ビジョン浸透は「発信型」から「着信型」へ
〜リクルート流!従業員を動かすビジョンの共有・行動化〜

Willを引き出す「着信型」アプローチ

受け手を動かす「着信型」のアプローチとは、浸透させたい側の意図やねらいを、“受け手にとってのメリットに翻訳する”ことといえます。別の言い方をすると“伝える”と“伝わる”の違いです。
人材開発やキャリアの世界ではおなじみの「Will・Can・Must(※)」の考え方に当てはめると、ビジョンはいわば会社のWillであり、従業員にとっては(始めは)Mustの状態といえます。このMustをいかに従業員にとってのWillに転換していくかが、理解〜成果までのプロセスを進める上での鍵となるのです。
(※本特集では、Willとはその人の“〜したい”という内発的な思いや動機、Canは実際にできるかどうかという経験や能力の側面、Mustは“〜ねばならない”という外発的で義務感の強いもの、と定義します。)

それでは、「着信型」の代表的な施策を見てみましょう。
1つ目は、「ビジョンの背景・意図の共有」です。
従業員の納得感を生むのは、「なぜ、それに決めたのか」、などの決断の背景の共有です。大事にしたこと、あえて捨てたことなどの判断基準を、あらためて示すことが重要です。そして、その判断基準は、自分の未来にどう関係するのか、それを具体的にイメージさせることで、はじめてビジョンを推進する上での会社と従業員のWillがつながってくるのです。具体策としては、経営層が現場を回るタウンミーティングや、そうした背景の共有・共感に重きを置いた浸透研修などが挙げられます。

2つ目は、「ビジョンと仕事をつなぐ」施策です。
ビジョンにつながる現状のよい動きや変化の小さな兆しを、“今の仕事の中から”抽出し、称賛していくことが、重要な変化の一歩です。事例収集・共有を現場を巻き込みながら行うことで、従業員自身が自らの仕事とビジョンの接点を発見し、具体的な行動をイメージすることを促します。このことを定期的に行い続けることで、「よい仕事」のイメージを変え、褒められる行動のイメージを変えることが重要です。具体策としては、仕事表彰の仕組みづくり、事例共有広報(イントラや社内報など)などが挙げられます。

3つ目は、「人事施策による評価と育成」です。
前述の2つを支えるインフラともいえます。望ましい動きや成果に対してはそれにふさわしい評価が必要です。また、従業員が実際に行動に移せるような具体的な評価項目を用意したり、さらにより効果的に行うための育成施策も重要になってきます。具体策としては、評価制度や目標設定への反映や、人材要件や育成体系への反映などが挙げられます。自社のビジョン実現に照らした際に、人事諸施策とビジョンとの整合が取れているか、という視点で点検しておくことは非常に有用です。

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