部長・経営層の事業推進力強化

<よくあるお悩み>

  • 短期業績に集中しがちで、中長期の戦略課題を先送りにしてしまう傾向がある
  • 戦略実現に必要な変革を推進していく力が弱い
  • ビジョンや戦略の実現に向けて関係者を動員していくリーダーシップや人間力が物足りない

問題・背景

「中長期を見据えた組織や事業の変革」を担えていない

ビジネスの変化のスピードが増すなか、上級マネジメント層のパフォーマンスへの関心が高まっています。次期経営人材の育成をねらいとした選抜教育はすでに1990年代後半から多くの企業が取り組んでいますが、昨今は経営幹部の入り口としての部長職の育成強化を再検討する動きが出てきました。

弊社が実施した調査では、部長職に感じている問題として、「組織や事業の変革の推進が担えていない(46.7%)」「広い視野や高い視点から課題を設定していく力が不足している(44.4%)」「社外で通用するレベルの管理能力や専門性が育っていない(44.4%)」「短期的な成果に注力するあまり、長期的な視点での取り組みができていない(41.1%)」「環境変化や関連する社外のビジネス動向に視野・視界が向かず、内部マネジメントで手一杯となっている(40.0%)」が上位5つを占めています(「昇進・昇格および異動・配置に関する実態調査2016」)。特に、「組織や事業の変革の推進が担えていない」については、2009年時点の同調査に比べ、12.3%も上昇しています。これらの結果からは、短期的・内部的な課題に向き合うばかりで、中長期の環境変化を見据えた組織や事業の変革に着手できない部長像が読み取れます。弊社では、さまざまな企業との取り組みから、こうした問題の背景には次のようなことがあると考えています。

部長に期待される役割行動とその質的なレベルが理解されていない

一般社員層から課長クラス(ミドルマネジャー)への昇格は大きな役割転換であるため、その役割やマネジメントスキルを学ぶ必要性は明らかです。しかし、課長から部長への役割転換は、それと比較するとあいまいです。また、すでにマネジメントの十分な経験があるため、改めて教育の対象となりにくいのも現実です。そのため、部長任用後に役割・能力開発研修を実施している企業は56.4%で、課長の任用後研修の実施率83.3%に比べて、大きな差があります(「昇進・昇格実態調査2009」)。
しかし実際には、課長クラスと部長クラスに求められる役割は異なっており、部長になって初めて直面する困難や乗り越えなければならない課題は多くあります。現役の大手企業の事業部長や役員層を対象にした研究では、課長から部長への役割転換を「最もチャレンジングだった」と認識する人が最多だったという結果が得られています。部長職に関する問題を考える上では、そもそも部長の役割機能とは何か、それは課長とどのように異なるのか、人事部門と昇格者側が共通の理解に立つ必要があります。

中長期の方向性を描き、短期成果と中長期戦略を両立させる思考方法を学んでいない

課長の役割は、上位方針に沿って、現場のメンバーを通じ、与えられた課題を達成していくことです。「業績達成とメンバー育成の同時実現」が求められており、課題解決力を養うことが不可欠です。一方、部長のポジションでは、現場のマネジメントを部下に任せつつ、経営や事業の中長期の戦略を推進していく「短期課題と中長期課題の同時実現」が求められます。経営戦略を担う一員として、事業の中長期戦略を理解する「経営的視点」と、短期業績を追いかける現場の活動のなかに中長期戦略につながる活動を生み出していく「課題形成力」が必要となります。中長期視点で広く内外環境を捉え、自組織が取り組むべきことを決める思考をミドルマネジャー時代に養う機会は少なく、部長になって初めて、こうした思考を身につける必要に迫られることになります。

変革を推進するのに必要なマインドセット・スキルを学んでいない

これも先の「課題形成力」と同様、ミドルマネジャー時代に養う機会が少ない能力です。多くの場合、「変革」という言葉がもつニュアンスから、変革推進は経営者の役割であるといった誤解があるのが現実です。しかし、部長の役割が中長期の経営戦略の実現に向けて現場の動きを変えるものである以上、そこには必ず「変革」の必要性が生じます。また、企業変革や組織変革には、一定の証明された手順、原則、推進者に必要なスキルがありますが、多くの企業人はそうしたガイドラインを体系的に学ぶ機会に恵まれていません。多くの部長層が変革推進力を発揮できない背景に、こうした変革に対する誤解や、知識・スキル不足が生じていないかを考える必要があるでしょう。

自身の影響力の大きさに気付かず、これまでのリーダーシップスタイルで対応しようとする

弊社が行った「課長から部長への役割転換に関する研究」では、多くの部長昇格者が「自身が思っているよりも言動の影響力が増す、注目を浴びる」ことに直面し、そこで陥りやすい問題行動として、「自身の言動の影響力を自覚せずに、以前と同じような意思表現をしてしまう」ことを挙げています。

これまで見てきたように、課長(ミドルマネジャー)から部長(シニアマネジャー)への役割転換はさまざまなチャレンジを伴います。管轄組織や権限が拡大すると同時に、問題が発生したときの影響範囲も、事業戦略実現の責任も拡大します。現場との距離感が生じる一方で、中長期に向けた変革を推進していかなければなりません。必然的にリーダーシップのスタイルも変えなければなりませんが、そのことに気付くまでに一定の時間を要するようです。重要なのは、それまでのミドルマネジャー時代のように、メンバー一人ひとりに各論で関与し、自分が得意な分野に傾注するといった欲求を抑え、経営的・大局的な視座で考えることであり、数多くのプレッシャーと矛盾のなかで最善の判断をしていく胆力や人間力を開発していくことです。つまり、マネジメントの役割転換は、個人の人間的成長を伴って起こるものでもあるのです。マネジャー個人の内面的成長を促す機会の有無を考慮する必要があるでしょう。


主な課題

現実に埋没せず、変革に挑んでもらうために必要なのは何か?

これまでに述べてきたような状況を変えていくためには、何が必要なのでしょうか。手がかりは、部長・経営層として直面するチャレンジにありそうです。弊社では、部長として高いパフォーマンスを上げ、事業経営者を担うに至った現職経営層へのインタビュー・定量調査を実施しました。その結果、対象者の70%以上が、部長に任用されて1年以内に「部長という仕事の全体像がわかった」と回答していることが判明しました。また、高い組織成果をあげた部長は、困難な経験(リストラクチャリング、担当事業の廃止など)に直面し、そのなかで自らの人間性を問われ、自らが変わっていく経験をした人が多いことが明らかになっています。

したがって、対象者の実態を踏まえた上で、部長・経営層の入り口である部長職への任用・能力開発施策を適切に展開できれば、事業や企業の成長につながる変革を担える部長・経営層を輩出できるのではないかと、弊社では考えています。そのために必要な検討観点は以下の4つです。

  1. (1)経営層への入り口としての部長への役割転換
  2. (2)変革推進に向けたマインドセット・スキルの獲得
  3. (3)影響力の大きさに対応できるリーダーシップ開発
  4. (4)経営層としてふさわしい能力・資質の見極めと開発

課題の解決ポイントや施策例については、課題一覧内の該当ページをご参照ください。


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