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マネジャー候補となる現場の中核層に焦点を 将来を切り拓く中堅社員の育て方・人材育成方法


これからの中堅社員育成のポイント(1)

1.ビジネスパーソンとしての成長段階から、中堅社員のステージを位置づける
1つ目のポイントは、ビジネスパーソンとして自分が現在どの成長段階にいるのかを理解してもらうことです。2008年から2010年にかけて弊社が行った研究から、日本の組織で働くビジネスパーソンに、一般的に期待される10の役割ステージがあることが分かっています。

新社会人からスタートして、「ひとり立ち」「一人前」「主力」と期待される役割のステージは上がっていきます。この期待役割のステージを一つひとつ「乗り越える(トランジションする)」ことで、ビジネスパーソンとしての能力が開発され、成長していくことになります。
(図表7.の左側/詳細:トランジション・デザイン・モデル

役割ステージごとに「求められる行動の変化」とその「開発方法」が存在します。それぞれのステージで期待される役割を認識できず、役割行動を発揮できなければ、そこで役割転換不全を起こすことになります。

研修で多くのビジネスパーソンに接していて驚くのは、ほとんどのビジネスパーソンはこうした成長モデルについて知識をもたないという現実です。社内の資格やグレード制度の存在は知っていても、そこでどのような仕事ぶりや役割行動が必要なのかをイメージできている人は皆無と言ってよく、役割行動上、どのようなチャレンジに直面し、乗り越えなければならないのかはブラックボックスになっているのが実態です。

例えば、中堅社員は一般的に「主力」としての役割行動が期待されています。このステージでは、それまでの「一人前」のステージのように個人の業績達成を追求するだけでなく、「継続的に高い個人業績をあげつつ周囲に目を配り、チームとしての業績達成を主導する」という新たな役割が求められます。

このステージを乗り越えることで、「負荷の高い状況でも優先順位をつけて仕事を進められる力」や「メンバーや関係者の協働を引き出す力」といった、「ビジネスパーソンとしてどこでも通用する重要な力」をつけることができるのです。「主力」のステージを乗り越えることで身につく力は、マネジメントのポジションに就く上での基礎となることはいうまでもありませんが、管理職になろうとなるまいと、個人のキャリア形成上、極めて大きな資産となるものです。

しかし、多くの中堅社員は自身が今そうしたステージにいることを、またこのステージを乗り越えることが自分のキャリア開発上でどのような意味を持つかを自覚できていません。

10の役割ステージに対する中堅社員の典型的な反応は、「こんなふうにステージが上がるとは誰も教えてくれなかった」「もっと早く知っていれば目標をもって成長できた」といったものです(ちなみに、彼らの上司の反応の典型的なものは、「これを見れば、誰をどの状態に引き上げなければならないかが明確になる」といったものです)。

こうしたビジネスパーソンとしての成長のロードマップを知らせるだけでも、中堅社員にとっては自身の現状に対する新たな見方を獲得することに繋がるのです。

2.キャリア形成のプロセスから中堅社員のステージを位置づける
前出の調査で、今日の中堅社員の多くが、自身のキャリア形成に関心が高いものの、実際には主体的なキャリア形成ができているとは感じられていない理由の上位に、「具体的な方法がわからない」という項目がありました。

現在の中堅社員の多くは、学生時代を通じて自らキャリアを考えていくことの重要性や、自身のやりたいことを明確にしてキャリアビジョンを描くことの大切さを学んできています。しかし、実際に組織に入って仕事をしていく長い職業人生のなかで個人のキャリアがどのように形成されていくのか、どのような節目でどのような準備をすべきなのかといった実践的な問題について理解している人は希少です。

中堅社員にインタビューをしてみると、現在の仕事に没頭しながらも、どこかで「自分はこのままでいいのだろうか」「もっと、自分に相応しい仕事があるのではないか」といった疑問を感じている人は少なくありません。また、「自分が本当に何をしたいのかが明らかにならない」ことにフラストレーションを抱えている人も多くいます。

これらは、30代中堅社員が陥りやすい「キャリアの展望不全」です。中堅社員育成の2つ目のポイントは、こうしたキャリア形成に関する不透明感を低減していくことです。

一般的に、キャリアの形成は長期にわたるプロセスからなります。また、それは計画的にコントロールできる部分よりも偶発性に左右される部分が大きいことも、近年の研究から明らかになっています。特に、変化のスピードが速い今日のビジネス環境では、計画的なキャリアデザインよりも、変化をうまく取り込んで柔軟に対応できるような幅のあるキャリアの展望をもつことの方が有効といえます。

このような視点から今日の日本企業におけるキャリア形成のプロセスを考えてみると、図表7.の右側のようなモデルが描けます。

これは、全般的なキャリアの効果性を表す4つの要素を発達プロセスとして構造化したものです。キャリアの成功にはまず成果を出すことが必要です。「仕事に全力投球して成果を出す(キャリア成果)」ことを繰り返すことで、役割を果たし、周囲から認められるようになります。

成果は個人の内部に「効力感や自信(キャリア満足)」を生み出します。そして、「自分が何に満足を感じるのか」を自覚化できるようになっていくと、「キャリア成果」と「キャリア満足」の好循環が回り始めます。

さらに、職務の幅が広がったり担当業務が変わったりする過程で、個人のなかにより幅の広い経験(知識、スキル、知恵)が蓄積されていき、第2の循環が回り始めます。これは、蓄積された経験や能力の幅が広がることによって、キャリアの将来展望にもバリエーションが生まれ、選択肢が広がっていく(キャリア適応)という循環です。このプロセスを経た後、職種や組織、あるいは所属企業などのさまざまな変化に対する選択を繰り返していくうちに、個人のなかで「仕事に対する意味、目的、一貫したパターンを自覚化できるようになる(キャリア同一性)」という状態が生まれてきます。

私たちは、こうしたキャリアの形成プロセスと先述した組織における役割転換のステージとは、日本企業においては緩やかな連動性をもっていると考えています。すなわち、「社会人」から「一人前」に移行する期間では、「キャリア成果」と「キャリア満足」の好循環を繰り返すことが不可欠であり、「一人前」から「マネジメント」「専門家」へと移行する期間においては、変化に備えて複数の将来展望を持つ「キャリア適応」の循環を意識的に回すことがより重要となります。そして、「マネジメント」以降(多くは40代以降)は、さまざまに変化をする環境の中で自身の拠り所と貢献領域を確立していく「キャリア同一性」の要素を意識することがより必要になってくると考えているのです。

こうした連動性から見ると、中堅社員は、自身のキャリア満足の源泉に加えて、それまでの経験でどのような能力を蓄積してきたかを確認し、それらがどのような仕事や役割に応用可能なのかを考え、将来の変化への準備として複数のキャリア展望をもちながら仕事をするステージであると考えることができるのです。

このような理解に立てば、自身のキャリアの将来展望をより豊かにするために、現在のポジションでチャレンジすべきことが見えてくるはずです。中堅社員のステージがキャリア形成上でどのような節目に当たるかを示すことが、2つ目のポイントです。

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