SPIの開発背景(開発背景編)
多くの企業の採用選考で利用されている適性検査「SPI」。
就職活動を進めていくと、一度は受ける可能性が高いテストです。

SPIはどのようにして開発されたのでしょうか。本記事では、その開発背景や歴史についてご紹介します。また、その過程で開発されたコンピュータ適応型テストの仕組みについてもご説明します。

SPIの開発背景

SPIの歴史は1963年に遡る
1970年代頃までの大手企業の採用活動には「指定校制度」というものがありました。企業が求人を行う大学を指定し、その大学の学生のみ応募を受け付けて採用するというものです。つまり、学生を「学歴」で選抜するというのが当たり前の時代だったのです。
また、当時の採用試験は、各社が独自に国語や常識などの問題を作っているケースも多くありましたし、試験としての品質を備えていないものも出回っていたともいわれています。
こうした時代背景のなかで、1963年に教育測定学や心理学の若手研究者たちで「テスト開発委員会」を発足させました。アメリカのETS(Educational Testing Service)という世界最大のテスト専門組織から知見を日本に持ち帰り、日本企業の採用選考に科学的な根拠に基づく適正なツールを提供するための取り組みがスタートしたのです。最新のテスト理論と心理測定技術に基づく日本最高水準のものを作るということが、テスト開発委員会のこだわりでもありました。
これがSPIの歴史のさきがけで、リクルート創業以来2番目の事業として動き出しました。
こうした経緯もあり、SPIを始めとするリクルートのテスト事業は、「個をあるがままに生かす」という思想を開発当初から大切にしています。
SPIからSPI3まで
1963年の発足以来、テスト開発委員会では数々の研究・実験が繰り返され、企業人として活躍するのに必要な要素が、作成したテスト結果の統計的解析を通じて導き出していきました。 そのプロセスを経て、まず基礎能力検査、性格特性検査、性格類型検査、数年後にモチベーション検査という4つの検査が開発され、世の中に提供していくこととなります。
ただ、これらは別々の検査であったため、受検者の人物像を全体としてつかむのは困難でした。そのため、4つの検査を統合し、1つのテストで個人の基礎的な能力やさまざまな職務への適応性など、より多面的に人物理解をすることのできる検査を1974年にリリースしました。
これが総合検査SPI(Synthetic Personality Inventory)です。
能力検査は、当初は大卒用、高卒用、一般企業人用の3種類でしたが、その後、社会のニーズに応える形で事務職用の検査や、大卒用のなかでも短時間で実施できる検査や、より細かい因子に分けて測定できる検査などをSPIシリーズとして拡充していきました。
2002年には、社会環境や市場ニーズの変化を受けて、実施時間を短縮しながらより簡便に総合的な人物理解を行うことができるSPI2に大改訂されました。また、数千名の入社後のパフォーマンスを追跡的に分析し、予測精度を高めることにも成功したのです。
2004年には、それまでのペーパーテスティング方式(マークシート方式)に加え、コンピュータ上でのテスティングサービス(テストセンター、インハウスCBT、WEBテスティング)を開発し、多様な実施形態を実現させました。(CBTの技術については(コラム)参照)
さらに2013年には、SPI2がSPI3へと進化します。
従来のSPIシリーズとの継続性と高い品質水準を確保しつつ、現代における、さまざまな人材採用課題への対応に資するものとして開発されました。新たな性格尺度を追加、職務だけでなく組織への適応という観点の追加、オプションの能力検査として構造的把握力検査もリリースしました。(構造的把握力検査については、「SPIの構造的把握力検査とは」をご覧ください)
また、オプション報告書(面接用、育成用、本人フィードバック用)のラインナップも増強し、さまざまな人事場面で利用目的に応じて活用できる仕組みにしています。
最近の大きな改訂としては、2018年には標準報告書を、より見やすく解釈しやすい形に変えたこと、オプション報告書をさらに拡充させたことが挙げられます。
このように、1963年以来、SPIは長年の時を経て、時代の流れや市場のニーズに対応して進化し続けているのです。

− コラム −

CBT:Computer-Based Testingとは

日本初のコンピュータ適応型テストを開発
従来のテストは、10問あるとした場合に受検者全員に同じ10問が出題され、そのうち正解がいくつあったかという総合得点で評価するものでした。
これに対して、テストセンターなどのパソコンで実施するテストには、IRT(Item Response Theory:項目反応理論)という技術を用いた「適応型テスト」を導入しています。適応型テストでは、出題した問題に対する回答結果を基に、受検者の能力レベルを推定して、次に最適な問題を選んで出題するという、いわば視力検査のような方法で受験者の能力レベルを測定しています。例えば、80点レベルの人には80点レベルの問題を中心に出題し、50点レベルの人には50点レベルの問題を中心に出題します。こうすることで、本人にとって簡単すぎる問題や難しすぎる問題を解くという無駄な時間をなくすことができ、より少ない設問数で精度の高い測定が可能になるわけです。
この理論はすでに1970年代からありましたが、弊社は1999年にコンピュータ適応型テスト「CBT:Computer-Based Testing」」として日本で初めて実用化しました。これにより、従来の紙をベースとしたテストと比べて測定時間を短縮することができ、受検者の方にとっては受検負荷が軽減されることになります。
適応型テストを実現するためには、受検者の回答に応じて出題項目を変えることができるだけの、幅広い特性(「難易度」や「識別力」)を持った問題を、数多く用意する必要があります。また、問題一つひとつについて実際の回答データを基に、統計的処理を行った上で、問題の特性を事前に吟味する必要があります。つまり、まずは問題をたくさん作って、その問題に対する受検者の回答データを数多く集めるということをして初めて、CBTは形になるのです。
現在も、テストセンターやWEBテスティングにおいてこの仕組みを使っていますので、問題の拡充、データ収集により問題の良し悪しの吟味を行い続け、サービスを維持・進化させ続けています。


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