3つのタイプから学ぶ活用のポイント その意識調査、本当に活用できてますか?
【アクション】「石橋を叩いて渡らない」タイプ
●よく聞くお客様のお悩み
・「1年経って2回目の調査を実施したけど、あまり結果が変わらない」
・「手を打ったほうがよさそうな課題がいくつか上がってくるけど、どれから順に手をつければよいのだろう?」
・「取り組んだことが結果にどれだけ表れているのかが分からない」
意識調査を継続して実施してきたが、具体的な施策の実行にまで及ばなかった企業において、よく聞かれる声です。
●結局何も変わらない!?
上記のように、「調査の実施から施策への展開ができない」「進め方が分からない」といったご相談は調査の回数を重ねるほど増えてきます。最終的に何らかの手が打たれて、少しずつであっても変化が感じられなければ、従業員からの見え方としては、「調査するだけして、結局何も変わっていない」ということになります。変わる見込みがないままに調査が毎回実施されると、調査の実施自体が、逆に満足度を下げることにもなってしまいます。
●全社レベル施策と職場レベル施策
有効な打ち手を見出していくには、「適切な人が、適切な情報を元に、適切な場で議論すること」、これが原則です。打ち手は大きく分けて、全社レベルでの取り組みと、職場レベルでの取り組みに分かれます。
全社レベルの施策を検討するのは、人事や経営企画といった部門が中心でしょう。まず、前提としてオーナーとなる役員層のバックアップがあることが重要です。さらに、具体策を検討する際には調査結果だけにとらわれることなく、その背景・要因を踏まえて検討します。また、実際に施策を実行することはもちろん大切ですが、従業員に対して課題をどう設定し、どのように対応しようとしているのかを伝えることは、大きなポイントとなります。意識調査で上がってくる課題は、変化を実感するのに時間がかかる取り組みが多くなります。「打ち手を見極めてから伝えよう」「効果が確認できてから伝えよう」と考えているうちに時間が経ってしまい、従業員に「何もアクションがない」と映ってしまうことは避けたいものです。
職場レベルでは、同じように職場という身近な単位での打ち手を考えることになるわけですが、本稿では職場レベルでは問題解決型のアプローチではなく、前ページで述べたような職場での調査結果を使った意見交換の“場”そのものを、職場づくりのための施策として捉えていただきたいと考えています。
●役員のリーダーシップによる活動
調査結果を施策につなげていくために、役員層がリーダーシップをとった事例をご紹介します。
当時、従業員の見方としては、さまざまな調査が実施されているものの変革・改善につながっている実感がなく、「また調査をやるのか」という印象でとらえていました。そのため、意識調査の結果を真摯に受け止め、明らかになった課題について会社として取り組んでいくことを示していく必要がありました。
そこで、各部門の役員レベルが自ら結果を分析し、年度方針の中の活動として公表しました。その結果、全社としての問題意識が共有され、役員の間で施策に対して協力・連携しようとしている様子から、調査に対する本気度やその重要性が従業員に伝わりました。また、子会社も含めたグループ全体での統一実施だったこともあり、グループ会社横断の委員会を設置しました。委員会では、各部門の活動状況の把握とグループ全体で取り組む施策を企画し推進するということを担い、継続的な活動として展開していきました。
このケースでは、役員層が従業員に対して本気度を示し、活動を立ち上げていったことにより、ようやく調査が活用されるようになったというわけです。
【図表3 アクションへのステップ】
