グローバルワーキングの時代へ 外国人とどうコミュニケーションをとり、共に成果を生み出すか?

執筆者情報
Aperian Global社 コンサルタント・トレーナー
桜井 敬子

世界中がネットワークでつながり、かつ国内市場の縮小化によって海外に活路を求めざるを得なくなった現在、日本企業はグローバル化への真の開花期を迎えようとしています。これに伴い、急速に日本企業で高まっているのが「グローバルに活躍できる人材」を育成する必要性です。グローバルに活躍する上でベースとなるのが、異文化への理解と多国籍の人々と効果的にコミュニケーションをとりながら仕事を進める力。弊社では今年9月、米国Aperian Global社と提携し、「異文化理解」や「バーチャルコミュニケーション」をテーマとしたグローバル人材育成サービスをスタートさせました。今回のコラムは、同社のコンサルタント・トレーナーである桜井敬子さんにお話をうかがいました。


異文化理解とコミュニケーションが、グローバル化を成功させる鍵

日本企業のグローバル化に関する意識は、ここ2〜3年で劇的に変わってきています。今回ご紹介する異文化コミュニケーションにしても、5年ほど前までは外資系企業にさえ、その必要性をなかなか理解してもらうことができませんでした。それが今や至る所でグローバル進出・グローバル人材の重要性が叫ばれ、国内のみで事業を行ってきた企業からの問い合わせや研修依頼が押し寄せている状況です。

昨今の日本企業で多いケースは大きく分けて2つあります。一つは、海外企業を買収した際の施策について、もう一つは、海外赴任者向けの施策についてです。 企業活動をとりまく環境がめまぐるしく変わる中、海外市場をスピーディーに開拓・拡大していくため、日本企業は積極的に海外企業の買収を行っています。そこで、買収先の企業、現地の人材を活用することが重要になってきているのです。これに加え、自社で海外進出するケースも増えており、それに伴って海外赴任者も増えてきています。
では、そこでどういうことが起こるか? 最も大きいのは「働く環境の変化」です。それまで日本人のみで構成されていた組織が、多国籍出身者の集まりになります。さらに、一つの組織やチームであっても、メンバーが地理的に離れたところに分散している場合もあります。その場合、世界各地の拠点を結ぶコミュニケーションの手段は、主に電話とメールになり、対面のようにじっくり人間関係を築いていくことはできません。そんな中、日本人が外国人のメンバーに関わり、マネジメントできなければ、優秀な人材ほど退職してしまう傾向があります。 国籍が異なり、時には会ったことすらない人間同士がどう信頼関係を築き、成果に結びつけていけばいいのか。組織やチームを率いるマネジャーはメンバーたちをどうまとめていけばいいのか。地理的に離れている中で、一人ひとりをどう評価し、フィードバックすればいいのか。そのすべてにおいて、異文化への理解とコミュニケーションが土台となります。

思いを共有すること、歩み寄ることの大切さ。

異文化理解・コミュニケーションというと、どうしても日本人社員が外国籍社員にどう歩み寄るか? をイメージしがちです。しかし、どちらか一方が歩み寄れば仕事がうまく進むかといえば、そうではありません。両方の歩み寄りが非常に重要なんです。具体的にイメージしていただけるよう、国際競争力を高めるためにアメリカ企業を買収したある日本企業を例にご紹介することにしましょう。 この日本企業はアメリカ企業の買収後、50名ほどのグローバルチームを結成しましたが、思うような成果を挙げることができず、弊社にご相談を頂きました。 まず課題をはっきりさせるために、各国のメンバーへのインタビューとサーベイを行ったところ、メンバー間がお互いを信頼していないことが問題の核であることがわかりました。そこでアメリカにおいてアメリカ人を対象にした研修Working Effectively with Japanese、次に日本において日本人を対象にした研修Working Effectively with USAを実施しました。その研修でお互いの率直な思いを引き出して共有する必要性を理解し、そのための様々なスキルを身につけて頂きました。そして最後に、両国のメンバー全員が日本に集まって、チームビルディングを目的としたワークショップを行いました。そのワークショップでは、メンバー間の信頼関係の構築から始まり、チームのミッション、ビジョンの共有、そしてビジョンを達成するためのアクションプランを策定しました。

一連の流れを通して非常に効果的なプログラムとなりましたが、これは日本とアメリカ両方で研修を実施して相互理解を進めたからこそ実現した成果です。日本だけ、アメリカだけで進めた場合は「なぜ自分達ばかり相手に合わせなくてはならないのだ」と不満が出て、このような成果は出なかったと思います。異文化理解・コミュニケーションは、お互いの思いを共有して歩み寄り、一緒になって課題を解決していくことが重要なポイントになります。
またグローバル人材育成のために提供するソリューションはクラスルームでの研修という形態だけではありません。ウェブツールやeラーニングと組み合わせたり、会社のマネジメント層にエグゼクティブコーチングを提供したり、バーチャルコミュニケーションスキルを学ぶ目的であったら、研修自体もネットミーティング形式で行ったりします。私が担当している米国、ヨーロッパ、日本のクライアントの最近の傾向としては、「標準的な研修をそのまま実施してほしい」というリクエストは少なく、「ニーズに合わせてカスタマイズしてほしい」というリクエストを多く頂きます。

異文化との遭遇を楽しめる前向きなエネルギーを応援したい。

私はこの仕事に就いてから日本と米国を行ったり来たりという生活を送っています。最近特に感じるのは、欧米企業の、日本企業に対する意識の変化です。今は“Japan bashing”ではなく、“Japan passing”…。中国をはじめ、BRICsを中心とした新興国に注目が集まり、日本企業の存在感が年々薄くなっているのは、大変残念な気持ちです。ただし、日本企業のポテンシャルはまだまだ高く、資金的にも余力があります。今後は新興国でいかにそれらの力を発揮していくか、特にアジアにおけるプレゼンスをいかに高めるかが大きなテーマになるでしょう。

グローバルに仕事をするということは、文化、言語、距離、時差の壁を越えて、海外の同僚と信頼関係を構築し、コミュニケーションを取り、仕事の成果を出していくということです。エネルギーに充ち溢れたアジアのビジネスパーソンたちと伍して働くには意識を大胆に変えないといけない。この点が日本企業とそこで働く日本人にはまだまだ不足しているように思えます。そうした中で自らの枠を破り、勇気を持って海外に踏み出していく企業、そして一人ひとりの挑戦者たちを全力で応援していきたいと考えています。
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