「読書の秋」に知っておきたい デキるビジネスパーソン「5つのインプット術」とは?

執筆者情報
コンサルティング部
シニアコンサルタント
山田 義一

人事コンサルタントという仕事柄、クライアントの経営者や役員、社内のキーパーソンとディスカッションや、ハイパフォーマー(高業績者)へインタビューをする機会が多い。彼・彼女らの話を聞いたり、意見を交わしたりするなかで、「日々の業務で忙しいはずなのに、最新の情報や、関連する知識をよくインプットしているな」と感心することが実に多い。

また、私はコンサルタントとして、これまで3つのコンサルティング会社を経験し、さまざまなコンサルタントと一緒に仕事をしてきた。同じプロフェッショナルとして、「デキるな!」と思ったコンサルタントは、日々、いくつものプロジェクトを抱えながらも、コンスタントにインプットを欠かさなかった。

このように、クライアントであれ、コンサルタントであれ、ハイパフォーマーとされるビジネスパーソンには、共通点がある。自らの過去の知識やスキル、経験の蓄積に安住することなく、それらを更新し続けている点だ。そのために、彼らは独自の手段で日々、インプットを欠かさない。
人事コンサルタントとして感じるのは、このインプットの習慣の差が、ますますビジネスパーソンとしてのパフォーマンスの差として顕著になりつつあることだ。

そこで、これまでの20年間のコンサルタントとしての経験から、クライアント先での1000名以上のハイパフォーマーへのインタビューで聞いたことや、コンサルティング会社で100名以上のコンサルタントを見てきたことを踏まえ、彼・彼女らのインプットの方法をデキるビジネスパーソンのインプット術として、以下の5つにまとめて紹介したい。

1.デッドライン・インプット術
2.イシュー・インプット術
3.リゾーム・インプット術
4.ルーティン・インプット術
5.オリジナルリソース・インプット術


1. 限られた時間で、効率アップできる 「デッドライン・インプット術」

会議や報告で日中の時間のほとんどが自由にならない経営者や役員ほど、新聞・雑誌のみならず、話題のビジネス書もよく目を通していることが多い。彼らは社内の誰よりも忙しいなかで、雑誌や書籍に目を通す時間をどのように捻出しているのだろうか。

興味本位で直接質問してみると、「資料や本を読む前に、あらかじめ費やす時間を決めている」という趣旨の答えが返ってくることが多い。多忙な経営者や役員クラスでも、1日は同じ24時間である。彼らは、限られた時間で、効率的に情報や知識を取り込むために、インプットする際にデッドラインとなる時間を設定しているのである。

例えば、ビジネス書を読む場合、タイトルや目次などにより、書かれた内容がある程度察しがつく本なら、1時間前後のデッドラインを意識して読む。逆に、自分にとっては新しい、不案内なテーマや内容であれば、倍の2時間、必要に応じてはそれ以上の時間をデッドラインとして意識し、しっかりと読むのである。

日々の業務に追われ、読みたい雑誌や書籍に目を通す時間が十分にないビジネスパーソンには、このデッドライン・インプット術がお勧めである。私自身、デッドライン・インプット術を試行錯誤しながら身に付けることで、目を通すことができるビジネス書や雑誌の量が2倍から3倍程度に増えた経験がある。

2. 無理せず速読も可能な 「イシュー・インプット術」

人事コンサルティングのプロジェクトでは、人事経験のない人事部以外のキーパーソンが検討メンバーとして参画する場合も多い。最初は、人事に関する基礎資料や入門書のインプットからのスタートとなるが、毎週の定例ミーティングの場での本質的な発言や提言が多くなり、3カ月後には人事部顔負けの議論をリードしていたりする。

このタイプのキーパーソンに見られるのが「イシュー・インプット術」である。直面するイシュー(課題)に対して、馴染みのないコンセプトや聞きなれない用語のインプットから始め、それらを活用しながら自らの考えを広げ、深めていくことで、効率的にインプットし、効果的にアウトプットにつなげているのである。

できるコンサルタントにも、このイシュー・インプット術に長けたタイプが多い。未経験の業界や、知見のないプロジェクトのイシューに対して、入門的な書籍や関連資料のインプットから始め、業界紙や専門書にまで目を通すことで、短期間で雪だるま式に加速度的なインプットをしている。同時に、クライアント先でのディスカッションやインタビューで、自らのインプット内容を確認・補強しながら、アウトプットにつなげているのだ。

現在、仕事上で何らかのイシューを抱えているビジネスパーソンには、このイシュー・インプット術がお勧めである。私自身、過去に何度か速読法を試みては、挫折を繰り返した経験がある。だが、このイシュー・インプット術を実践するようになってからは、対象とするイシューに関する書籍や資料については、無理せず自然に速読ができるようになったため、効率的なインプットができるようになった。

