経営理念を現場で実践していくためには 事例から見る管理職がリードする経営理念の共有・実践法!
事例2. 外食産業B社 〜経営理念をオペレーションに活かす
【置かれた状況】事業部長が「いかにやりきるか」に一生懸命
複数の業態で外食店舗ビジネスを展開するB社では、「より多くのお客様満足を生み出す」という経営理念に向けて、今後3年以内に主力業態を大幅に拡大していくという目標を掲げていました。特に社長は、今後の事業を担う人材として、各事業部長に着目していました。彼らは、お客様を第一に考える経営理念への共感性が既に高く、日々お客様と接している事業部(現場)の中心的役割を担っていたからです。事業部長が、経営理念を実現するために必要な活動を、日々現場の中で自ら主体的に考え、実践し続けていくことを期待していたのです。
しかし各事業部長は、本部が策定した戦略に従って「やりきること」に重点を置いた、オペレーショナルなマネジメントに慣れていました。それゆえ、設定されたさまざまな目標指標についても「いかにやりきるか」は考えられても、「なぜやるか」「経営理念にどのよう繋がっているのか」「さらに事業を発展させるために何をすべきか」などを解釈・設定することは苦手でした。

【取り組み】経営理念と業務を繋げ、KPIを再定義・活用する
まずは、お客様満足を体現した店舗の仕組みを明らかにし、モニタリングすべき指標(KPI)を再定義することを通じて、経営理念を実現するために必要なことを明らかにすることから始めました。
具体的には、「現行指標の確認」「お客様満足を体現した店舗の見える化」「今後の環境認識」「指標の再定義」という取り組みを半年にわたり展開していきました。特に、「お客様満足を体現した店舗の見える化」においては、事業において顧客価値を生み出すまでのプロセス、ポイントとなる場面を具体的に描くことで、経営理念と業務を繋げて解釈することを重視しました。
そして、再定義された指標を用いて現場での活動を点検し、継続的な改善・実践に繋げていきました。
【成果】KPIを活用した現場での改善・実践の定着
事業部長にとって、これまでは「本部から言われて徹底する」だけだった指標が、「主体的に活用し、改善につなげる」ものに変化しました。「事業における指標は、業績のためだけではなく、お客様満足に繋がっているものなのだと再認識できた」「経営理念で大事にしているお客様満足のために重要ないくつかの場面を、現場が重視するようになった」などの声があがっており、今後の経営理念の実現に向けた足固めができたと言えます。
現在も、指標に基づいた現場での実践、ふり返り、改善のサイクルは継続しており、さらなる事業発展・経営理念の実現に向けた重要な取り組みとして根づいています。