調査から導き出した育成の課題とポイント! 「ミドル・リーダー選抜・育成」という戦略人事のヒント
育成の近道は「ミドル・リーダーを体験すること」
ミドル・リーダー育成における1つ目のポイントは、「ミドル・リーダーのあるべき水準」を知り、その水準に照らして乗り越えるべき課題を特定することです。「名プレイヤー、名監督にあらず」という言葉もあるように、プレイヤーとしての強み・弱みは、必ずしもリーダーとしてのそれとは一致しません。
効果的に育成していくためには、これからのミドル・リーダーとして期待される動き方やポイントを明示するとともに、その動き方・活用イメージを体験させ、「あるべき水準からの」強み・課題への自覚を促すことが肝要だと考えられます。

ミドル・リーダーに期待される働き方を体験させる方法として、効果的なのは上位者がミドル・リーダー候補に対して、OJTを通じて仕事の一部を任せるということです。しかしながら、シビアなビジネスの現場では、失敗が許されない場合も多く、未経験者にミドル・リーダーの職務を任せることは、大きなリスクが伴います。また、新しい仕事を与えるために異動の機会を作るのも容易なことではありません。
そのため、研修という場を使ってミドル・リーダーのあるべき姿に照らした強みや課題を明確に把握する、「アセスメント研修を起点とした施策」を立案する企業も多くなっています。
アセスメント研修とは、「ビジネスケースを用いてリーダーが置かれている環境を擬似的に再現し、リーダーシップの発揮を促すシミュレーション研修」のことです。言い換えると、「ミドル・リーダーとして理想的な動きをしているA社のBさんになりきり、疑似体験を通じて自分に足りないもの、これから身につけるべきことに気づく」ということです。
研修のなかで本人の気づき・学びを促すだけでなく、専門のアセッサー(講師)が参加者のアウトプットや言動を、“あるべきリーダーの姿”に照らして客観的に評価し、研修後にその結果を報告するところにアセスメント研修の特長があります。これにより参加者は、役割の遂行すべき行動をイメージできるだけでなく、「どういう状態が“あるべき姿”なのか」「“あるべき姿”に照らした客観的な自身の特徴(強み・課題)」を把握することができるのです。
また、研修を通じて得られる客観的な評価結果があることで、人事部門や上司も参加者の状況について同じ認識をもつことが可能になり、協力しながらミドル・リーダーの育成に必要なサポートを提供しやすくなるというメリットもあります。
ここで重要なのは、“これからの、あるべきミドル・リーダー”に照らしたアセスメント研修を選択することといえるでしょう。今後、自事業が直面するであろう環境変化を予測した上で、期待する働き方を描き、その働き方を体験できる手法や運営が行われるものを吟味していくことが必要です。