ボス充マネジャー#3 紀室氏

ボス充マネジャー#4 紀室氏 2018/8/6

「フットバッグ」を通じて、ダイバーシティ
マネジメントや
海外とのコミュニケーションに習熟しました

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富士通株式会社 データセンタープラットフォーム事業本部 マネジャー
紀室英輔 氏
「ボス充」マネジャーとは、具体的にはいったいどのような方を指すのか、疑問に思う方も多いはずです。この連載記事では、ボス充マネジャーのモデルをご紹介していきます。第4回は、富士通に勤めながら、日本フットバッグ協会を立ち上げ、「フットバッグ」というスポーツを日本に広める活動を続けてきた紀室氏をご紹介します。(※インタビューは2017年10月に行いました。肩書きや仕事内容、職場環境などはその時点のものです。)

社会人になって間もなく「日本フットバッグ協会」を立ち上げました

写真1

 私はいま富士通のデータセンタープラットフォーム事業本部に所属し、HCI(ハイパーコンバージドインフラストラクチャー)ビジネスに携わっています。HCIとは、ごく簡単にいえば、いまは別々になっているサーバ(ソフトウェアの入ったコンピュータ)とストレージ(データを蓄積するハードディスク)の機能を1つのサーバに統合する技術です。現在急成長中のビジネス領域で、数年後にはHCIがサーバの主流になるといわれています。富士通は国内トップシェアを誇るサーバメーカー(※1)であり、HCIビジネスでも先頭を走る企業の1つ。私は、そのHCIパッケージの企画・開発を行うチームのマネジャーで、6名の部下をまとめています。

 その一方で、社会人になって間もなく、私は「フットバッグ」というスポーツを始め、2004年に、仲間たちと共に「日本フットバッグ協会」を立ち上げました。フットバッグとは、直径5cmほどのお手玉のようなバッグ(ボール)を手や腕を使わずに、主に足を使って蹴るスポーツの総称です。フットバッグのなかでも、世界で最も競技人口が多いといわれているのが「フットバッグ・フリースタイル」です。長々と説明するよりも、こちらの動画を見ていただくのが早いと思います。私は2001年頃にこのスポーツを知り、その虜になって、インターネットで情報を発信し始め、それ以来ずっと、日本のフットバッグ人口を増やす取り組みを続けてきました。いまも土日や平日の夜に仲間たちと集まって、さまざまな場所でフットバッグをしています。現在は協会の監事ですが、立ち上げからしばらくは副理事長を務め、協会のマネジメントに関わってきました。協会では、全日本フットバッグ大会「JFC」を運営したり、月例練習会を開催したりしています。

フットバッグのおかげで多様性を受け入れられるようになりました

 フットバッグ協会での経験は、確実にいくつかの側面でマネジャーの仕事に役立っています。第1に、私はフットバッグを通して、幅広い人たちと触れ合ってきました。フットバッグ仲間は、年齢でいえば下は小学生から上は社会人までいますし、社会人といっても実にさまざまです。一例を挙げると、以前、ある商品の広告キャンペーンで、フットバッグ仲間とチームを組んで全国を回ったことがあるのですが、そのチームメンバーはジャグリングショップの店長、ダンサー、牛丼屋の店長、大学生と私でした。当然、仲間たちは一人ひとり、生活のリズムも価値観も違います。私たち協会メンバーは、そうした方々を広く受け入れ、ともに活動してきました。例えば、せっかく練習会に来ているのに、端でひとり黙々とフットバッグをしている方がときどきいます。私はそうした方々にも積極的に声をかけ、会話の糸口を探りながらコミュニケーションを重ねてきました。それに比べれば、会社でのダイバーシティマネジメントは決して難しくありません。振り返ると、フットバッグのおかげで、私は会社でも多様性を柔軟に受け入れられるようになったのだと思います。

 第2に、フットバッグをすることで、私は海外の人とのコミュニケーションに習熟しました。話は再び2002年までさかのぼりますが、その頃たまたま、世界的なフットバッグプレイヤーが日本に滞在していたのです。そのことを知った私は、彼と連絡を取り、フットバッグをして遊ぶようになりました。そして、彼を通じて、アメリカやヨーロッパのプレイヤーとメールのやり取りをするようになったのです。彼らが観光などで日本にやって来たときには、日本の仲間たちに代々木公園に集まってもらい、皆で一緒にフットバッグをして、その後は彼らを自宅に泊めました。海外のプレイヤーたちと、フットバッグを通してコミュニケーションを取るのは快感でした。とはいえ、やはり会話もしたかったので、私は少しずつ英語を学んでいきました。いま私は、海外の人とコミュニケーションを取る機会が多いポジションに就いているのですが、英語と海外に苦手意識を持つことなく、しっかりとやり取りできているのは、フットバッグでの経験が大きいのは間違いありません。

 その他、Skypeを使ったコミュニケーションやファシリテーションなども、仕事より先にフットバッグ協会で経験しました。そう考えていくと、私はフットバッグを介して学んだことが数多くあります。若いときから、仕事だけの人生にはしたくないと思っていたのですが、どうやらその願いはある程度叶っているようです。なお、私の上司はマラソンが趣味で、つい先日もウルトラマラソンを走っていました。仕事と趣味を高いレベルで両立している姿がカッコいい。いつも見習いたいと思っています。

※1:IT専門調査会社「IDC Japan」が実施した「IDC Quarterly Server Tracker, 2018Q1」において、富士通は2017年の国内サーバ全体(出荷額)で3年連続、x86サーバ市場(出荷額)で2年連続シェアNo.1を獲得。
承諾番号:IDCJ-18-0648

インタビュー:古野庸一 テキスト:米川青馬

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