グローバル展開を進める多く企業が直面する課題 なぜ海外現地化は進まない?
「それは現地に任せています」
この課題の難しさは、現地のことであるにも関わらず、現地だけで解決できないところにあります。
「現地化」の解決のためには、タレントを採用し、リテンションし、育成していく必要があります。それを実現するには、採用ブランドを上げることも必要ですが、給料、昇進可能性、職場からの刺激、成長実感、企業理念や会社が行っていることへの共感、そして日本本社と連携してサポートを取り付けることまで考慮しなければなりません。
では実際はどうでしょうか。本社の人に、現地の採用に関する話を伺うと、「それは現地に任せています」と答えられることが少なくありません。今後のアジアの発展性、その企業の事業展開スピードを考慮する必要がありますが、一般論で考えると、現地だけで解決できる課題ではないといえます。(図表.2参照)
図表.2 海外現地法人におけるグローバル人材マネジメント課題

現地での採用に関して、足元の人材補充のみが目的であれば、現地だけでも解決できるかもしれません。しかし、将来の現地での発展を考えれば、本社からの支援が不可欠です。事業サイドからの短期的な収益プレッシャーがあれば、長期間かけて人を採用して育成していくというインセンティブは働きにくいのが常です。
そのような状況でも、優秀なカントリーマネジャーは、そこまで考慮して本社とかけあい、予算やHR人材を獲得していきます。さらには、現地に合わせて、報酬制度、昇進昇格制度をつくり、タレントを成長させるためのケアを行います。タレントのリテンションを考慮すると、メンター制度や育成制度も大事ですが、日常で成長を感じさせられるジョブアサインメントも必要になってきます。
ここまでのことに取り組むには、現地の予算や人だけでは限界があります。多くの企業では、現地だけではそこまで手が回らず、結果「タレントが辞めていく」という構図に陥りがちです。