部長に求められる役割を考える
〜経営人材として活躍できるために部長職で求められるチャレンジ〜

部長としての「真価が問われる」3つの活動〜その1〜

「事業経営の側面」を開発するために、特に重要なチャレンジが含まれる活動をここでは部長としての「真価が問われる」活動と表現します。言い換えれば、部長のステージで“大課長”的にならないために回避してはいけない活動です。
前出の調査研究およびその後の分析から私たちが導き出した活動は次の3つです。

1.中長期課題と足元の課題を同時実現する道筋を描
2.組織の動き方を変えていくための戦略的な介入をする
3.継続的に革新し続けられる組織力を開発する

ここからは、それぞれの内容を説明していきます。


1.中長期課題と足元の課題を同時実現する道筋を描く

調査結果にもあったように、部長のステージで求められるのは短期(当面の)業績と、事業の将来戦略からくる中長期的な課題の双方を達成することです。多くの場合、短期業績は数値目標などの明確なものであり、達成のためにやらなければならないことも具体的ですが、中長期の課題はより抽象度が高く、時には自ら課題を設定しなければならないこともあり、またその達成方法も具体的なイメージがつきにくいものです。このため、組織は具体的で分かりやすい短期業績の達成に注力しがちになります。さらに成員の評価に短期業績が占める割合が高いこともこの動きを後押します。つまり、ほうっておくと、中長期の課題は先送りにされてしまうのです。
前出の「昇進・昇格実態調査2009」では、「現在の部長層に関する問題」として「短期的な成果に注力するあまり、長期的な視点での取り組みができていない」が最上位となっています。これは、業種問わずあらゆる組織が内包し、多くの管理職が自覚している困難な問題なのです。

「中長期課題と足元の課題を同時実現する道筋を描く」とは、“事業の継続的発展に貢献するために、自組織が中長期的に達成すべきことと短期的に達成すべきことを明らかにし、それらを同時に達成していく大まかなシナリオと体制を構想する”活動です。ここでは、「シナリオの構想」が鍵となります。シナリオの構想とは、短期課題の達成と中長期課題の達成を「並列」で考えるのではなく、中長期課題が達成された時の担当組織の姿を想像し、その姿により近づいた当期の終了状態を設定し、さまざまなトレードオフを考慮したうえで、当面の業績達成活動の中に中長期につながる動き(組織行動)を組み込むという思考のプロセスです。シナリオは決して精緻なものではなく、「これならいけるかもしれない」という部長個人の非公式な目論見です。しかし、自分なりの目論見を持つことが部長職にとって非常に重要です。部長職の日常はきわめて断片化されたやり取り、会議、問題解決で支配されており、全体的な目論見があるかないかは、指示や判断の内容とタイミングに大きな影響を及ぼします。

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