効果的な次世代リーダーの育成法
〜国際的リーダー育成機関の研究から〜
経験同士をリンクさせる
真に効果的なリーダー育成のためには、これまで記述してきたような「成長を促す経験」同士をリンクさせることが必要であるとCCLの研究では述べられています。
第1章では、成長を促す経験に含まれる3つの要素と、それらの要素を問題解決研修という「経験」に組み込んだ例を紹介しました。しかし、いかに優れた研修であっても、研修という単独の経験からリーダーが育つとは考えにくいはずです。研修は、参加者の成長にむけた努力を引き出すきっかけにはなるかもしれませんが、そのきっかけを真に活かすには、成長を促すその他のさまざまな経験を組み合わせて、しかるべきタイミングで提供していくことが肝要です。公式な研修と、第2章で紹介したような「仕事の割り当て」や「成長を促す人間関係」をリンクさせ、時に遭遇する仕事上での失敗(修羅場)をも成長を促す機会に変えていけるような仕組みを整えることで、リーダーの育成上得られる効果はさらに大きなものとなるはずです。
ふたたび、第1章の問題解決研修を例にとれば、研修後に上司から参加者に対して、より複雑な問題への対処が求められるような「仕事の割り当て」を行ってもらい、実際にそれに取り組むプロセスで上司やメンターからフィードバックやサポートをしてもらう、あるいは研修参加メンバー同士の情報交換の機会を設ける(研修+仕事の割り当て+成長を促す人間関係の提供)。さらに、その仕事の終了時に、実行プロセスをふりかえり、フィードバックをもらう(新たなアセスメント・データの提供と学習成果を実感させるというサポート)。 といったような経験同士のリンクを作り出すことで、参加者の問題解決力の開発はより実践的でたしかなものになるのです。
また、こうしたしかけを開始するタイミングも重要です。一般的に、新しい仕事についての1年間は、その後の5年目や6年目よりも大きく成長するものです。異動や昇格といったキャリア上の節目はひとつの有効な開始時期だと思われます。