効果的な経営人材育成につながるヒント 経営人材育成を支える論理と感情とは?
なぜあの人が選抜されたのか
●成長に不可欠な経験値を高めるために、適切な選抜を
次期経営人材育成、次世代リーダー育成において、「早期選抜」や「選抜型教育」というトピックが一緒に取り上げられることも少なくありません。実際、今回の調査では経営人材育成を目的とした選抜を行っている企業は約7割にのぼりました。
それでは、選抜を行っている企業のうち、経営人材育成に満足している企業としていない企業とで、問題の認識にどのような差があるのかを見てみましょう。
図表05 「経営人材育成に対する満足度別の、選抜プログラムに関する問題認識」

図表05の通り、経営人材育成に満足していない企業の選択率が高いのは「選抜の基準があいまいである」と「選抜のための適切な方法がない」でした。「基準があいまいである」については、経営人材育成に満足している企業でも約4割が問題意識を感じているようです。経営人材育成を目的とした教育プログラムの成否を分かつポイントとして「何を」「どのような目的で」学ぶかの「明確化」が浮かび上がってきたのと同様に、選抜においても「どのような基準で選抜するか」の「明確化」がポイントとして浮かび上がってきました。
また、近年では「70-20-10の法則」、「一皮むけた経験」など、育成における「経験」の重要性がクローズアップされています。しかし実際は、経営人材育成につながる経験がどの起業にも豊富にあるとは限りません。よって、適切な人材に効果的な経験を蓄積させるためにも、適切な人材の選抜が重要だと考えられます。
※「70-20-10の法則」(Lombardo and Eichinger, 2002)とは、経営人材のリーダーシップ開発のために有効だった経験の内訳が「仕事上の経験:薫陶:offJT=70:20:10」であったという、Lominger社の調査結果をもとにした知見。
また、経営人材候補の選抜に対し、「なぜあの人が選ばれたのか?」「なぜ自分が選ばれないのか?」という感情が少なからず生じるのは自然なことと感じます。しかし、度が過ぎれば不信感につながり、選ばれた人、選ばれなかった人ともに成長意欲をなくす可能性があります。そのためにも、適切な人材を選抜することが重要といえるのではないでしょうか。