ハイブリッド型研修(WEB+集合)について語る 「勘と経験」に頼るな 〜ビジネススキルの学び方〜

執筆者情報
プレセナ・ストラテジック・パートナーズ
取締役CEO 創業者
高田 貴久

ビジネスを推進する上で必要となるスキルの習得が、「現場のOJT任せ」になっているということはないでしょうか? 教えればわかることまで、「慣れれば勘と経験」に頼ってしまうのは効率的ではありません。今回はプレセナ・ストラテジック・パートナーズの高田貴久氏が、「ビジネススキルの体系化」にかける想いと、より多くの受講者にリーチするために開発した「ハイブリッド型研修(WEB+集合)」について語ります。


“それって何なの?”を、端的に教えてくれ!

「高田君、イギリスの金融ビッグバンについてベンチマークしてくれない?」

私が外資系コンサルティングファームに入社して2日目のことだった。新卒で9月に入社したため研修も受けていなければ同期もおらず「右も左もわからない」状態だ。「イギリスの金融ビッグバン」も「ベンチマーク」も何だかわからないが、ゼロから説明を求めるのはなんとなく気が引けた。そこで、後からこっそり別のコンサルタントに聞いてみた。

「お忙しいところすみません……ベンチマークするって、何をするんですか?」
「調べるってことだよ」

とりあえず自分に振られた仕事の意味は理解できた。ただし、どこから何に手をつけていいのかは全く見当がつかない。あれこれ作業をしてみたが、結局要領がつかめないまま、終電を逃してしまった。

次の日の朝。
「できた?」とマネジャーが私の肩を叩く。
「はい、調べました!」と夜を徹して調べた私は自信満々に答えた。
「あっそう。じゃあアウトプット見せて」と手を伸ばすマネジャー。
「えっ? アウトプット?」
「調べたんだろう? アウトプットは?」

完全に会話がかみあっていないことだけはわかるが、何を求められているのかが全くわからない。私はいよいよ腹を決めて質問した。
「すみません……。あの、アウトプットって何ですか?」
「は? あのさぁ、君ねぇ……」
マネジャーの温かくもあり厳しくもある説教が始まった。

“同じ日本なのに、全く言葉が通じない。とんでもないところに来てしまった”と当時はよく思ったものである。それでも入社して1年ほど経ち、いろいろな人から指導を受けるうちに、それなりにわかるようにはなってきた。

しかし、わからないことを質問した際に「高田君もあと何年かやっていれば、そのうちわかるようになるよ」と言われることがあった。その度に私は“そんなに悠長に構えていられないよ……”と思った。大学を1度変わって2度留年、学卒3年遅れでやっと社会に出たのが25歳。3年の遅れを取り戻すために、死ぬ気で働く覚悟を決めていた。自分には、ベテランの「勘と経験」が備わるまで待っている暇はない。“それって何なの?”を、端的にわかるように教えてくれ! それが私の心の叫びだった。

「現場主導」での経営改革に目覚める

「現場OJT任せ」になっていたビジネススキルを体系化し、新しくコンサルティングファームに入ってきた人たちに「ゼロからでもわかるように教える」ことに使命感を覚え始めたのは入社2年目のこと。自ら社内研修を企画して講師を務めたりもした。

その後、クライアントであったグローバルメーカーに転職したが、ほどなく創業社長から新社長へと経営体制が変わった。会社の全てを見通すことが出来る「神様」がいなくなっても会社が動く仕組みを作らねばならない。「中期経営計画を策定し、経営の仕組み化を行う」新社長の号令の下、改革がスタートしたがなかなか思い通りには進まなかった。

「では営業部で営業戦略を、技術部では技術ロードマップを作ってください」
「高田さん、それって何ですか? どう作るんですか?」

私は自分の過去を思い出した。まさに“それって何なの”がわからないという、全く同じ状況である。コンサルティングファームで悩んだ経験を活かし、経営企画部員としてメーカーにおける“それって何なの”を考え、体系化し、教え続けた。

社長の交代により、社員は仕事の仕方の変革を求められた。全てを見通す「神様」からの指示が来なくなった今、社員はより強く、自ら考え行動することを求められるようになったのだ。そんな中で私自身の仕事の仕方も変わった。これまではコンサルタントとして、戦略を作り経営層にプレゼンを行いトップダウンで組織を動かしてきたが、経営企画という立場になった自分は“それって何なの”を社員に教えることで、現場から組織を動かすようになった。そして「現場主導」での経営改革が意外とスムーズに運ぶこと、そして自分自身はその進め方が好きであり、向いていることに気が付いた。

元々3年間の契約で在籍していたため、契約満了が近づき身の振り方を考えた。このまま一つの事業会社に骨を埋める生き方もあると思ったが、自分がやりたいことは少し違う。結局のところ、自分は経営課題について考えるのが好きだったので再度別のコンサルティングファームに転職。しかし資料を作ってプレゼンを行い、上の人を説得して現場に落としていくというやり方は、「現場主導」の改革を知ってしまった自分にはまどろっこしいと感じた。会社を良くしたいという想いは人一倍あるが、コンサル流は少し違う。それならば、教育を通じて「現場主導」での経営改革に貢献する会社を自分で作ろうと決めた。

