一時のイベントで終わらせないために 次世代リーダー育成は早期から行うべきか?
教育研修プログラムで実現すべき2つのこと
次世代リーダー育成における教育研修プログラムは、その後の日常(職場)における継続的な育成につながってはじめて意味を持ちます。プログラムはあくまで育成構想全体の一部であり、この位置づけをぶらさないことが重要です。
つまり、早期から次世代リーダー育成を始めるのであれば、実務を通した次世代リーダー育成まで視野を広げた上でプログラム設計をする必要があります。
このことを踏まえた上で、改めて、「教育研修プログラムで実現すべきこと」を考えてみましょう。
1.受講者の主体性や意欲を引き出す
期間限定の教育研修プログラムの中では、最後に経営へのプレゼンテーションを設けるなど、半ば強制的に学習に取り組ませることは可能です。しかしプログラム後の日々の仕事の中で、経営者となるための学習を続けるのはよほど強い意志がないと難しいでしょう。そう考えると、受講者が学び続けることへの主体性や意欲を持つことが必要になります。
受講者の主体性や意欲を引き出すには、以下の3つの方法が考えられます。
(1)そもそも意欲の高い社員を、手挙げ・自薦で選ぶ
(2)現在の経営者・事業責任者が、自ら後継者として期待していることを受講者に伝える
(3)プログラムを通して、自分が学んだこと、気づいたことやできるようになったことをふり返ることで、自分の可能性や影響力が広がることに面白み感じる
2.一人ひとりの、次世代リーダーとしての強みと弱みを明らかにする
対象者のリーダーとしての成長には、プログラム終了後も、上司あるいは経営者自らが継続的に関わり、個々の仕事や役割を設計し、チャレンジする場の提供やフィードバックを行うことが必要になります。
適切な機会付与やフィードバックのためには、対象者を集団としてではなく「個人」として捉え、一人ひとりの強みと弱みを明らかにすることが必要です。
半年から1年間の取り組みは、対象者一人ひとりの特徴を観察する良い機会となります。必要であれば行動観察のプロフェッショナルの力を借りて、対象者の特徴を観察・記録し、それを上司や経営者と共有することが望ましいでしょう。
また、経営者自らが対象者の取り組みを自らの眼で見ることで、対象者の可能性を直に把握し、選抜・登用する際の材料とすることもできます。
さらには、人材データベースを整備し、受講者の観察結果を蓄積していくことで、会社全体でその情報を共有し、次世代リーダー候補者の選抜・育成を計画的、組織的に進めるために活用することも可能になります。