マネジャーのヒューマンスキルについて考える
マネジャーに求められるヒューマンスキルとは
1.カッツの理論
マネジャーに求められる能力とは、何でしょうか?
ハーバード大学の教授であるロバート・カッツ氏は、以下の3つを挙げています。
【1】 テクニカルスキル(業務遂行能力)
【2】 ヒューマンスキル(対人関係能力)
【3】 コンセプチュアルスキル(概念化能力)
この3つの能力は、マネジメントの階層毎で求められる割合が違っています(図参照)。
とはいえ、最近では、トップマネジメントでもテクニカルスキル(業務遂行能力)が求められる割合が大きくなる傾向にあります。また、ロワーマネジメント(監督者層)であっても、職務によってはコンセプチュアルスキル(概念化能力)が必要とされることも多々あります。変化の時代を象徴するように、マネジャーにもさまざまなスキル開発が求められているのではないでしょうか。
本特集では、この中でも、【2】ヒューマンスキル(対人関係能力)にスポットをあててみたいと思います。
2.ヒューマンスキルとは
一般に、ヒューマンスキルとは「相手や集団との関係を円滑に豊かにしていく力」といえます。
これをマネジャーとしてのヒューマンスキルに置き換えてみると「目的達成のために相手や集団に働きかけ、相互作用していく力」となります。したがって、マネジャーのヒューマンスキルとは、目指す「目的」によってその内容も異なってくるのです。
3.ヒューマンスキルに含まれるスキル
ヒューマンスキルとは広い概念であり、目的により個別のスキルとして、リーダーシップ/コミュニケーション/ファシリテーション/コーチング/プレゼンテーション/交渉力/調整力などとよばれています。
4.リテラシー
ヒューマンスキルを開発しようとすれば、個々の目的に応じて個別スキルを開発することになりますが、それぞれを一つ一つ、全部マスターしていくのは至難の業です。そこでヒューマンスキルの土台となる基礎部分を分解してみると、次のとおりになります。
【ヒューマンスキルのリテラシー】
- きく(話を聴く、質問する)
- はなす(話を効果的にする)
- みる(集団のプロセスをみる)
ここでは、これらを3つを総称して「ヒューマンスキルのリテラシー」と呼ぶことにします。
この、「ヒューマンスキルのリテラシー」の開発を通じ、個別のスキルも開発されていくのです。
参考文献:Katz,R.L. 'Skills of effective administrator' Harvard Business Review(1955)