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効果を挙げるための組織開発のヒント 変革を通じて組織を成長させる


基本的なアプローチ(2)

Step1 現状を振り返る
ポイント:現状を明らかにするための調査は、最初から膨大かつ煩雑なものにせずに、範囲を絞りながら進めること

このStepでは、現状を各種調査・分析により実態を明らかにしていきます。
調査においては、仮説を設定して調査範囲を絞ること、情報を段階的に集めること等で、無駄を少なく情報を収集することが肝心です。その際、定量的な事実と定性的な事実の両面から状況を明らかにすると、さらに情報は有効なものになります。

【事例1】食品関連 A社 「仮説で焦点を絞る」
A社では、組織風土改革に向けた取り組みを始めるにあたり、社内アンケートを実施しました。
アンケート実施前の仮説として、上司が業務に追われ部下の育成が後回しになっていることと、導入途中にあるJIT方式が部門間のコミュニケーションに悪い影響を与えているという2点を設定しました。
焦点を明確にしたアンケートにより仮説が検証できたことで、管理職にヒアリングすべきポイントを効率よく明らかにすることができました。

【事例2】住宅・不動産関連 B社 「定性・定量の両面を見る」
B社では、ブランド調査の定量的な情報を競合他社と経年で比較し、自社のサービスを評価していました。新たな顧客サービスのあり方を検討するにあたり、定量的な情報に加えて、販売子会社と管理子会社から見た親会社の仕事の進め方に関する顧客の生の声を定性情報として収集しました。
定量情報だけでは分からなかった自分たちの仕事の進め方のまずさ、顧客の対応として新たに取り組まなければならない具体的な場面について実感を持って確認することができました。


Step2 変革の必要性を共有する
ポイント:現実を直視して、組織の中にある心理的な壁を乗り越えて、必要性を共有すること

このStepでは、収集した情報を通じて組織の状況を適切な人に共有し、課題や目指す方向を探っていきます。
収集した情報は、問題を解決すべき当事者に見せ、そこから感じ取れることを当事者の間で共有していくことが重要です。

【事例3】化学関連 C社 「認識の違いを知る」
C社の管理部門は、中期計画の実行上の阻害要因を取り除くため、組織診断アンケートを実施しました。その結果を管理部門内のメンバーで議論することを通じて、各自の視界を理解し、営業の連携やミドル層の問題を明らかにすることができました。
次に彼らは調査対象となった工場や事業部門へ赴き、同様の議論を通じて課題を探りました。その中で、自分たちの認識との違いや認識していなかった問題が多く存在していることに衝撃を受けました。

【事例4】アミューズメント関連 D社 「齟齬のある現実を直視する」
D社では3ヵ年の経営計画を描き、確実に実行・検証していく経営を根付かせることを考えていました。その前提として、経営企画部では、今まで制約のなかった事業投資のあり方を見直す必要性を認識していました。そこですべての事業について実際に創出している付加価値と今後求められる付加価値を算出し、役員が立案した事業計画や事業課題と合わせて役員全員で共有する場を設けました。
今までの事業運営で創出した付加価値と今後の事業計画のちぐはぐな状況に一同愕然とし、事業の整理と今後の事業計画の再検討の必要性を強く認識する場となりました。


Step3 方向性にあった兆しを発見する
ポイント:人材の思いの強さと行動特性を見定め、化学反応が期待できるチーム編成を考えること

このStepでは、潜在的にリーダとなりえる人材や取り組みを推進するチームのメンバーを選定し、体制を作っていきます。
ある程度明確になった解決すべき問題や目指す姿を共有したときの反応を元に、問題意識や使命感の強さ、グループワークでの特性などを考慮して、メンバーを組織化する必要があります。どのように役者を立てるかが今後の取り組みの成否を分けるといっても過言ではありません。

【事例5】金融関連 E社 「根拠をもって人選する」
E社では、組織の活性化を目的に意識調査を実施していました。上級管理職層を集め、意識調査の結果を共有し、日頃議論されない自分たちの組織のあるべき姿や今後の打ち手についてじっくりと話をしました。
その議論の状況をつぶさに観察することで、個々人の問題意識の高さや目指している方向性、行動特性を評価できたため、その後、組織活性化委員会のリーダとメンバーを確信を持って人選し、立ち上げることができました。