敵は交通・宿泊費

創業してから8年が経ち、今では100社を超えるお客様の、数万人の受講者に対して、研修サービスを提供するようになった。しかしその中で、近年新たな問題意識が芽生えつつあった。それは「自分たちがリーチ出来ていない受講者層がいるのではないか」ということである。きっかけは、ある大手回転寿司チェーンの人事部に勤務する元同僚からの何気ないひと言だった。

「高田のとこの研修、スマホで受けられへんの?」

よくよく話を聞くとこういう話だ。彼の会社は年中無休、朝の5時頃から仕込みが始まり、夜も24時近くまで営業している。店舗にはプロジェクターもなければスクリーンもない。社員は全国の店舗に1〜2名ずつ分散しており、どこに集めるにも膨大に交通・宿泊費がかかる。社員が丸一日現場を抜けるのは不可能だ。しかし、店長として店を切り盛りしていくためにはさまざまなビジネススキルが必要となる。そんなこんなで悩んだ末の結論が「スマホで受けられへんの?」というひと言に集約されていたのだ。

実は同じような話が、海外出向者や拠点幹部にもあてはまる。事業所は世界各地に分散しており、なかなか集合して研修を受けさせるのが難しいのが現状だ。そして集めるために要する交通・宿泊費は日本国内の比ではない。海外にも研修を必要とする人たちがたくさんいる。

「敵は交通・宿泊費だ。時空を超えて学べる仕組みを作る必要がある」

そう感じて開発したのが、私たち独自のWEBラーニングである。コンセプトは「逃げられないeラーニング」だ。「逃げられない」といえば聞こえが悪いが、受講者からするとそれだけ「みっちり真剣に学べる」ということである。実際に私たちのWEBラーニング受講者からは「集合研修よりも密度が濃く、ためになった」という声をよく頂く。

受講者は画面を見るだけではなく、PCの掲示板に向かってテキストを打ち込む。打ち込んだ内容は人事や講師がチェック出来る。集合研修で実際によく出てくる「ダメな答案例」を見せて「どこが間違っているのか」を徹底的に考えさせる。その上で解説を見せて「あなたも何らかの間違いがあったはずだ。どこが間違っていたのか」までを振り返らせる。

受講者に緊張感を与えつつ、インプットとアウトプットを繰り返すことで、理解を深めることが目的だ。細かな仕組みは特許も申請しておりもっといろいろあるが、「ITベンダーではなく、研修ベンダーが作るeラーニングの付加価値」を追求し、受講者を徹底的に考え抜かせることにフォーカスした。

「この後1年間も見られるんですね!」

WEBラーニングは、集合研修と組み合わせることでより効果を高めることができる。

私たちはあるIT系企業で数年間、選りすぐりの若手を集めて新規ビジネスプランを立てる研修プログラムを行っている。経営陣からも例年「新しい発想や可能性に触れられて面白い」と言っていただくなど内容はよいのだが、実は大きな問題があった。それは研修期間が10日間と長いことであった。多忙な受講者たちを長時間拘束されたら現場は大変だ。交通・宿泊費の問題も大きい。だからといって単純に期間を短縮すれば質の低下を招く。

そこで取り入れたのがWEBと集合研修を併用した「ハイブリッド型研修」であった。考え方を伝えたり、ケーススタディを行ったりする「座学」に近い部分を切りだして約4日分をWEBラーニングに落とし込む。そして残る6日の集合研修については、実際のビジネスプランについて討議検討を重ねる部分にフォーカスして行う。これにより研修コストも約4割程度削減した。

こうした目に見えるところ以外にも想定外の嬉しい効果があった。ある受講者が、研修後に私を捕まえてこんな質問をしてきたのである。

「高田さん、このWEBラーニングは研修が終わった後も見られますか?」
「はい、研修が終わった後も1年は見られますよ」
「この後1年間も見られるんですね!実際に私がビジネス化を推進していくのは半年後なのですが、その頃にもう一度WEBラーニングを見直して計画を練り直そうと思っているんですよ!」

集合研修は、研修に参加すればその日で終わりである。しかしWEBラーニングは研修が終了しても繰り返し学ぶことができる。これは私が受講者に気づかされた大きなメリットだ。

テレビ会議は当たり前になり、ビデオ通話も普及してきたのに、なぜ研修だけはいつまでもわざわざ集まっているのか。そろそろ、そういう声が聞こえてきてもおかしくないと思う。コストをかけて、何のために集まっているのか、本当に集まる必要があるのか。そこを真剣に考えると、逆に「人脈形成」「モチベーション向上」「徹底討議」といった「集まる意味や目的」が見えてくるはずだ。そして、集まる必要性が低いところについては、WEBラーニングを活用すればよい。これら双方の長所を組み合わせた「ハイブリッド型研修(R)」は、間違いなく高いコストパフォーマンスを発揮するだろう。

WEBラーニングを活用すれば、私たちがリーチ出来る受講者の裾野はグッと広がる。「交通・宿泊費」の制約を受けることなく、勘と経験に基づく「現場OJT頼み」にならない人材育成を通じて、“それって何なの”を端的に理解させ、現場主導で企業変革を進めていくこと――これが私たちの願いであり、私たちが社会に存在している意義である。
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