部下から見た上司の特徴について アジア4カ国比較からみる「理想の上司」とは?
日本は計画も評価も柔軟に進めたい
●柔軟に調整しながら進める日本、詳細な計画性を重視する3国
上司の特徴について、具体的には【計画立案】、【評価】、【職場作り】という3つの場面から、アンケート項目を取り上げてみましょう。
以下のグラフは、各国の回答者が、自分の考える「理想の上司像」の特徴に近いと思う方を選択した結果です。
(A:「どちらかといえばAに近い」「Aに近い」「非常にAに近い」の割合の合計)
(B:「どちらかといえばBに近い」「Bに近い」「非常にBに近い」の割合の合計)
まずは計画立案に関する、図表02 「計画立案・遂行における理想の上司の特徴 計画性か、柔軟性か」の結果(画面下)をご覧ください。
日本の回答者は、どちらかというとB側、つまりおおまかな計画を示した後は、状況に応じて柔軟に進めていく上司を理想と考えているようです。しかし他の3カ国は共通して、詳細な計画や手順を明確にして、それを厳密に進めていく上司が理想だと考えている人の割合が多くなっています。
厚生労働省が行った、日本企業に勤める外国人に対するアンケートでは、「上司が仕事の指示をするときに、何をすればよいのか不明確でわかりにくい」と回答したのは50.7%、そのうちそれが「不満である」(不満なので改善を求めたい、転職したい、など含む)と回答したのは74.4%に上りました。この結果は仕事の計画性について直接指摘したものではありませんが、日本人のおおまかな計画に基づいた曖昧な指示や、状況に応じた柔軟な仕事の進め方が、現場でのすれ違いや不満に繋がっている可能性があります。
さて、このような特徴は、実は上司が部下を評価する場面に対する考え方にも表れているようです。次に、部下への評価を行う際の理想的な上司の特徴を見てみましょう。
●評価も柔軟に運用したい日本、厳格に運用すべきと考える3カ国
図表03 「評価は具体的で厳密か、曖昧で柔軟か」の結果(画面下)をご覧ください。ここでも、日本の理想の上司の特徴は、3カ国とは異なる結果となりました。
日本では、どちらかというと、評価基準をおおよそ提示したら、状況に応じて柔軟に運用していく方が理想的な上司だと考える人が多いようです。一方で他アジア3カ国では、共通して、何をすれば評価されるのかという評価基準を具体的に示し、そのとおり厳格に運用していく方が理想的な上司であると考える人の割合が多くなっています。
前述の厚生労働省の調査では、評価・処遇の仕方について、日本企業に勤める外国人が「どのようなことができれば昇進できるのか、明確な基準が分からない」と回答した割合が63.7%、うち、それを「不満」と感じている割合は72.2%に上っています。
ここでも、理想のマネジメントに対する考え方の違いが、メンバーの不満足につながっている可能性が示唆されています。

最後に、さらに【職場作り】に関する考え方について触れていきます。