営業部長実態調査 継続的に業績が向上している営業組織の特長とは

昨今、営業組織を取り巻く環境は大きく変化しています。自社の商品・サービスだけで競争優位性を継続的に維持することが難しくなり、インターネット等の情報から顧客も営業担当以上に知識をもっているといったことが起きています。そのため、今まで以上に営業の介在価値を創出できないと競合に負けることはおろか、インターネット通販に負けてしまうということすら起こっています。

このような環境のなか、顧客接点の最前線である営業組織では、継続的に業績を向上するために顧客や競合の状況を把握し、スピーディーに組織内で共有して対策を打ち、顧客が想定する以上の価値を提供していく必要があり、そのための営業組織づくりや運営が必要になっています。

弊社が営業組織力強化支援をさせていただくなかで、厳しい環境下でも継続的に業績が向上している営業組織は、組織運営上の特長をいくつかもっていることが分かってきました。その特長を検証すべく、営業組織開発と変革の要である営業部長への調査を実施しました。あわせて、営業部長が業務推進の上で抱える課題や業績向上の阻害要因についても触れ、営業部長の現状を把握する内容としました。


調査概要

営業部長実態調査の概要は以下のとおりです。

継続的に業績が向上している営業組織の特長

まず、継続的に業績が向上している営業組織の特長として、下記の4点について明らかにすべく調査を設計しました。

<継続的に業績が向上している営業組織の特長>
1.顧客に提供する価値が明確である
2.営業活動の標準形が決められ実践されている
3.営業担当同士で営業のやり方・知識・スキルに関して相互に学びあう風土がある
4.営業活動で得た顧客の声を営業活動の改善に活かしている

本セクションの項目では、営業部長の担当する営業組織の営業成績が過去2年間継続的に伸びているかを質問し、その本人回答を基にレポートを作成しています。特長をわかりやすくご紹介するために、「過去2年業績が伸びている営業組織」(以下、「業績が伸びている組織」)と「過去2年業績が下がっている組織」(以下、「業績が下がっている組織」)を比較して確認していきます。

特長1.顧客に提供する価値が明確である

図表01をご覧いただくと、「業績が伸びている組織」の方が、「価値が明確である」と答えた割合が36%と高く、「価値が明確である」「やや価値が明確である」を合算すると、85%と大多数を占め、回答のほとんどが価値が明確であることになります。

また「業績が下がっている組織」は、「価値が明確である」は14%と低く、「価値が不明確である」「価値がやや不明確である」の割合が38%と「業績が伸びている組織」に比べ24%も高いことが分かります。これによって、顧客へ提供する価値を明確にしていることが、継続的に業績が向上している営業組織の特長の1つと考えられます。

図表01 顧客に提供する価値の明確さ(5肢選択)

特長2.営業活動の標準形が決められ実践されている

図表02 営業の仕方の標準形の導入と活用状況(4肢選択)

図表02をご覧いただくと、「業績が伸びている組織」の方が、「標準形は決まっていて実行もできている」が40%を占めていますが、「業績が下がっている組織」では10%にとどまっています。両営業組織も標準形を決めている割合は40%を超えていますが、実践している割合に30%の違いが出ています。

このデータから営業活動の標準化はもちろんのこと、実践ができていることが継続的に業績が向上している組織の特長であると考えられます。一方で、営業活動の標準化が実践できていなければ、業績が伸びない可能性が示唆されました。

特長3.営業担当同士で営業のやり方・知識・スキルに関して相互に学びあう風土がある

図表03 営業担当同士での営業のやり方・知識・スキルに関する相互に学びあう風土(4肢選択)

図表03をご覧いただくと、「業績が伸びている組織」は、「学びあう風土がある」が29%を占めていますが、「業績が下がっている組織」では12%にとどまっています。

また「業績が伸びている組織」では「やや学びあう風土がある」と答えた割合まで含むと86%と多くの割合を占めるのに対して、「業績が下がっている組織」では55%と31%も差が開く形になりました。

このデータから、「業績が伸びている組織」の方が相互に学びあう風土があることが分かり、継続的に業績が向上している営業組織の特長の1つであると考えられます。

特長4.営業活動で得た顧客の声を営業活動の改善に活かしている

図表04 顧客の声の営業活動への活用状況(4肢選択)

