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2014年ASTD国際大会レポートより 世界の人材開発の潮流を読み解く


人間の本質に目を向ける

VUCAの世界において従来の予測と計画に基づいた直線的な思考を変えねばならないのと同様に、学習のあり方も計画されたイベントではなく、日常の経験のなかで自然な学習が生成され継続されるプロセスと環境のデザインにその重点がシフトしているように見えます。

冒頭の神経科学への着目は、そうした日常のなかの学習機会を最大化するために、人間本来の生体反応から学習のメカニズムを探求する活動と位置付けることもできるでしょう。

今大会の残る2人の基調講演者からは、こうした学習や変化に対する人間のNature(本質)を理解して前に進もうというメッセージが伝えられたように感じます。

そのうちの1人、Arianna Huffington氏の講演は、「成功の再定義」についてでした。リベラル系ニュースサイト「ハフィントン・ポスト」の創設者であり、2011年、TIME誌の世界で最も影響力のある100人に選ばれた同氏は、「お金や権力があれば、成功していると見なされるものの、幸福感がなければ真の成功とはいえない」とし、「Well-being(健康で安心なこと)」「Wisdom(知恵とつながること)」「Wonder(不思議に思うこと)」「Giving(与えること)」の4つが真の成功を支える柱であり、人々にエネルギーと創造性を与える源泉であると語りました。

その上で、今日、多くの人が枕元に携帯電話を置いて、頻繁なメールチェックやSNSの書き込みをしているような生活習慣は、人間本来の危機察知力や創造性、直観を失わせ、判断力を鈍らせるとして警鐘を鳴らし、「子供たちに生き残る生き方を教えるのではなく、繁栄する生き方を教えよう」とメッセージしました。

最終日の基調講演者、Kevin Carroll氏のメッセージはPlay(遊び)の精神の重要性でした。数多くの企業で創造的なアイデアを実現するための取り組みを支援し、スポーツや遊びの力による社会変革活動を行っています。

Carroll氏は、「誰もが固有の才能をもっており、遊びやスポーツは、人々をつなぎ、その人固有の才能を引き出し、現実の世界をより良い方向に変えていける可能性をもっている」として、自身の経験やビジネスのいくつかの具体例(例えば、「sOccket」という発電サッカーボールは、電気のない生活を送る子供たちがプレイすることで安価でクリーンな電力供給を実現している)を提示しました。

「1時間一緒に遊べば、本当のその人がわかる」というCarroll氏の言葉は、「遊び」という世界共通の行為が持つ潜在力を感じさせました。

Huffington氏のメッセージも、Carroll氏のそれも、ともに人間の本質的な性質に言及したものです。変化への対応力は、こうした人が本来もっているエネルギーを理解、解放していくことで育まれるものかもしれません。

■ASTDはATDへ
前出のTony Bingham氏のメッセージは「チェンジ」でしたが、ASTDは今大会中に自らも変化することを宣言しました。

大会の3日目、ASTDは、ATD(Association for Talent Development:タレント開発協会)となることを発表しました。そして、会場のディスプレイのロゴも一斉に変更されました。70年の歴史をもつ団体のブランド変更は相応の覚悟を要する決定であったと思いますが、Trainingという言葉の今日性と、グローバル化が進むなかでのAmericanという言葉の存在は、ASTDが志すミッションから見て違和感が高まっていたのも事実です。

将来を見据えて大きく舵を切ったASTD(ATD)が今後どのような発信をしていくのか、弊社では引き続き情報収集に努めてまいります。

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