鈴木秀夫『生き生きと働く人が増え、企業が持続的に成長する社会を実現させたい』

キャリアチェンジの不安・迷いと、最後の決め手

前職は外資系の石油会社に勤務しておりました。日本のインフラ整備や、ものづくりの基盤となるエネルギーや資材の安定供給を担うという使命感に燃え、たくさんの仲間とともにやりがいを感じながら働いてきました。プライベートでは妻と3人の子供に恵まれ、これから高校、大学とお金のかかるときで、会社を辞める理由はどこにもありませんでした。しかし、40代になってから、「このままでいいのだろうか」と心の中で思うところがあって、「自分の市場価値がどのくらいか知りたい」と、軽い気持ちでトレーナー選考に応募しました。
ただ、選考が進むにつれて、学生時代から思い描いていた夢を実現できる仕事かもしれないという想いが強まっていきました。青臭いですが、私の昔からの夢は「これから社会へはばたく若い世代が夢や希望を持てる社会を創り上げること」。そのためには生き生きと働く人が増え、企業が持続的に成長していくことが必要ですが、このプロセスに微力ながらも貢献出来るかもしれない、と考えたのです。
しかし、いざ選考に合格してみると、全く風土の違うリクルートグループに飛び込んで大丈夫だろうか。会社員から個人事業主になり、生活は大丈夫だろうか。人事や研修講師の経験が全くない、ゼロからのスタートで大丈夫だろうか。多くの不安がよぎりました。最後は、どんなに魅かれるものがあっても、もし家族の反対があれば諦めるべきだ、と思い妻に相談しました。
その場で妻から、「この世の中で、好きを仕事にできる人ってなかなかいないよ。自分の出処進退を自分で決められて、仕事内容もそれこそあなたがやりたかったことなのじゃないの?」と言われました。20歳から付き合っている、一番自分のことをよく見ている妻にそう後押しされて、キャリアチェンジを決心しました。

受講者の中に答えがある、と信じて寄り添う

現在は、日本全国、さまざまな業界や階層の方々に、研修の機会を通して出会う毎日です。研修の現場でいつも思うことは、「受講者の中に答えがあり、トレーナーはただそれを引き出し、主体的な学びにつなげる支援をする」ということです。
過去、不祥事から社員一丸で再起を図るために企画された研修を担当したことがあります。こういった案件でも私は決して、教えに行く、「べき論」で正しにいく、というスタンスでは臨みません。事件からまだ日が浅く、受講者の皆さんに動揺が残る中で、より丁寧に一人ひとりの気持ちに寄り添うことから研修を始めました。そして、研修の各セッションで「これから会社をどうしたいのか?自分はどうありたいのか?」という問いを、受講者の皆さんと一緒になって考えていきました。研修の最中、受講者から「なぜ、こんな事が起きてしまったのか」という、原因追求の議論が起こった際は、「自分たちは何を変えていくべきなのか?」、過去と他人ではなく未来と自分に焦点を当てた議論になるよう、丁寧に場作りをしました。そして、自然なかたちで皆さんのやる気の源泉に灯を点けていくことを心がけました。

「一人の人間として、どう生きていくのか」を真剣に考える場にしたい

研修の醍醐味は、トレーナーの想定を超えた学びの場が起こることです。
先ほどのお客様の場合は、「上司の言うとおりに動くことが当たり前」という組織風土が、個々人の思考停止をもたらし、間違ったことに誰も気がつかず、結果として不祥事に繋がりました。研修終盤、「この状況に違和感を持っていた人はいなかったのですか?」と全体に問いかけた際に、ぽつりぽつりと「うちの会社は、一見、権限委譲が進んでいるように見えて、実は明確な基準がなく、統制の効かない集団になっていたのではないか」「文句ばかり言っていたけれど、自分たちで何かを決めるように求めたことがあっただろうか」「我々はこれから、どうしていかねばならないのだろうか」という発言が出てきて、受講者同士で考え、自分たちで議論する場が生まれました。
研修はあくまでも手段。一人でも多くの大人がいきいきと働き、自己実現を成し遂げていくために、「これから自分は組織人として、一人の人間としてどう生きていくのか」を真剣に考える場を提供したいです。終わりのない仕事ですが、私自身は研鑽の日々を楽しんでいます。

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