3. 好きこそものの上手なれ 「リゾーム・インプット術」

クライアント先で、デキるビジネスパーソンにインタビューしていると、「この人は、何でこんな発想や、行動ができるのだろう」と考えさせられることがよくある。インタビューを進めていくと、「なるほど、だからそう考えたのか、そう行動したのか」と合点がいくことが多い。そこには、通常のビジネスパーソンにはない、ちょっとした発想・行動面での「跳び」があるのである。

その「跳び」のベースになるものが、「リゾーム・インプット術」である。リゾームとは地下茎と訳される。デキるビジネスパーソンにインタビューをしていると、彼らの発想や行動の「跳び」の根っことなる地下茎に話が及ぶことが多い。彼らは、自らの興味や得意なことをベースにしたインプットを継続的に行い、独自の豊かな地下茎を形成し、それらを苗床として仕事に活かすことで、発想や行動面での「跳び」を実現しているのである。

高業績者ハイパフォーマーへのインタビューの際に、頃合いを見て「お休みの日は何をしていますか」と問いかけることがある。制約のない自由な時間や空間でこそ、その人のコンピテンシーたる思考・行動特性が現れる。例えば、サービス業でのデキるビジネスパーソンにインタビューしていると、休みの日には、同業他社のみならず、異業種での顧客接点の現場に足を運び、自らユーザーとして体験を楽しみながら、インプットしていることが多い。このような、本人が楽しみながらの継続的なインプットが、ビジネス上での発想や構想、行動の「跳び」につながっているのである。

自分の好きなことや興味のあること、得意なことを深めたい、または自らの独自性や専門性を高めたいと感じているビジネスパーソンには、このリゾーム・インプット術をお勧めしたい。

4. 最も実践されている 「ルーティン・インプット術」

クライアントであれ、コンサルタントであれ、デキるビジネスパーソンが、ほぼ共通して実践していることがあるとしたら、この「ルーティン・インプット術」であろう。このルーティン・インプット術には、以下のような、表と裏の2つの意味がある。

表の意味は、インプットする時間や作業を日々のルーティンとして習慣化するために、自分の生活のサイクルや動線にしっかりと組み込んでいることである。やる気やモチベーションに関係なく、特定の時間や空間において、毎日コンスタントにインプットしていることが多い。仮に毎日30分の集中したインプットでも、1カ月で約15時間、1年間で約180時間の蓄積となる。鋏状格差という言葉がある。はさみの根元の差は僅かでも、刃先に行くほど開きが大きくなる。日々のインプットの積み重ねが、10年、20年のうちに、取り返しのつかないような大きな差になっていく。

裏の意味は、ルーティンとすることで、インプットにかける時間や工数に関して自らの縛りを作っていることである。たまに仕事そっちのけでインプットや勉強に走るビジネスパーソンを見聞きする。インプットに凝りだすと、手段が目的化するかのごとく、インプットに逃げることにもなりかねない。このルーティン・インプット術には、必要以上にインプットに労力をかけず、インプットした内容をベースに思考したり(スループット)、成果や業績(アウトプット)につなげる意味合いもある。

日々の忙しさのなかで、インプットする時間がほとんど確保できていない、逆にインプット過多になりがちなビジネスパーソンには、ルーティン・インプット術がお勧めである。私自身も、コンサルタントとして目先の忙しさに流されてインプットがおろそかになったり、安易にインプット作業に逃げ込んだりしないように、ルーティン化することの大切さを実感している。

5. とても効果のある 「オリジナルリソース・インプット術」

最後の「オリジナルリソース・インプット術」も、1つ前のルーティン・インプット術同様に、デキるビジネスパーソンに共通する部分かもしれない。インプットの際に、オリジナルのリソースにあたるということである。クライアント先でも、同じコンサルタントでも、「この人の考えや発想は本質的だな」と感じさせる場合には、オリジナルリソースからインプットし、発想や構想をしていることが多い。

手軽な情報リソースとなる雑誌やビジネス書の内容は、著名な書籍や論文からの引用や、それらを部分的に下敷きにしていることが大半である。デキるビジネスパーソンは、この引用や下敷きとされるオリジナルリソースから直接インプットしている場合が多い。オリジナルのリソースで、文脈も含めて把握しているため、そこから発想したり、仕事に応用したりすることが比較的容易にできる。

これは、何も雑誌や書籍に限った話ではない。デキるビジネスパーソンは、社内外の関係者、さらには同業他社であっても、オリジナルリソースからのインプットが有効な場合には、手間暇かけてインプットしている。世の中の変化がどんどん加速しつつあるなかで、オリジナルリソースにあたることの重要性は増すばかりであろう。

自分のインプットの有効性をより高めたいビジネスパーソンには、オリジナルリソース・インプット術がお勧めである。私自身、ぼんやりした「つもり、だろう、はずだ」という考えが、改めてオリジナルリソースにあたることで、自分の根本的な認識違いや理解不足に気付くことがままある。

以上、デキるビジネスパーソンの5つのインプット術となる。デキるビジネスパーソンに倣い、個人的に実践してきた結果、少なからぬ効果があったものばかりである。このコラムを読み終えて、試してみたいと思う術が1つでもあれば、幸いである。

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