「いい会社」から考える人事の役割 働く人の代弁者であり、経営のパートナーとなる人事とは
競争力の源泉は人にある
4つの特徴の中で、「人を尊重し、人の能力を十分に生かすような経営を行っている」という観点は、最も人事の関心ごとに近い領域です。
「人を尊重する」ということは、一人ひとりを丸ごと人として見ていますかということです。それは、終身雇用制度でもありません。一人ひとりと向き合い、一人ひとりを信頼し、持ち味、強みを生かす経営です。
今後ますます、「人」が競争力の源泉になってきます。働く人のやりがいを高めるために、「一人ひとりと向き合う」ということは経営の基本であり、人事の基本でもあると考えられます。そういう観点で、再度、人事施策を点検してもいいのではないかと思われます。
豊かな社会になればなるほど、働く人の動機は、より高度になってきます(図1)。
「社会の中での存在意義」が認識できる企業で働くことによって、仕事への意味付けはより容易になります。自分がやっている仕事が社会に役に立っていると思えることは誇りになります。人はそういう会社に勤めたいと思うし、そういう仕事に懸命に向かうことができます。したがって、社会から支持される会社をつくることは、採用で自社に必要な人をひきつけ、働きがいを提供し、人の知恵を引き出すことにつながります。
【図1 社会貢献意識の推移】

(備考)
1.内閣府「社会意識に関する世論調査」により作成
2.「あなたは、日頃、社会の一員として、何か社会のために役立ちたいと思っていますか。それとも、あまりそのようなことは考えていませんか。」という問に対し、回答した人の割合。
3.回答者は、全国20歳以上の者。
そのような観点で採用活動をあらためて定義することによって、人事の役割に広がりを持たせることができるのではないかと思われます。