評価研修とトレーナーがそこにいる意義 思いをつなげること 〜成果主義時代の評価〜

執筆者情報
人材開発トレーナー
津坂 盛金

つなぐこと。評価研修とトレーナーがそこにいる意義

【 広瀬 】 「制度と現場をつなぐ」という話がありましたが、もう少し具体的に話してもらえませんか。

【 津坂 】 一つは、先ほども話に出た、制度に込めた経営の思いを、一人ひとりの現場のマネジャーにつなぐということです。その手段として、トップが研修に出てきて語ることが必要だと判断したらオーダーをします。もし無理なら伝わる方法を考える。ある企業ではトップがどうしても出席できないというので、それならメッセージビデオを作ってくださいとお願いしました。本当に作ってくれましたよ(笑)。そして、思いを直接語りかける。そうすることで研修への入り方は全く違ってきますね。

【 広瀬 】 研修での演出はすごく大切です。例えば、新しくコンピテンシー評価を導入したある企業での話です。これはトレーナーと相談として、プログラムの中に取り入れた工夫ですが。その研修では人事が新しく作ったコンピテンシー項目をいきなり紹介するのではなく、まずは、マネジャーに問いかけを行いました。こんなふうに。
「みなさんがこれから求めるメンバーはどんな人たちですか。どういう人たちであってほしいですか」受講者からの意見を一通り出してもらい、求める人物像をすり合わせた後、新しく作成したコンピテンシー評価項目を配布し、あらためて眺めてもらった。自分たちが言いたかったことがきれいに整理された新しい評価項目に対する納得感が一気に高まり、受け入れられるシーンがありました。

【 津坂 】 納得感が全く違いますね。それに、現場の気持ちが人事部の思いとずれていないことも分かります。

【 広瀬 】 わずか10分か15分のことですが、こうした演出を行うかどうかで違ってくる。

【 津坂 】 「評価制度を普段のマネジメントとつなぐ」ことも、研修の大事なポイントです。マネジャーは制度の考え方は理解できても、それで自分のマネジメントをどう変えたらいいのか、どう使ったらいいのか、という実感に結び付けていくのは、説明だけでは無理です。そこで普段やっているマネジメントの中から、あるシーンを拾い上げて、「こんな視点を持ったら、もっと上手くいくんじゃないの」というヒントを提供する。たとえば、話しにくい部下っていますよね。

【 広瀬 】 いますねぇ(笑)。なぜかわからないけれど、面と向き合えない。

【 津坂 】 そういう部下に対しては、例えばフィードバック面談という制度を上手に利用すればいい。少なくとも話す場面は設定できるから、それをきっかけに関係を築いていくこともできます。制度は堅苦しいものではなくて、皆さんのマネジメントの「道具」としてあるんですよ、ということですね。すると、制度やツールはマネジメントを有効に回していくための手段だということがわかってきます。「そうか、制度はより良いマネジメントをするため、積極的な部下を育てるためのものなんだ」そう思っていただくことが、研修のゴールかもしれませんね。

トレーナーの最高の喜びは、研修での気付きが職場での実践につながること

【 広瀬 】 それまで制度が上手く回っていなかったのは、マネジャーが逃げていたか。あるいは制度自体の問題なのか。そこの見極めは、現場のマネジャーと直に接し、議論をするトレーナーだからできることですよね。

【 津坂 】 「忙しくてメンバーと面談する時間なんてないですよ」と言うマネジャーと話すと、じつは「評価をフィードバックして、メンバーに嫌われたくない」ための言い訳だったり、評価自体への自信のなさの反映だったりする。また、マネジャー自身が、組織目標を納得できずに受身の姿勢になってしまうため、部下に力強く目標を指示できなかったりする。それは、決して制度の問題ではなく、マネジャーの姿勢の問題です。

【 広瀬 】 トレーニングが橋渡しになって、色々なつながりが見えてくるわけですね。制度を作った側の人間も、経営の戦略や意志を本気で現場に浸透させていこうと考えるなら、ある程度の変化が起こるまで、制度導入後を見届けることが必要なのかもしれないですね。現場の反応を見て、仕組みそのものに問題点があると分かったら、もう一度制度を見直す勇気も必要だと思います。

【 津坂 】 そうしないと本当の意味で現場は変わらないでしょう。ですから研修には人事サイドの人はぜひいてほしいんですよ。そういう姿勢だけでも見せてほしい。決まったからこれでやれ、というのではどんなにいい制度でも、まずは現場からNOですよね。

【 広瀬 】 ありきたりの質問ですが、どんな瞬間がいちばん嬉しいですか?

【 津坂 】 やはり、色々なことがつながったときですね。「職場に帰ったら、もう一度彼と話し合ってみます」、あるいは「彼女にはこれくらいのことしか要望していなかったけど、成長を考えると悪いことをしていたのかもしれない。もっとぶつけてもよかったんだ」と、言われるケースは結構あります。「制度はマネジメントの道具だと考えたら、気持ちがすっきりしました」という感想も多い。気付きがあるだけでも、マネジメントの質はずいぶん違うものになってきます。それまで「うちの会社の人事制度じゃいくら頑張っても評価されないからな」と平気で部下に言っていたマネジャーが、「制度に文句を言っていても何も進まない。だからこそどう使うかという姿勢が問われるのですね」そう言って職場に帰っていく。嬉しいものです。

【 広瀬 】 「職場に帰ったらこういう手順で話さないと」ではなくて、自分が心から「こういう話をしたい」と思えること。そこまで意識が変わったら最高でしょうね。実践につなげるというのが、弊社の目指すところですから。

トレーニング+コンサルティングで取り組める強みをかたちに

【 津坂 】 評価運用のお手伝いに関するお客様からの要望や期待は、どんどん大きくなってきていると思います。ただ弊社の場合は、コンサルティング部門があることで、制度そのものの設計からマネジメント現場での導入・運用まで、幅広くお手伝いができる。だから、各社における制度構築の流れや、なぜこういう制度になったのかがよくわかる。それを研修の場面に活かしていくことができるのは強みでしょうね。もちろん、トレーナーとコンサルタントがチームを組んで研修プログラムを開発できることも大きなメリットです。

【 広瀬 】 いま開発を進めている「被評価者研修」もその一つですよね。

【 津坂 】 ええ。この被評価者研修は、これまで主にマネジャー層にその運用主体があった評価制度を、被評価者(メンバー)が自らの成長のために活かしていくことを目的に開発しているプログラムです。マネジャーが評価するという行為は、実は評価されるメンバーにとっても役に立つ。そういう発想はすでに90年代後半からあり、意識の高い企業では研修に組み入れていました。例えば、目標設定は自分自身が何をしたいのかを確認する場になります。評価のフィードバックでは、今後のキャリアを考える上で、成長課題が確認できます。そういう視点を、被評価者が持つと、制度が有機的に回り始めます。

【 広瀬 】 人事制度が経営の意図や戦略をどのように反映しているのかというベースの理解が第一歩ですが、さらに一歩進めるには「メンバー自身にとっての意味」を腹に落とす必要があります。会社に貢献し達成感を得る、仕事の質を上げる、キャリアを積むといった自分たちの素朴な欲求に対してこの制度がどのような意味を持つのか、といった観点からそこを考えていく。いま、トレーナーを交えたチームでこのようなプログラムを作っているところです。評価制度をメンバーの仕事や成長と接続してあげられたら、マネジャーとメンバーのコミュニケーションがもっとうまく回っていくはずです。

【 津坂 】 コンサルティングとトレーニングの効果的なコラボレーションは、企業が私たちに期待してくれるところでもあると思います。ぜひ実現したいですね。

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