図表04をご覧いただくと、「業績が伸びている組織」については「積極的に活用している」の割合が25%であるのに対して、「業績が下がっている組織」は6%にとどまっています。また「業績が伸びている組織」では「活用している」と答えた割合まで含むと81%と多くの割合を占めるのに対して、「業績が下がっている組織」では57%と24%差がありました。

このデータから、「業績が伸びている組織」の方が営業活動で捉えたお客様の声を営業活動の改善に活用しており、この点もまた、継続的に業績が向上している営業組織の特長の1つであると考えることができそうです。

以上の調査結果から、弊社が考える継続的に業績が向上している営業組織の4つの特長は実証されたと考えられます。

業績向上を阻害する要因

では次に、営業部長が考える業績向上の阻害要因とその内容について見ていきましょう。

図表05 業績向上の障害の有無(3肢選択)

図表05のとおり、営業部長が担当する組織の業績向上における障害の有無についての質問に対しては、約半数が障害があると感じていることが分かりました。「障害がある」と答えた方のフリーコメントの多くには、「営業担当・マネジャーの能力不足の問題」「組織変革に対して抵抗し旧来型のやり方を変られない人・組織の存在」「営業部長の上司にあたる経営層や営業トップの方針・戦略への違和感」「組織間連携の問題」が見られました。

このようなコメントが多く見られるのは、今までの営業のやり方では顧客のニーズに応えることができず、「ソリューション営業への転換」など、営業のやり方の転換を迫られるケースが多くなっていることが背景の1つではないかと考えられます。

また、組織間連携の問題が挙がっているのは、部長として部門経営を行う際に、経営の方針を鑑み組織変革の実行や他部署との折衝・調整等が求められることが理由の1つではないでしょうか。

営業部長が抱える課題

最後に、営業部長が担当する営業組織について、どのようなことが課題であると感じているのでしょうか。

図表06 現在課題に感じていること(複数回答)


担当する営業組織の課題(複数回答)は、上位に「営業担当の能力のばらつきの是正」「リーダー・次期マネジャーの育成」があり、「営業マネジャーのマネジメント能力のばらつきの是正」「新規入社者の早期戦力化」が続いています。

「営業担当の能力のばらつきの是正」が最多であった背景は、業績を作り出す営業担当が、能力のばらつきがなく一定の品質で営業活動ができることが、業績向上に直接的に影響すると考えた部長が多いためではないかと考えられます。前述の業績向上における障害の調査でも営業担当の能力の不足感を挙げている部長は多く、人の能力により業績差がつきやすく、そのことが組織業績に大きく影響する営業部門ならではの課題であると考えられます。

「リーダー・次期マネジャーの育成」が次に多い理由は、営業部長にとって、次期マネジャーの育成の必要性に加え、それを通して組織成長を実現するという重要なねらいがあるからではないでしょうか。

その次に挙げられた、「営業マネジャーのマネジメント能力のばらつきの是正」「新規入社者の早期戦力化」も人材における課題であり、営業戦略の立案やナレッジの共有等の項目は比較的少なくなっています。営業部長は、当面業績の達成という重要な責務があるため、直接業績を作り出す営業担当やリーダーの強化が最優先課題になっているのではないかと考えられます。

最後に

本調査では、弊社が考える「継続的に業績が向上している営業組織の特長」の4点について調査を行い、いずれの特長もデータ上で実証することができました。
加えて、営業部長が最重要視している課題は、業績を直接作り出す営業担当の能力であることも分かりました。

以前の営業組織は、個人で業績を上げていく人々の集合体―いわゆる「一匹狼」の集合体のような組織である場合がほとんどでした。その分個人のやり方や成功体験から、新しい営業のやり方へ変革する際に他部署以上に抵抗が出やすく、ある意味ではそれが黙認されてきた部署ともいえます。

昨今のように営業を取り巻く環境変化が早まるなか、旧態依然とした組織では、継続的な業績向上は容易ではありません。顧客への提供価値を決め、その価値を提供できる営業の役割を設定し育て、顧客の声を組織にいち早く還元し、互いに学びあい能力を高めていくこと、そのサイクルを組織で「徹底的に」「速く」回し続けていくことが非常に重要になります。なぜなら、それが企業の競争優位を築くことになるからです。
本レポートが、継続的に業績を向上し、競争優位性を創ることができる営業組織づくりの一助となれば幸いです。

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