【事例6】サービス関連 F社 「大切にしている思いを理解する」
F社では、現場のサービス水準の向上に取り組むため、調査の一環として、現場の管理職に対してインタビューを実施していました。その中で、現状の問題意識と合わせて個人として取り組んでいることを聞き、問題意識を具体的な行動へ落としこみ、前向きに取り組んでいるかどうかを把握しました。
インタビューから、数人のベテランが大切にしている思いの共通性やサービスに対するプライドの強さを理解しました。そこから、サービス水準を向上させる取り組みにおいて、ベテラン達が一枚岩になり活動していくことをきっかけに、組織をうまく巻きこんでいけるイメージを掴むことができました。


Step4 兆しを取り上げ、変革への取り組みを推進させる
ポイント:パイロットでは、単体での成果を見るのではなく、全体へ展開するためのポイントを学習できたかを見ること

このStepでは、具体的に取り組もうとしている活動を試験的に実施し(パイロット)、その成果と展開時の注意点について確認していきます。
組織全体へ取り組みを展開していく前に、その取り組みがどの程度成果を挙げられるか、展開時にどのような障害が想定されるかを明らかにします。そうしたパイロットの結果から、全体への展開方法を再考し、展開時に必要なツールを作成することが重要です。

【事例7】自動車関連 G社 「不完全でもやりきる」
G社では、組織の活性化を目的にした職場のコミュニケーションを振り返るためのオフサイトミーティングを設計しようとしていました。パイロットに向けて事前準備が完全ではなかったため、実施すべきかどうか躊躇されましたが、展開時の論点を検証することを目的にパイロットを実施しました。
パイロットの結果、当初の予想以上に議論が活発に行われるという効果と部門によっては議論の難易度が高いという課題を確認することができました。

【事例8】金融関連 H社 「障害を実感する」
H社では、支店をサポートする本社機能の生産性を高めることをテーマに挙げていました。具体的に取り組むべき対象を定めるために、問題意識の高い人事部門が自らを対象にパイロットを実施しました。パイロットの中で、過去の案件を客観的に振り返り、自部門の上司と部下の生産性の低い行動特性を明らかにすることができました。
自社の行き過ぎた官僚的な組織文化の弊害を改めて認識するとともに、各部門へ展開する上では経営層と管掌役員のコミットメントがない状態では成功はありえないことを理解することができました。


Step5 取り組みを自走させる
ポイント:取り組みを徹底するよう働きかけるために、現場の取り組み状況について定量的に明らかにすること

このStepでは、取り組みを展開し、モニタリングするための組織化を進め、定着させていきます。
取り組みを自走させるためには、現場を動かすために変革チーム、事務局、管理部門、オーナー役員等の関係者が、現場での取り組みの進捗状況を共有し、適切なタイミングで現場の活動を支援することが重要です。

【事例9】エネルギー関連 I社 「多方面から働きかける」
I社では、変革の一つの施策として支店の現場マネジャーがミーティングのやり方を変えることに取り組んでいました。対象となる現場マネジャーは、5つの支店に50人と多いため、支店別に変革推進担当だけでは十分に働きかけられず、施策の徹底が難しい状況でした。
そこで支店別の変革推進担当と現場のマネジャーの上司にあたる支店長、本部の事務局の3者が情報を共有し、各方面から現場のマネジャーに働きかけることで施策を徹底させていきました。

【事例10】エネルギー関連 J社 「行動するための指標を設定する」
J社のコールセンターでは、顧客満足の改善を図るため、新しい業務のやり方を導入することになりました。その中で、現場マネジャーが適切な行動を取れるように、業務上の主要な指標を旧来の結果指標以外に、「業務が順調かどうか」、「改善余地があるかどうか」を測るプロセス指標を設定し、適切なタイミングで把握できるように切り替えました。 現場マネジャー自身が、自律的にその指標の計画と実績の差異を見て、適切に現場に働きかけていくことで、現場に新たな業務を徹底し、浸透させていきました。

さいごに

組織開発の考え方やポイントについて、一通りのご紹介いたしましたが、これらが唯一の方法というわけではありません。業種業態、業績の状況、社員の心理状態などにより進め方は異なり、あくまでも貴社の置かれている状況に応じて最適な進め方を考えていくことが大切です。 本特集の内容が、貴社の取り組みを進める上で、気づきや参考になれば幸いです。

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