実践する企業としない企業の差が広がる 「女性活躍推進の先にあるもの」
進め方のポイント(1)
【1.全体】
何から始めて、どこを通って、どこにたどり着くかを決める
問題となる現象がいくつもあり、その問題を一撃で解決できる決定的な施策もなく、「合わせ技」でようやく一本をとるような課題について議論すると、議論が堂々巡りとなり、着地場所がわからなくなることが、ときどきあります。「またその話に戻ってきたね」「以前も同じような議論をしなかったっけ?」とならないように、事前に議論の地図を描いておきましょう。
各職場のメンバー参加型のワークショップを開催して検討を進めるような場合は、特に重要です。ここでは、一つの例を紹介します。(図表1)
1.現状と、目指す状態を共有する
現状と、目指す状態を関係者で共有します。現場感覚で語られている方が望ましいため、職場から選ばれたメンバーが、ワークショップ形式で検討する方法も有効です。現状については、事前にアンケート等をとっておくと、視界が広がります。
2.課題を設定する
現状と目指す状態とのギャップに基づいて、課題設定(患部の特定)します。進め方は、「今、何がないから(足りないから)目指す状態になっていないのか」という観点で考えるとよいでしょう。
3.個別施策を設計する
課題を解決するための施策を設計します。一つの施策だけでは課題を解決できない場合もあります。そのときは、ひとつの課題に対して複数の施策を検討することになります。
!注意
現場の声を拾わなかったり、課題設定をせずに、いきなり施策を考え出すのは、タブーです。
従業員に、場当たり的な施策設計と映ってしまう危険性があります。

【2.目指す状態〜課題設定】
事業特性や仕事特性から、目指す状態を考えてみる
例えば、事業を支えている業務の一つに、膨大な事務処理業務があるとします。そして、その事務処理業務が複雑かつ応用が必要とされる場合、仕事をうまく進める要因に「経験」があります。その事務業務の多くを女性が担当しているのであれば、その企業にとって、出産を機に女性社員が次々と退職するより、定着し、長期戦略化しているほうがよいはずです。それが、「目指す状態」となります。
定着・長期戦略化が実現すると、働く女性にとって目指す先輩が増えます(ロールモデル)。目指す先輩が増えると、将来目標ができますから、本人のモラールが上がり、そのようにいきいき働いている先輩女性社員を見て、成長欲求の高い人材が応募してきます。これは、一つの例ですが、このように目指す姿を作っていきます(図表2右)。
インタビューやアンケートの結果に、「目指す先輩や相談できる先輩がいない」、あるいは「将来、自分がどのような働き方をするかがわからず不安」というような声があれば、このギャップを埋めるための課題を設定します。
課題設定では、組織のどこにメスを入れるのか(患部はどこか)を明らかにします。「上司の女性理解力(促進)」というようにメスを入れる場所を決めます。