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EVA導入による価値創造経営の意義 企業経営のための指標としてどの点でEVAは優位性があるのか


日本企業におけるEVA導入の意義と今後の展望

EVAの導入において中心的な役割を果たすのは、米国の場合は経営トップもしくはトップに近いポジションであり、いわゆる「トップダウン」の形をとります。一方日本の場合は経営企画部、財務部、経理部などの部長・課長クラスが中心となり、経営トップにEVAの導入を推薦するという「ミドルアップ」の形をとることが多いようです。

米国においては80年代のLBO(注1)ブームなど、企業の敵対的買収も含め、株式市場からのプレッシャーが古くから極めて強力でした。株価・市場価値が低ければ企業は買収され、あるいは経営者は株主からその職を追われることが日常的に行われています。そのため、米国における経営トップの最大の関心事は当然のごとく株価・企業価値であり、EVAは株価および企業の市場価値を高めるための経営ツールと位置づけられているのです。いわば、株主の要求に応えるために、その要求リターンである資本コストを組み込んだ経営指標の導入が必要だったのです。EVAと企業価値・株価との理論的・実証的な関係も広く理解されています。

これに対し、日本の場合は銀行によるガバナンスシステムに代表されるように、歴史的に株主を意識する必要のない時代が長く続きました。そのため、株価や企業の市場価値がEVAの導入にあたって前面に出てくることは比較的少ないようです。むしろ、効率化経営を目指す高い志を持った経営者あるいは一部の中間層による企業内部、すなわち顧客、社員、取引業者などのための自発的なEVA導入という意味合いが強いのです。一例をあげれば、「バブル時代の過剰投資を省みて、投資に対する企業グループ内の規律を強化・共有し、グループ価値を高める」ための経営ツールとしてEVAを導入する、といったようなことです。我が国においては、経営資源の有効活用という健全な意識に基づき、EVAが導入されるケースがこれまでは多かった、といえるのです。

しかし、今日、持ち合い株式の解消、機関投資家・外国人投資家の存在感の高まりによって、日本においても株主のプレッシャーは増大してきています。これまであまりなじみのなかった株主の議決権行使や敵対的買収も現実のものとなってきており、株主・株主価値といった言葉にアレルギーを感じていた企業・経営陣も待った無しの状況に直面しています。したがって、今後はより市場を意識した経営が求められる中で、これまでのような自発的な価値創造への取り組みだけではなく、ある程度市場を意識した価値創造経営への舵取りが進むでしょう。企業価値の創造は株価の上昇を通じて敵対的買収に対する強力な防御策ともなります。だからといって、これは企業経営と株主や株式市場との対立を意味しているわけではありません。投資家の期待を意識し、適切な業績をあげ、企業の付加価値を増大していくことは、企業にかかわるその他のステークホルダー(利害関係者)にとっても利益となります。

国内外で発生した不祥事を契機に、国際的にコーポレート・ガバナンスに関する議論も活発化していますが、社外取締役の増員や監査役の強化、透明性を高める会計制度などの枠組みの整備よりも、適切なパフォーマンスをあげることこそが最高のガバナンスであることを忘れてはなりません。そして、企業経営者と投資家の双方が合意する「適切なパフォーマンス」は資本コストを加味した価値に基づく指標EVAで測定されます。双方が協力して社会全体に価値を創造していくためにも、我が国におけるEVAの役割はさらに増大していくものと思われます。

注1:LBO(Leveraged Buy-out)
買収先企業の生み出す将来のキャッシュフローを担保に資金を借り入れて買収すること。

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