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2014年ASTD国際大会レポートより 世界の人材開発の潮流を読み解く


「VUCA」の世界

ASTDプレジデント・CEOのTony Bingham氏による基調講演のメッセージは「チェンジ」でした。同氏は今日の変化がかつてないほど速く予測不能なものであるとし、企業は変革をイベントではなくプロセスとして扱うべきであること、そしてL&D(Learning & Development:学習と開発)の専門家は組織に変化を起こす上でベストポジションにいることを強調しました。

「チェンジ」というテーマはことさら新しいものではありませんが、改めて取り上げられた背景には、世界が直面している「VUCA」と呼ばれる新たな環境の認識があるのではないかと思います。

VUCAとは、今日の世界を描写する概念で、

・Volatility(変動性:変化の性質、量、スピード、大きさが予測不能のパターンをもつこと)
・Uncertainty(不確実性:問題や出来事の予測がつかないこと)
・Complexity(複雑性:多数の理解困難な原因、抑制因子が絡み合っていること)
・Ambiguity(曖昧性:出来事の因果関係がまったく不明瞭で前例もないこと)


の頭文字をとった略語です。1990年代後半に米国の軍事用語として生まれ、その後ビジネス界でも使われるようになったとのことです。

今大会では、数多くのセッションでこの略語が引用され、VUCAの時代のリーダーシップやL&Dのあり方が論じられていました。一種のバズワード(専門的流行語)には違いありませんが、例えば5年前と比べた私たちの社会生活の変貌とその不可逆性を省みれば、環境の見方の前提を変えなければならないという主張は現実感をもった響きを伴います。

基調講演者の1人、Stanley McChrystal氏(元アフガニスタン国際部隊および統合特殊作戦コマンド司令官)は、VUCAの世界のなかでのリーダーと組織のあり方について語りました。

McChrystal氏は、90年代後半から、アル・カイーダによるチャレンジと米軍の対応力とのギャップが拡大の一途をたどった事実を挙げ、指数関数的に変化していく世界では、従来の機能別組織は深刻な不適応を起こすこと。そして、鳥の群れのような自己組織性を有するチームや組織を形成していく必要があることを自身の経験から主張しました。

同時に、軍のような大きな組織でもその実行は可能であり、そこでのリーダーシップのポイントとして、次の3点を提示しました。

・「予測できるという傲慢さ(Predictive Hubris)」を捨てること
・「有機的な適応(Organically Adaptation)」を意識すること
・「共有化された意識と権限委譲による実行(Shared consciousness & Empowered Execution)」を促すこと


イスラム教徒を含む多様な文化圏からの参加者の前で、生々しい戦渦を語る点に筆者としては若干の違和感を覚えましたが、不確実で予測のつかない世界での組織行動を考える上では、McChrystal氏の主張は含意のあるものです。特に、「予測できるという傲慢さ」については、今日の多くの組織の運営原則である分析・予測・コントロールという科学的方法論の限界を示唆しています。

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