調査から導き出した育成の課題とポイント! 「ミドル・リーダー選抜・育成」という戦略人事のヒント

今回の特集では、近年ますます期待が高まる現場のミドル・リーダーに焦点を当て、調査・研究から導き出した育成の課題やポイントをご紹介します。
- P1:企業は誰に投資すべきか?
- P2:これからのミドル・リーダーに期待される役割とは?
- P3:ミドル・リーダー育成で人事が抱く4つの課題
- P4:育成の近道は「ミドル・リーダーを体験すること」
- P5:本人、上司、人事の協働で成長機会を創出する
企業は誰に投資すべきか?
「第2ラウンド」
このキーワードをご存じでしょうか。
弊社組織行動研究所の調査(2015)によると、近年注目される人事・人材開発テーマは、「ミドル・リーダー候補者の異動・配置・修羅場体験のデザイン」や「グローバル環境下で活躍できるリーダーの発掘と育成」というものが挙げられます。
それは、「次世代リーダー育成」や「グローバルHRM(Human Resource Management)の整備」といった人事制度の枠組みづくりが終了した後に、次の新しいテーマに着手するのではなく、さらに一歩踏み込んだ運用の課題が人事の中心テーマになってきていること、つまり「第2ラウンド」に突入していることを意味します。
この背景には、グローバル化やITの高度化により、不確実性・複雑性への対応を求められる場面が増えていることが挙げられます。このようななか、各企業は成長路線に舵を切り、多くの企業が「競争優位の高い事業の創造」「これまでにない高いレベルの業績/改善目標の達成」をめざして、組織の構造改革を推し進めてきていることがあります。
では各企業は、どのようにしてこういった “チャレンジャブル”な戦略を実現しようとしているのでしょうか。弊社調査(2013)によると約60%の企業が、「現場に意思決定権限を委譲すること」「本社と現場とが適切な役割分担を行うこと」により乗り越えようとしていると回答しました。

環境変化が激しくなるなかで、経営トップがすべての変化を認識し、意思決定を行うことは難しくなってきています。そこで変化にさらされている現場そのものが、変化に基づき、自ら考え、行動を起こすことができるような体制を組もうとしていると考えられます。その際、その中核を担うのは、現場の組織やプロジェクトの中心にいるミドル・リーダーたちであるということになります。
では、これからのミドル・リーダーには、どのような役割が期待されているのでしょうか。