人は32.4%存在し、適応感は高いものの、内心では孤独感や離職意向を抱えていることがうかがえました。「静かな退職」との関係も見られ、尊厳を高めるだけでなく、尊厳を損なう要素の排除が重要であることが認識されました。ハラスメントの防止、職場ぐるみの不正につながる上司の態度の改善、働き方に関する人事制度の整備・周知などを通じて、社員の尊厳を損なわないようにすることが解決の糸口となることが示唆されました。その上で、上司の倫理的リーダーシップ、職場のソーシャルサポート、評価制度における手続き的公正、キャリアや学びに関する主体的な選択機会の整備、自律的で仕事を任せてもらえる環境づくりなどにより、尊厳を保つ職場環境の構築が求められるでしょう。さらに、尊厳が損なわれた経験をしてもあきらめや自責の念に陥ることがないよう、声を上げやすい組織風土への改善と、気軽に相談できる環境の整備が不可欠です。今回の調査が、社員一人ひとりが人として大切にされ、個が生かされることの一助となれば幸いです。
<図表1>職場の尊厳尺度※いずれも7件法※Thomas & Lucas(2019)Workplace Dignity Scaleを道谷・正木(2024)が日本語訳した項目を使用
<図表2>職場の尊厳 各尺度の項目例と回答結果Q:あなたが現在働いている職場についておたずねします。以下の各文について、7つの選択肢からあなたの考えに最も近いものをお選びください。※%は小数第2位で四捨五入しているため、グラフ中の数値を足し上げた値と合計の数値などが一致しない場合がある〈単一回答/ n=1338 /%〉
<図表3>尊厳が損なわれた経験Q:現在お勤めの会社・職場において、ご自身の尊厳(人間として尊重され、その人格や価値が認められること)が傷つけられた、損なわれたと感じた経験として、どのような出来事がありましたか。具体的な内容やエピソード、どのような関わりがあってそう思ったのか、どのような気持ちになったのかなど、差し支えない範囲でかまいませんので、お書きください。〈自由記述より抜粋〉
<図表4>尊厳が損なわれた際の対処行動Q:前問の経験に際して、あなたがとった行動として、あてはまると思うものをすべてお選びください。※図表3にて尊厳が傷つけられた、損なわれた経験を記述した人が回答 〈 複数回答/n=200/%〉
<図表5>尊厳が損なわれた際に何もしなかった理由Q:前問で「特に何もしなかった」を選んだ方に伺います。それはどのような理由からですか。※図表5にて「10.特に何もしなかった」を選択した人が回答 〈 複数回答/n=59/%〉
<図表6>ハラスメント経験と職場の尊厳と侮辱Q:現在お勤めの会社・職場において、以下のようなハラスメントを受けた経験(業務上必要かつ相当な範囲を超えた、就業環境が害されるような経験)はありますか。あてはまるものをすべてお選びください。〈複数回答〉(N=1338)
<図表7>個人選択型人事制度の導入と職場の尊厳・侮辱Q:現在お勤めの会社での制度や仕組みについて伺います。現在の会社で導入されているものについて、あてはまるものをすべてお選びください〈複数回答〉 (N=1338)※個人選択型人事制度 16施策〈働き方の選択支援〉1.フレックスタイムなど、働く時間を柔軟に選べる制度、2.テレワークなど、働く場所を柔軟に選べる制度、3.短日・短時間勤務など、フルタイムではない働き方を選べる制度、4.転勤がない、勤務地限定制度 〈仕事の選択支援〉5.職種や仕事内容を限定して働く制度、6. 自己申告など、異動や働き方の希望を会社に伝える制度、7.社内公募など、他部署へ手挙げで異動を希望する制度、8.新規事業や業務改善などを会社に提案できる制度 〈キャリアの選択支援〉9.希望する研修や講習を受講できる制度、10.管理職・専門職を行き来できる等級制度、11.人事や社外の専門家にキャリアについて相談できる制度、12.面談などで上司にキャリアについて相談できる制度、13. 育児のための休暇・休職制度、14.介護のための休暇・休職制度、15.育児や介護以外の休暇・休職制度(ボランティア、留学など)、16. 副業・兼業の許可
<図表8>上司・職場・職務の特徴別 職場の尊厳・侮辱Q:職場1、2:現在のあなたの直属の上司の特徴として、次のことはどの程度あてはまりますか。職場3:現在お勤めの会社・職場において、あなたが仕事を進めるにあたって、周囲による次のようなサポートは、あなたにとって十分だと思いますか。職場4:あなたが最近受けた人事評価について、評価が決定される手続きとして、次のことはどの程度そう思いますか。仕事5、6、7:あなたの現在の仕事について、次のことはどれくらいあてはまりますか。 (N=1338)〈使用変数〉 いずれも6 件法1.倫理的リーダーシップ:「公正かつ偏りのない判断を下す」など4 項目(α=0.891)、Brown, M., & Treviño, L.(2006)2.不正放置:「不正を知りながら放置している」など2 項目(r=0.836)、星野ら(2008)3.ソーシャルサポート十分度:「【情緒的サポート】励ましてくれる、親身になってくれる、話し相手になってくれる、気にかけてくれるなど、精神的な支えとなる」などの4 項目(α=0.941)、House, J. S. (1981)4.手続き的公正:「その手続きの過程で、あなたの意見や感情を表明する機会があった」など7項目(α=0.953)、Colquitt, J. A. (2001)5.職務自律性:「上司の指示がなくても、私の判断で仕事を進めることができる」など3項目(α=0.830)、田尾 (1984)6.職務相互依存性:「私が仕事を進めていく上では、職場のメンバーにたえず相談しなければならない」など4項目(α=0.802)、鈴木・麓 (2009)、労働政策研究・研修機構(2013)7.職務重要性:「私の仕事は組織業績の向上に影響を与える」など3項目(α=0.811)、オリジナル
<図表9>尊厳×侮辱のマトリクス〈 n=1338 /%〉
<図表10>尊厳×侮辱マトリクス4 群別の本人の心的コンディション〈 n=1338 〉
プレスリリースは、PDFでもご覧いただけます。
職場の尊厳に関する意識調査
「採用CX(候補者体験)に関する意識調査(2025)」の分析結果を発表
マネジメント支援ツール「インサイズ」が エンゲージメント測定機能を搭載
360度サーベイを活用した管理職研修LDP 対話を通じたリーダーシップ開発を重視しリニューアル提供開始
取材・お問い合わせはこちらから